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依頼人は左利き―ホームズの名推理「黄いろい顔」より

2005-09-17 | 左利き
* 推理小説(ミステリ)と左利き―名探偵ホームズの場合 *
めずらしくホームズとワトスンが散歩に出ていた間に依頼人が訪問していました。その依頼人が忘れていったのがひとつのパイプです。
そのパイプの特徴からホームズは依頼人のことを色々と推理してゆきます。
「 … ほかにも何か変わったところがあるのかい?」私はホームズがまだパイプをひねくりまわしては、例によって考えこんでいるので尋いてみた。すると彼はパイプを持ちなおし、医学の教授が骨の講義でもするように、細長いひとさし指でコツコツたたいてみながら、「パイプというものは、時々きわめて面白いことを教えてくれる。懐中時計とくつひもを除けば、おそらくこれほど個性を現わすものはあるまい。もっとも今の場合は、そう大して重要な特徴も現われてはいないが、それでもこのパイプの持主が筋骨たくましい男で、左ききで、歯なみが丈夫で、ものごとに無頓着な性癖があり、経済上の苦労のない男だくらいのことはわかる」
いつもながらのホームズの名推理をワトスンが聞き出します。
「この男はランプやガスの火でパイプを吸いつける癖がある。 … ランプで吸いつければ、どうしたってガン首が焦げるに決ってる。そしてこのパイプでは右がわが焦げているところから、持主が左ききだと推定したわけさ。君のパイプをランプで吸いつけてみたまえ。右ききの君には左がわへ火をもってゆくのがいかに自然だか、よくわかるから。 むろん右ききだって左の手で吸いつけることがないとはいえないが、それはときたまのことだ。ふだんは右手を使うにきまっている。このパイプなんか、もっぱら左手ばかり使ってある。それからこの吸口は歯でかんであるが、これは筋骨たくましい精力家で、丈夫な歯をもっている証拠だ。 … 」
さすが、名探偵、お見事な推理です。
かくして依頼人の登場と続くのですが、あとは本を読んでのお楽しみということで…。

この事件ではめずらしくホームズの推理もはずれ、以後彼がその力を過信したときの戒めの言葉とせよとワトスンに言います。時代背景をたくみに取り入れた一編で、ラストほろりとさせる夫婦愛に満ちた素敵な依頼人のお話でした。

「黄いろい顔」The Yellow Face(『ストランド』誌1893年2月発表)コナン・ドイル 延原謙訳 新潮文庫『シャーロック・ホームズの思い出』より

本書は、左利きがからむ推理小説『左ききの名画』R・オームロッド、『どちらかが彼女を殺した』東野圭吾 とともに、レフティやすおの本屋・左利きの本棚/小説で読む左利きで紹介しています。

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※本稿は、ココログ版「レフティやすおのお茶でっせ」より転載して、テーマサロン◆左利き同盟◆に参加しています。
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