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放課後 実戦教師塾通信九百十八号

2024-06-21 11:28:05 | 子ども/学校

放課後

 ~用のない子ども~

 

 ☆初めに☆

行き場がなくなる子どもたちの増える心配が、進行しています。原因の一つとして上げないといけないのが、「部活」のことです。ご存知と思いますが、千葉県・柏市は、部活の地域移行に取り組む自治体として、全国から注目を集めています。休日の部活は人材プールに登録した(官民を問わない)コーチが担います。これでブラックと揶揄され批判されて来た部活の問題も解消されればいいのですが、そうではありません。この波を一番に食らったのが、小学校だと思えて仕方がないのです。柏市は小学校での部活(特設クラブ ; 以下「部活」と表記)を廃止します。来年度を目途にするこの事案は、全国初と聞いています。地域にあるクラブに行く、というのが代案だそうです。悔しいです。

 1 子ども好(ず)き、頑張れ!

 小学校の部活は、陸上(駅伝も含む)・バスケットボール・吹奏楽(水泳が加わることもある)で、大体が構成される。過熱傾向にあった部活が、これ以上職員や児童の負担にならないよう大会の縮小・廃止が決まったのは、ついこの間のことだ。その記憶がまだ覚めないうちに、部活そのものがなくなる。確かに、仕方のないものもある。吹奏楽である。高額な楽器の購入と維持管理に加え、指導者の不足があるからだ。多様な楽器に応じた指導は地域のボランティアに頼る学校も多く、その人材が不足しているばかりでなく、ボランティアの高齢化が進んでいる。難しい。

 しかし、その他の部活はどうなのだろう。何より、身体を動かしたい子どもと先生は、なかなかに多いのだ。世の「ブラック」批判の陰に隠れて小さくなっているが、中学校でも部活をしたい教員は多い。忘れてはいけない、放課後も子どもたちと一緒にいたいという先生は、まだ結構いるのだ。もちろん、学校に残っていたいという子どももだ。今回の、小学校における部活廃止は、恐らく半世紀以上に渡って続いている「用のない児童・生徒は帰りなさい」というお達しに拍車をかける。はっきり申し上げるが、残っている子どもは、その必要があって残っている。帰っても恐ろしい家が待っているからなんていうウルトラなものに始まり、まだ遊びたいというものまで理由は様々だが、みんな「必要/用がある」から残っている。しかし、無責任に残すわけには行かない、という学校的事情もある。小学校のケースで考えよう。残りたい子どもの多くは、放課後に塾やクラブという別メニューを持たない、家に帰りたくない、あるいは学校を先生を好きな子である。家を忌避する子はともかく、先生から「そろそろ帰りなさい」と言われれば、子どもたちは素直に受け入れる。そんな中で先生の方も、子どもが抱えるものに分け入る眼差しを蓄積する。信頼関係の上に構築される「放課後」なのである。「残り勉強」もそのひとつだ。すると、その必要のない子も「一緒にしたい」「終わるまで待ってる」と駄々をこねたりする。仕方なく残したり残さなかったり。だからそういう先生は、保護者との連絡を欠かせないし、管理職の理解を得ないといけない。そして、自分だけいいカッコして/何かあったらどうするつもりかね/無責任だ/子どもを甘やかしてる等々の、同僚からの冷ややかな視線・言動をさばかないといけない。大変なのである。でもそういう先生、少なくない。学校、そして子どもの希望だ。頑張れ!

 2 英会話教室

 そんなわけで、小学校での部活廃止は、放課後に子どもたちが残る道が狭くなることを意味する。ここ半年の間に何件か、私のところに学童保育の高学年枠を広げて欲しい、という保護者からの相談が舞い込んでいるのだが、小学校で部活が廃止されることと関係しているのではないかと思えて仕方がない。学童保育での子どもたちの抱える諸問題を知らずに相談したいと思うのだろうが、学童保育は「放課後」の解決策としては慎重に考えないといけない。ことのついでなので言っておこう。この部活縮小(小学校では廃止)は学校のブラック企業批判ばかりでなく、いわゆる「働き方改革」なるお題目から来ている。教員の「授業の準備も出来ない」理由に、部活があげられるからだ。ここに手を付ければブラック批判に対応できるし、何より簡単だと思ったのだろう。しかし、欠けているのは「増えた仕事」の検討の方だ。小学校で削減するべきは英語だ。いや、正確には担任が英語まで教えることだ。真っ先にやめないといけない。初代文部大臣・森有礼の「日本語廃止論」のように、英語が「グローバル世界における必要」というなら、ALTの増置より英語教師を正規に配置することだ。こうすれば、英語の時間は先生の「空き時間」になる。補足すれば、大切なのは「日本語」だ。そう言ったのは、イチローだ。喜怒哀楽を表すのに別な言語を強制されるのは悲しいことだ、と言ったのは柳田國男だ(標準化政策のこと)。英会話教室に、お金を払って!夜!に通っている小学校教師がいることを、知らないとは言わせないゾ。こういう給料の使い方と、こんな「残業」があっていいはずがない。

 3 強引な統合

 最後にひとつ。柏市で義務教育学校計画が、猛スピードで進んでいる。現在の柏中学校と、その学区内小学校が統合されて義務教育学校となるものだ。ふたを開けたら1400人というマンモスの学校は、安倍内閣の時のような閣議決定→議会承認(追随)なるものと酷似している。学区の保護者や教員に対して、計画への希望聴き取りはもちろん計画への参加希望を打診する等は皆無だった。そして遅ればせながら議会で始まった質疑では、いい加減な「ちゃんとやってます」なる回答が乱舞している。まだ十分な余裕を残している柏中学校の敷地と、学区内の柏一小の老朽化が著しいことに目を付けていたのだろう。そして、柏一小は駅から目と鼻の先の一等地。跡地の売却で柏中学校内に校舎が建つという算段である。全国を見渡しても、ワースト3という柏市のマンモス義務教育学校構想は稿を改めて書かないといけないが、今日はひとつだけ。柏中学区のもうひとつの小学校、旭東小学校が統合されることである。この小学校はこのままでいいはずなのだ。そうすれば、義務教育学校のマンモス化も緩和されるし、課題として上がっている「スクールバス」も大げさでなくなる。しかし、旭東小学校の義務教育学校編入を、市当局は譲れない。

 この柏市義務教育学校構想には、ステージが三つある。土台・4年、充実・3年、発展・2年の合計で9年というものだ。旭東小学校が統合される理由はここにある。柏中が現在のままなら、旭東小学校の子どもたちは卒業して柏中に進学すればいいだけだ。ところが義務教育学校となった暁、6年間を修了した子どもたちをどこに編入するか、柏市行政執行部が困惑したのは想像するに難くない。しかし、躊躇を振り切ったようだ。全国に先駆けて、が好きな柏市である。面白い試みもないわけではないが、ここに来ての暴走ぶりは見過ごせない。

 

 ☆後記☆

先週の子ども食堂「うさぎとカメ」ですが、何がって野菜がすごかった。みちの駅や複数の個人の方の寄付に加え企業の協力を得て、仕分けから配布まで嬉しい悲鳴でした。利用者の皆さんの持参した袋が野菜で溢れて、思わず困りませんかと声を掛けたくらいです。でも「こんなにたくさん頂けて」という声。嬉しいです💛

この日は久しぶりの「飾り寿司」。大型のアンパンマンはプロの手作り、感謝です🥐 そしてメインディッシュのワンタンスープはお代わり続出で、こちらも嬉しい悲鳴でした☺

 ☆☆

いやぁ、藤井八冠、ついに崩れました。「(この日が来るのは)時間の問題と思っていた」という藤井君を、また好きになります。また、師匠の杉本先生の「また八冠に挑戦できるね」という言葉もいいなあ☖⛊

そして、オオタニさんは怒涛の21号🥎 頑張るぞ~🙌