[8月7日12時00分 天候:晴 東京都港区新橋 NPO法人デイライト東京事務所]
善場係長との打ち合わせは、午前中いっぱいまで及んだ。
善場「次はリサ達の夏合宿になりますね」
愛原「本来、リサは受ける必要は無いということは分かっているんですが、これも社会経験ですので」
善場「結構です。もう1つ懸念するべきは、確かリサを襲おうとする男が秋田にいるとか……」
愛原「それなんです。今度のお盆の時期に満月になるので、鬼達の血が騒ぎ出すわけです。ましてや、上野流太はリサに勝ったものですから……」
リサ「あのクソ野郎、わたしより強い電撃なんだもん」
善場「対策は立てているのでしょうね?」
愛原「まずは栃木の天長園に移動します。夏合宿の事は太平山美樹も参加者ですので、家族はそれを知っています。当然です。ただ、田舎ですので、村中にその話は知れ渡るでしょう」
善場「つまり、リサもまた参加者で、天長園に移動していると知られるわけですね」
愛原「そうです。こう言っては何ですが、戦闘の場所が都内よりは、栃木の山奥の方がマシでしょう」
善場「板室温泉って、そんな山奥でしたか?」
愛原「いずれにせよ、天長園の敷地は、天長会の宗教施設と合わせても広いので、戦闘の場所としては適地かと」
善場「もう1つ懸念があります。合宿というからには、他の参加者もいるわけでしょう?その方達が巻き込まれないようにしませんと」
愛原「満月の日は合宿3日目です。……因みに合宿は3泊4日ですが。3日目の夜は、息抜きの為にイベントが行われます。その時がチャンスだと思っております」
その時だけリサと美樹には離脱してもらい、上野流太を何とかするという計画だ。
イベントの時は他の参加者達はホテルを離れている為、戦闘に巻き込まれる心配は無い。
善場「承知しました。この件に関しましては、デイライトとしては関知しませんので、所長にお任せします」
愛原「分かりました」
バイオテロに関する事以外は、基本的にノータッチなのである。
打ち合わせは、これで一旦終了した。
最後に係長に挨拶して、デイライト事務所をあとにした。
[同日12時35分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原学探偵事務所]
私とリサは迎えに来ていた新庄タクシーに乗り込むと、それで自分の事務所に帰所した。
帰りのタクシー代も、後でデイライトが出してくれるという。
新庄「お疲れさまでした」
愛原「お世話さまでした」
わざわざガレージの中まで、バックで入ってくれる。
愛原「今日は新庄さんが監視役なんですか?」
新庄「いや、ハハ……。単なる事務所の電話番ですよ」
愛原「タクシーの仕事は?」
新庄「今日は夜に行こうと思います。月曜日ですから、色々と需要のある所がありますものでね」
タクシーの仕事は、テラセイブの隠れ蓑でやっていると思っていたが、結構ガチめにやってるのかな。
そんな時、仕事量を自分で決められる個人タクシーは最適かもしれない。
ガレージの中は空調が無いので、タクシーを降りるとムワッとした熱気が私達を襲う。
そこから逃げるようにエレベーターに乗り込んだ。
エレベーター内も空調は無く、天井のファンが回っているたけである。
パール「先生、お帰りなさい」
愛原「ただいまァ」
さすがに事務所の中は冷房が効いて涼しい。
リサ「お腹空いたー」
パール「ホットサンドを作っておきました。冷蔵庫に入っておりますので」
愛原「それはありがたい。リサ、早速食べよう」
リサ「うん。先生のレンチンしておくねー」
愛原「悪いな」
パール「デイライトはどうでした?」
愛原「色々と話を聞いてきたよ。BSAAから仕事を回してもらえて良かったな?」
パール「おかげさまで……」
愛原「ま、嫌味になってしまったが、現況を聞くとしょうがないと思う面はあるな」
パール「御理解賜り、ありがとうございます」
愛原「BSAAなら、常に上空をヘリが旋回している状態だろうから、それと比べたらマシだよ」
パール「テラセイブは、基本的に後方支援が主な任務ですので」
ホットサンドを温めてきたリサが、それを持って来ながら話す。
リサ「実際には、レイチェルが泊まり込みに来るんじゃない?」
愛原「レイチェルが?」
リサ「軍用のライフルとかショットガン持ってきて」
愛原「それは物騒だな。……ん?まさか、テラセイブも?」
パール「ここは日本ですから。確かに後方支援が主とはいえ、現場では危険が付き纏うわけですから、戦闘訓練は受けますよ。ですので、メンバーの殆どが何らかの戦闘力があるわけです」
愛原「パールのナイフ捌きとかもか?」
パール「……はい」
確かにテラセイブ日本支部の事務所には軍用の銃火器の類は置かれていないが、それでも日本では合法的なものは置かれている。
猟銃とか、ガラクタや廃材から手作りしたという火炎放射器(カセットコンロで使用するガスボンベを使って、火炎放射できるもの)とか、グレネードランチャーなどがある(法律対策の為、弾は常備していないとのこと)。
実際に使用することは無いのだろうが、もしも私が今、白井に体を乗っ取られようなものなら、パールはナイフくらいは使ってくるかもしれない。
愛原「リサ、美樹はいつ上京するんだ?また飛行機か?」
リサ「合宿の始まる前日に来るって言ってたから、10日だね。何で来るかは、後でLINEで聞いてみる」
愛原「頼むよ」
前回飛行機で来たのは、TS進学会の申し込み時間に間に合わせる為というのがあったらしいな。
今回はそういう縛りは無いわけだから、無理して大館能代空港から飛行機で来る必要も無いわけだ。
リサ「先生は合宿、一緒に来るんだよね?」
愛原「ああ。さすがに同じ車両じゃないけどな」
往復共に貸切バスを使う事が多い学習塾や予備校の合宿だが、TS進学会は何故か往復共に新幹線を使うらしい。
そして、那須塩原駅から地元のバス会社のバスを貸し切って、そこからホテル天長園に向かうらしい。
列車そのものを貸切にしたり、団体臨時列車を仕立てて……というわけでもなく、普通車を何両か貸し切るだけのようだ。
ということは、他の車両は一般人が乗っているわけだから、私もそこに便乗すれば良い。
貸切バスにはさすがに乗れないので、タクシーを使うことになるか。
善場係長との打ち合わせは、午前中いっぱいまで及んだ。
善場「次はリサ達の夏合宿になりますね」
愛原「本来、リサは受ける必要は無いということは分かっているんですが、これも社会経験ですので」
善場「結構です。もう1つ懸念するべきは、確かリサを襲おうとする男が秋田にいるとか……」
愛原「それなんです。今度のお盆の時期に満月になるので、鬼達の血が騒ぎ出すわけです。ましてや、上野流太はリサに勝ったものですから……」
リサ「あのクソ野郎、わたしより強い電撃なんだもん」
善場「対策は立てているのでしょうね?」
愛原「まずは栃木の天長園に移動します。夏合宿の事は太平山美樹も参加者ですので、家族はそれを知っています。当然です。ただ、田舎ですので、村中にその話は知れ渡るでしょう」
善場「つまり、リサもまた参加者で、天長園に移動していると知られるわけですね」
愛原「そうです。こう言っては何ですが、戦闘の場所が都内よりは、栃木の山奥の方がマシでしょう」
善場「板室温泉って、そんな山奥でしたか?」
愛原「いずれにせよ、天長園の敷地は、天長会の宗教施設と合わせても広いので、戦闘の場所としては適地かと」
善場「もう1つ懸念があります。合宿というからには、他の参加者もいるわけでしょう?その方達が巻き込まれないようにしませんと」
愛原「満月の日は合宿3日目です。……因みに合宿は3泊4日ですが。3日目の夜は、息抜きの為にイベントが行われます。その時がチャンスだと思っております」
その時だけリサと美樹には離脱してもらい、上野流太を何とかするという計画だ。
イベントの時は他の参加者達はホテルを離れている為、戦闘に巻き込まれる心配は無い。
善場「承知しました。この件に関しましては、デイライトとしては関知しませんので、所長にお任せします」
愛原「分かりました」
バイオテロに関する事以外は、基本的にノータッチなのである。
打ち合わせは、これで一旦終了した。
最後に係長に挨拶して、デイライト事務所をあとにした。
[同日12時35分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原学探偵事務所]
私とリサは迎えに来ていた新庄タクシーに乗り込むと、それで自分の事務所に帰所した。
帰りのタクシー代も、後でデイライトが出してくれるという。
新庄「お疲れさまでした」
愛原「お世話さまでした」
わざわざガレージの中まで、バックで入ってくれる。
愛原「今日は新庄さんが監視役なんですか?」
新庄「いや、ハハ……。単なる事務所の電話番ですよ」
愛原「タクシーの仕事は?」
新庄「今日は夜に行こうと思います。月曜日ですから、色々と需要のある所がありますものでね」
タクシーの仕事は、テラセイブの隠れ蓑でやっていると思っていたが、結構ガチめにやってるのかな。
そんな時、仕事量を自分で決められる個人タクシーは最適かもしれない。
ガレージの中は空調が無いので、タクシーを降りるとムワッとした熱気が私達を襲う。
そこから逃げるようにエレベーターに乗り込んだ。
エレベーター内も空調は無く、天井のファンが回っているたけである。
パール「先生、お帰りなさい」
愛原「ただいまァ」
さすがに事務所の中は冷房が効いて涼しい。
リサ「お腹空いたー」
パール「ホットサンドを作っておきました。冷蔵庫に入っておりますので」
愛原「それはありがたい。リサ、早速食べよう」
リサ「うん。先生のレンチンしておくねー」
愛原「悪いな」
パール「デイライトはどうでした?」
愛原「色々と話を聞いてきたよ。BSAAから仕事を回してもらえて良かったな?」
パール「おかげさまで……」
愛原「ま、嫌味になってしまったが、現況を聞くとしょうがないと思う面はあるな」
パール「御理解賜り、ありがとうございます」
愛原「BSAAなら、常に上空をヘリが旋回している状態だろうから、それと比べたらマシだよ」
パール「テラセイブは、基本的に後方支援が主な任務ですので」
ホットサンドを温めてきたリサが、それを持って来ながら話す。
リサ「実際には、レイチェルが泊まり込みに来るんじゃない?」
愛原「レイチェルが?」
リサ「軍用のライフルとかショットガン持ってきて」
愛原「それは物騒だな。……ん?まさか、テラセイブも?」
パール「ここは日本ですから。確かに後方支援が主とはいえ、現場では危険が付き纏うわけですから、戦闘訓練は受けますよ。ですので、メンバーの殆どが何らかの戦闘力があるわけです」
愛原「パールのナイフ捌きとかもか?」
パール「……はい」
確かにテラセイブ日本支部の事務所には軍用の銃火器の類は置かれていないが、それでも日本では合法的なものは置かれている。
猟銃とか、ガラクタや廃材から手作りしたという火炎放射器(カセットコンロで使用するガスボンベを使って、火炎放射できるもの)とか、グレネードランチャーなどがある(法律対策の為、弾は常備していないとのこと)。
実際に使用することは無いのだろうが、もしも私が今、白井に体を乗っ取られようなものなら、パールはナイフくらいは使ってくるかもしれない。
愛原「リサ、美樹はいつ上京するんだ?また飛行機か?」
リサ「合宿の始まる前日に来るって言ってたから、10日だね。何で来るかは、後でLINEで聞いてみる」
愛原「頼むよ」
前回飛行機で来たのは、TS進学会の申し込み時間に間に合わせる為というのがあったらしいな。
今回はそういう縛りは無いわけだから、無理して大館能代空港から飛行機で来る必要も無いわけだ。
リサ「先生は合宿、一緒に来るんだよね?」
愛原「ああ。さすがに同じ車両じゃないけどな」
往復共に貸切バスを使う事が多い学習塾や予備校の合宿だが、TS進学会は何故か往復共に新幹線を使うらしい。
そして、那須塩原駅から地元のバス会社のバスを貸し切って、そこからホテル天長園に向かうらしい。
列車そのものを貸切にしたり、団体臨時列車を仕立てて……というわけでもなく、普通車を何両か貸し切るだけのようだ。
ということは、他の車両は一般人が乗っているわけだから、私もそこに便乗すれば良い。
貸切バスにはさすがに乗れないので、タクシーを使うことになるか。