レフティやすおの新しい生活を始めよう!

50歳からが人生の第二段階、中年の始まりです。より良き老後のために良き習慣を身に付けて新しい生活を始めましょう。

人間の幸福、左利きの幸福

2005-05-16 | 左利き
私のブログ「お茶でっせ」での左利きを考える記事では、以前のお菓子の切り口といい、左利きに使いにくい水道の栓であったり、左手で取り上げにくい家電量販店のドライヤーの展示であったりと、もっぱらささいなことや実につまらぬことばかり取り上げている、と感じる方もおられることでしょう。

しかし、現実の人生というものは、この些細なことや一見つまらぬことの積み重ねの毎日です。
この些細なことをいかに処理し、こなしてゆくかが人の世の営みでしょう。
そしてその上にこそ、人の楽しみや喜び、人の幸福というものが築き上げられてゆくのではないでしょうか。

ベンジャミン・フランクリン『フランクリン自伝』松本慎一/西川正身訳(岩波文庫)の中で、次のように述べています。
「人間の幸福というものは、時たま起るすばらしい幸運よりも、日々起って来る些細な便宜から生れるものである」


さらに、サミュエル・スマイルズ『自助論』竹内均訳(三笠書房知的生きかた文庫)の中でこう述べています。
「人間の生活は元来、比較的ささいなことがらから成り立っているものなのだ。ちょっとした行動のくりかえしによって人間の全人格は形成され、国家の性格も決定される。堕落した人間や衰退した国家には、必ずといってよいほど、ささいなことがらを無視して来た形跡が認められる。」
「日々の経験が教えてくれるように、ささいなことがらに不断の注意を払うことは人間の進歩の前提だ。そして努力は、幸運を生み出す母親とも呼べるものである。」


スマイルズの言うように、この些細な事柄に向ける注意こそが、人の世を進歩させる原動力なのです。
左利きにとっては、ほんの少しだけれど使いにくいものがあるとか、左利きの存在が見過ごされているようなシステムであるとか、何かと不満の種はつきません。
それらをひとつひとつ掘り起こして行くことは、決して重箱の隅をつつくような卑小なことではないのです。
社会全体にとっても、非常に価値あることだと考えます。
一見些細なことと見えるものの中にこそ、人にとって社会にとって大切なものが含まれているように私は思います。

*
ちょっとした使いやすさが心にうれしいのです。
毎日毎日使い続けるからこそ、利き手に合った品物が使いやすく心地よいのです。重宝するのです。幸せの種になるのです。
右利きの人が多数を占める世の中では、その最大多数である右利きの人たちの幸福を追求すべく、些細なことから始まって、右利きの人に適した様々な道具や機械、システムが作られてきたのです。
そして、右利きに特化すれば特化するほどに、右利きには使いやすく、しかし左利きには使いづらいものになって行くのです。

その一方で、左利きの人はどうでしょうか。
些細なことひとつひとつにささくれがたち、心を突き刺してくるのです。
そげは小さいほど痛いものです。
それが常時、無数に心の肌を刺すのです。
これぐらいはみんな辛抱しているのだ、と歯を食いしばって我慢する人もいます。
あまりに常態化して、感じないようになる人もいます。
感覚を閉ざして保身する人もいます。ちょうど満員電車の中では感覚を遮断して、内なる自分の世界に避難するように。

本来、左利きの人には左手・左利き用の品物が心地よいのです。
左利きにふさわしい道具や機械、システムがあるのです。
それは決して、左利きの人のエゴや身勝手から言うのではないのです。ごくごく自然な内なる欲求にすぎないのです。右利きの人が右利き用を欲するように。
その辺を右利きの方にもそうでない方にも、ご理解いただければと思います。

右利きの人は右利き用の道具を選ぶ楽しみがあります。右利き用の世界でスイスイ泳ぐ自由があります。
それは右利きの人達の間でもっと評価されるべきです。
恵まれた環境にあると気付くべきです。
自分が恵まれた立場にあることを知れば、逆に恵まれぬ境遇の人の存在も見えてくるでしょう。
そして感謝すべきです。感謝の気持ちを抱けば、その喜びを分かちあう気分になることでしょう。
そうして初めて、恵まれない人達に対する思いやりの気持ちも生れるのではないでしょうか。

これは何も左利きの問題だけに限りません。
世の中のありとあらゆることについて言えることです。
恵まれた者は感謝の気持ちを忘れてはいけないのです。
そして思いやりの心で人と接してゆくべきです。互いに譲り合う気持ちがあれば、世の中はもっと円満に運営されてゆくのではないでしょうか。

互いを思いやる、些細な便宜の積み重ねの中にこそ、人間の幸福は見出されるのです。
身の回りの些細なことから世の中を見直してゆこうではありませんか。
それがきっとより良き明日につながる、と私は信じています。

※『フランクリン自伝』『自助論』は、『レフティやすおの本屋』本店「新しい生活のために/古典編」で紹介しています。

※本稿は、ココログ版「レフティやすおのお茶でっせ」より転載して、テーマサロン◆左利き同盟◆に参加しています。
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