購入したパルス波治療器を使い、手順を説明する上西医長
御坊市外5ヶ町病院経営事務組合が経営する「ひだか病院」(尾崎文教院長)は、10月から精神科に重度うつ病患者らへの先進的な治療として東日本を中心に全国的に行われている修正型電気けいれん療法を導入した。全身麻酔下で行うため、患者への苦痛はほぼなく、安全性が高いとされる治療法。総合病院の強みを生かし、新たな精神科医療を構築するため、県下では県立医科大学附属病院に続いて導入。軌道に乗れば紀南地方からの患者受け入れも検討する。
昨年10月に精神科運営委員会を設立し、総合病院の精神科という強みを全面に出し、今後の新たな精神科医療を構築し、地域のニーズに応えようと、修正型電気けいれん療法の導入を決めた。頭部に電気を流して脳機能を改善する治療法で、上西真也・精神科医長(35)は「昔の精神科病院をテーマにした映画などの影響もあり、怖い治療というイメージを持たれがちだが、現在は全身麻酔下で行うため、患者さんにとっての苦痛はほぼなく、安全性の高い治療」と話す。
対象は重度のうつ病、統合失調症の中でも特に緊張病性昏迷状態と呼ばれる、体が固まって反応が乏しい状態となる人が中心。薬剤が副作用で使えない人、薬の効果が乏しい人、精神状態が極めて悪く自殺のリスクが高い人、食事摂取が困難の人も対象になり、年間で2~3人、多い時で5~6人程度。これまでは県立医大に転院していたが、今後は自前で麻酔科をはじめ他の診療科と連携しながら行う。一例目は来週にも治療を始めるという。
手順は全身麻酔のあと筋弛緩薬を投与し、頭部の電極から5秒通電。脳波上のけいれんが起きている(全身の筋肉のけいけんはほぼ起こらない)ことを確認ののち、麻酔を解除する。おおむね手術室の入室から退出まで1時間で終わる。これを週に2~3回、合計6~12回行うことが多い。合併症として頭痛や筋肉痛、めまいなどがあるが、短期間で改善することが多い。死亡事故は極めて稀で、出産に伴う死亡のリスクよりも低いと言われている。
有効性は、薬物抵抗性のうつ病の60%程度に効果が見られ、特に高齢者や幻覚妄想を伴ううつ病、緊張病症状を伴う人への有効性は極めて高く、65歳以上への奏効率は90%とのデータもあるという。統合失調症は緊張病症状に対しては80~100%の有効率と言われている。一度症状が改善しても、その後再燃する可能性はあり、薬剤の継続など再燃防止のための治療が必要になることも多い。
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