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瀬戸際の暇人

今年も休みがちな予定(汗)

『何度も廻り合う』その12

2006年01月11日 22時31分37秒 | 桜トンネル(ワンピ長編)
前回の続きです】




「…7:10…ショーは20分位だって言うから、今から行っても間に合わないだろうなァ…。」


食い終えたテンプラ屋の前で、見るからにしょんぼり残念そうな顔してナミが言った。


「まーしょーがねーよ♪これも運命だと思ってあきらめ――ぐええっっっ…!!!!
「責任を摩り替えるな!!!!あんたがあんたがあんたがあんたが!!!!最後まで意地汚く噛付いてるから!!!!一体どんだけ食や満足するってのよもォーー!!!!」
「…ぶっっ苦じっっ…!!!止め…首じめんな…!!!ズドッブ!!ズドーーッブ…!!!」
「何時までもグダグダ言ってんじゃねェよナミ。たかがショーの1つや2つ見逃したくれェで人生大きく変んねェだろが。」
「変んのよ私はァ!!!」
「変んのかよ!??」

「……まァ良いわ…確かに何時までも悔しがってたって、時間を元に戻せる訳で無し…次の8時から行われる『ゴスペルライブショー』に懸けるわ!」
「ってまだショー観る気かよ!?…いいかげん、疲れたぞ俺は…。」

「未だ時間まで間が有るし…行く頃にはコンサートもう終ってるだろうけど…取敢えず食後の散歩がてら、パレスの方まで行くわよ!」
「………食後の散歩って……何回させりゃ気が済むんだよ!?おい!!」


しかめっ面して文句こぼしてるゾロを全く無視して、ナミが歩き出す。

店の裏に在る通りを、1人でどんどん歩いて行っちまう。

置いてかれちゃ困るんで、急いで後を追ってく…なんせコテージのカギ持ってんのナミだし。

後ろ振り返って見たら、しぶしぶといった感じではあったけど、ちゃんとゾロも付いて来てた。




その通りは今まで見て来たのとは全然違って、人の姿の見えない静かな場所だった。

幅の広い坂道で、店なんて1けんも無い。

両はじには背の高ェ木が、ずーっと上まで並んで立ってる。

枝には電飾が付けられてて、赤・白・緑とてんめつしてて、すんげーきれーだった。

まるで光の林だ。


「綺麗でしょう?『レンブラント通り』って言うんだって。『レンブラント』って言うのは、オランダ絵画の巨匠の名前。」

「なんか、ガキん時ナミと読んだ、おとぎ話に出て来た1場面みてーだな。」
「え?そんな話読んだっけ?ルフィ?」



『階段を下りると、人通りの無い、広い並木道が、遠くまで続いていました。

立並んだ木の葉っぱは、どれも銀で出来ていて、目がくらむほど、まぶしくかがやいています。

12人のお姫様の後を追っていた兵隊は、マントの影からうでをのばし、しょうことして枝を1本折り取りました。


――ぽきーん


進む内に、大通りの並木は、今度は金の葉っぱに変りました。』



「ああ!グリム童話の『破れた踊り靴』ね!12人のお姫様の行く先を知る為、後を追ってった兵隊が、銀や金やダイヤの並木道を進む場面…夢の有る、素敵な話だったわァ…。」
「そうか?どっちかっつうと極めて俗っぽい、欲に塗れた話に聞えるけどな。」

「うん!私も、見てて思い付いたわ!


その人通りの無い、広い並木道は、遠く遠く、黄金色に光り輝く宮殿へと続いていました。

並木は残らず黄金で出来ていて、枝にはルビーやダイヤやエメラルドが、鈴生りに光り輝いていました。


…どお?私ってメルヘン作家の才能有ると思わない??」

「すげーなナミ!赤・白・緑に光る電飾見て、ルビーやダイヤやエメラルド想像するなんて俺には出来ねーよ!」
「子供向けでは無ェよな。大人のメルヘン目指した方が良いぜ?」
「どおいう意味よそれ!??」




キラキラ光る林を抜けた前には、ナミの言った通りに、黄金色に輝くきゅうでんが在った。

きゅうでんの前には驚くくれェ大勢の人が居た。

それが、俺達が門をくぐるのとは入れ替わりに、門から出て坂道を下りて行っちまう…


「…どうやら丁度、クリスマスコンサートが終了したようね。」


ナミがボソッとつぶやいた、その顔に悔しさがにじみ出てる。

……ここで何か言うとタケヤブ、もといヤブヘビになりそうだからだまっておこう。

どんどんどんどん俺達の横を人が通り過ぎて、坂道を下りて行く。


あっという間に、きゅうでん前には数えるほどしか人が居なくなった。


「…きれーーなきゅうでんだなーーー……。」
「日本じゃねェみてェだな。」

「『パレスハウステンボス』って言ってね。このハウステンボスのシンボルで、モデルはオランダ、デンハーグに建築された王家の宮殿なんだって。この前庭も素晴しく綺麗だけど、ガイド載ってる写真観ると、後庭はまた更に美しいみたいよ。行ってみよう!」




ナミの言う前庭を抜けて、きゅうでんの中を通って後庭に出る。


観た瞬間、俺達全員「ほえーーー…!!!」とか「ふあーーー…!!!」とか……何てェの??言葉が上手く出て来なかった。

庭の真ん中には輝くでっかい噴水が在って、噴き上がる水は高くなったり低くなったり。

その前にはピカピカ光るクリスマスツリー??が何本も立ってる。

きれーな彫刻もあちこちに立ってる、ナミが言うにはギリシャ神話に出て来る神様らしい。

庭全体を囲むみてーな光のトンネル。

庭そのものがまるで、暗い夜の下で光り輝く絵みてェに見えた。


「……ビビに写真撮って送んなきゃ!!それとロビン先生にも!!」
「あ!!俺もとる!!とってウソップとサンジに見せねーと!!!」
「こりゃ…見事以外に言葉が出て来ねェよ…!」


写真をとりながら庭をうろつく。


ナミがトンネルくぐって庭1周しようってんで、そうする事にした。


「トンネルと言うか『アーチ』ね。『緑の回廊』って呼び方されてるみたい。光のアーチを潜って庭内1周出来るなんて、素晴しい設計だわ!」


トン…アーチはUの字みてェな形してて、所々開いた窓から景色が観えるように造ってあった。

くぐりながら、俺達は何枚も写真をとった。

きゅうでんをバックにしてもとった。


庭で写真をとってる人は俺達以外にも結構いて、さつえいには大分時間がかかった。

気が付けば次のショーが始まる10分前、またナミにせかされて、来た坂道を駆け足で下りてった。




ショーは港街のステージでやるって事で、戻って来た時にはまたすっげー人だかりが出来てた。

ステージは、初めてここに来た時に見た海賊船の前に、造られていた。

海ぞく船にも光が点っててきれーになってる。

広場だったんで、大勢客が入ってても、座る場所は見つかった。

ってかイスなんて並べてある訳でなく(あ、でも後ろに有るレストランの野外席座るって手も有ったってか…ステージからは遠くなるけど)、ステージ前てきとーに座るって感じだったからな。


座ってからちょっとして、やかましいくれェ大きな音楽が鳴り響いた。

クリスマスツリーや青くでっかい三日月で飾られた白いステージに、1、2、3……え~~と10人近くの歌手が上がって来た。

音楽に負けねェくれェの大声で歌う。

どいつもメチャクチャ歌上手ェ!!英語だから何て歌ってるか全然解んねェけど!


「あいつら黒人か!?」
「ゴスペルソングは元々、黒人ブルースやジャズに、聖歌の要素が加わって生まれたものだもの。本場のニューヨークから来たゴスペルグループ、『ハーレムメッセンジャー』だって!」
「どいつも歌上手ェな~!!何て歌ってんのか解んねェけど、ノリ良いし楽しいし俺好きだぞ♪♪」
「本当ねー♪どの人も声量が有って曲もリズム良くって、やっぱり本場のミュージシャンって感じで凄いわよね!」
「マイク要らねェんじゃねェか?はっきし言って。」


言葉は全然解んねェ。

でも歌が上手ェ事は良く解った。

自然とノッて手びょうし打っちまってた。

向うも言葉だけでなく、ジェスチャーで伝えて来た。

「立って!」と言ってるらしい。

言われた通り立ってやる。

周りに居る客も立ち上がる。

ゾロとナミも無理やりうで引張って立ち上がらせる。

「肩組んで!」とも言って来たんで、肩を組む。

恥ずかしがってたけど、ゾロとナミにも肩を組ませた。

俺の右にゾロ、ゾロの右にナミ、3人で肩を組む。

俺の左は知らない奴だったけど、こいつとも肩を組む。

肩を組んだまま、全員、右に左に体をゆらす。


オー!ハッピーデー♪

オー!ハッピーデー♪


…ああ、これなら俺にも解る!


――幸せな日、楽しい日。


やっぱりプロはすげェな。

歌上手ェだけでなく、ノせ方も上手ェ。


いつの間にか周り中立って肩組んで一緒に歌ってる。


「ミュージシャンって良いよな!歌だけで世界中渡って行ける!」

「…言われてみりゃ、そうだな。身一つ、ただ己の才能のみで渡る…憧れる生き方だ。」




「だから俺は、音楽家を仲間にしてェんだ!!!」





――………へ?何で…???




「………音楽家??音楽家を仲間にして何するってんだ??」
「何あんた?音楽家の友達が欲しかったの??」
「あ、いや……俺も何でこんな事言ったのか、自分でもよく解んねェってか…」
「自分で言っといて解んねェのか!?――おっかしな奴だな!」
「本っ当!」


ゾロとナミがあきれたように笑う。


俺も……よく解んねーけど、とりあえず笑っといた。





Oh!Happy dayー♪

Oh!Happy dayー♪






――今日は良き日、


神様に、この出会いを感謝します――








その13に続】





…ルフィの言う海賊船は、海賊船では有りません……再度、念の為。(汗)


写真の説明~、光の宮殿(パレスハウステンボス)、門前より…この素晴しさは、行って観なけりゃ解りません!!
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『何度も廻り合う』その11

2006年01月10日 22時44分28秒 | 桜トンネル(ワンピ長編)
前回の続きです】




「17:45に『ライティング・セレモニー』が始まるから観に行こう」とナミが言ったので、俺達はまた外へ出かけた。

ゾロだけコテージに残るって言い張ったけど、ナミとの口ゲンカに負けて、結局また3人で行く事になった。




「場所はお昼にクリスマスソングショーが行われたのと同じ、『アレキサンダー広場』って所よ。」
「行ったり来たり行ったり来たり行ったり来たり…何回リピートすりゃ飽きるんだ、てめェは!?」
「飽きずに惰眠貪リピートし続けてるあんたに言われたくないわよ。せっかく遊びに来たのに、普段と変らずただゴロゴロしてたんじゃ勿体無いでしょ?」
「何言ってんだ?せっかく遊びに来たからこそ、ゆっくりのんびり寛いで過しゃあ良いじゃねェか。誰にも気兼ね無くゴロゴロとよォ。」
「…だからあんたの場合、それじゃ普段の過し方と変んないじゃないの。」
「『ライティング・セレモニー』ってどんなショーだ?ナミ?」
「私も観た事無いからよくは知らないけど…ガイドに有る『光の街にイルミネーションを灯す感動的なセレモニーショー』との紹介文から推理するに、街の点灯式ってトコじゃないかしら?」
「てんとう??…でも何かもう周り中、明り点いてはいるぞ?」


夜になってすっかり暗くなった空の下、街にはポツポツと明りが点き始めていた。

道々通ってく途中に在る店に、オレンジ色のライトがピカピカ点っててきれいだった。


「けどドム・トールンとかツリーとか街路樹とか、結構点いてない箇所も多いでしょ?写真見る限り、未だ未だ、もっともぉっと綺麗になるみたいよ。」
「へー、ワクワクすんなァー♪早く点かねーかなー♪♪」




広場に着くと、野外ステージの前には人だかりが出来ていた。

すでにステージ前の席は全部埋まってる、どころか立観客でかべまで出来てる。


「今日は日曜だものねェ、もっと早くに来るべきだったわ!」


悔しそうに、ナミが言った。


しょうがないんで何とか背の低い立観客を見つけて、そいつの後ろに立って観る事にした。

こーいう時、背の高ェゾロはうらやましいよなー。




ショーが始まった、最初は話のろうどくからだった。


ある所にびんぼうな少年がいた。

そいつは親もいなくてさびしい奴だったけど、たった1人、いや、1匹のネズミが友達にいた。

だけどある日、そのネズミが死んじまうんだ。

独りっきりになっちまった少年は、悲しくて悲しくて、冷たくなったネズミの上に、ポロポロポロポロ止る事無く涙を流した。

その涙はいつしか光るしずくへと変り、どんどんどんどん辺りを明るく照らしてった……


「………てェか、『フランダースの犬』並に悲しい話だな。」
「…てゆーかクリスマス・ショーなんだから、もっと明るい話にして欲しいわよね。」


ゾロとナミの言う通りだと俺も思った。


ショーの最中にパカパカと馬の足音が聞えて来た。

足音する方へ首伸ばして見てみたら、そこには――


「サンタクロースだ!!!」


――そこには、光る馬車に乗ったサンタクロースが居た!


「やっぱクリスマス・ショーにはサンタが出ないとね♪」
「ま、盛り上がんねェわな。」
「くっそー!!人が多過ぎて上手く写真とれねーよ!!」


馬車から降りて、サンタがステージに上る。

白くて長いヒゲ生やしたサンタが、先が星の形したステッキを持ち高く振る。

ステージの上の奴等の歌声も高くなる。


――とたんに、街はいっぺんに明るくなり、歓声が上がった!


「すっげーー!!!とうが光ったァーーー!!!」
「見て見て!!後ろの大きなツリーも点灯されてる!!」
「成る程、こうやって一遍にライティングすんのか、巧い演出だな!」


まるでウェディングケーキみてェな、三段重ねの光るとう。

まるで光る実が沢山生ってるみてェな、でっかいクリスマス・ツリー。

周りに立ってる木も、1本残らずキラキラピカピカ。


ショーが終り、サンタはまた光る馬車に乗って行っちまった。

集まってた客も散らばってく、あっちこっちでさつえい会が始まってた。


ナミが自分達も写真をとろうと言った。


昼間見た、正面に花時計の飾られた教会の方へ行ってみる。

その教会も真っ白にキラキラ輝いてて、窓はうす紫色にピカピカしてて、もうメチャクチャきれーだった。

3人共真ん中に立つのを嫌がったんで、しょうがねーから今度は1人づつバラバラでとる事にした。

写す人の多い、人気さつえいスポットだったから大変だったけど、何とかスキ見つけて、でっけーツリー・教会・とうの3つ共入れて写真をとった。



「じゃあ、そろそろ夕食にしよーか?何食べたい?」
「おお!!さんせーだ!!!俺肉が食いてェェ!!!」
「俺は魚だな。和食が食いてェよ。」
「私も何となく和食が食べたいかな。洋食が続いてたからね。…2VS1、多数決により和食、魚食べに行こv」
「えええーー!!?肉ゥゥゥーー!!!!」
「肉は明日の昼!存分に食べさせてあげるわよ、ルフィ!」




魚料理食いに(←ちくしょー肉が良かった~)俺達は、元来た港街のスパ何とかに戻った。

その街の『サライ』って言う店のテンプラが美味くておすすめだから、そこで夕食にしようとナミが言った。


「『サライ』じゃなくて『真藍(さあい)』よ!!…以前私が来た時は『天狗』って名前の天婦羅料理屋さんだったんだけど、今は隣に在ったお寿司屋さんと一緒になって割烹居酒屋として営業してるんだって。揚げ立ての天婦羅が食べれて美味しいわよ~v」
「揚げ立てのテンプラか!?そりゃ美味そうだな♪♪」
「白い米の飯食えんなら何だっていいさ。正直洋食は飽きた。」



店の前に着く、料理の写真が貼られた板べいの真ん中が入口になってて、店名入った紺色ののれんが下がってた。


「なんかミスマッチだな」とゾロが笑う。

「建物は煉瓦造りの洋風、だけど和調。…このギャップが面白いんじゃない?」


のれんをくぐって扉を開けて中に入る。

だんぼうきいててあったけ~、ずっと外立ってショー観てたから、マジ有難ェと思った。

ここはおざしきだからくつ脱いで入るんだ、とナミに言われてくつを脱ぐ。

脱いだくつは、せんとうのゲタ箱みてェな所に入れて、カギかけるシステムなんだそうだ。

たたみに上がって店の人に案内されて、くるっと輪になってるような席に着いた。

下にしかれた座ぶとんが嬉しい。

真ん中には…調理場??どうやら俺達のちょうど前がテンプラ揚げる所らしかった。


「ああ成る程、客の前で揚げてくれるって訳か。」
「この席、変ってるな……床に穴開いてっぞ??」
「穴じゃなくて、掘り炬燵式って言って、座って下に足伸ばせる様なってるのよルフィ。その方が楽でしょ?」
「あそっかー!うん楽だ!確かに楽だな♪」

「で、何食や良いんだ??どれがお得でお勧めなんだナミ?」
「う~~ん………コースで頼んだ方が得だとは思うけど………1番安いコースで『華』、かしら…?」
「じゃあ俺はそれでいい。」
「あ!俺もそれ!!安くて量多くて美味いヤツが良い!!!」
「ルフィ、大声出さないで。…じゃ3人纏めて『華コース』でv」


注文すると同時に、お茶とオシボリが出て来た――ぬくい~~vv

「天つゆと先付けの『梅くじら』です」っつって、何か解んねー料理も出て来た。

どうやらこれ食って待ってろって意味らしい。

食ってみるとすっぺーけど結構イケた。

でもちょびっとしか無ェ……早くテンプラ食いてェなァ~~~。

周り見回すとまだそんなに人がいねェ。

「7時近くなったら入って来るんじゃない?」とナミが言った。

そのとなりでゾロが「やっぱ酒欲しいよなァ」とボソリとつぶやいてた。


しばらく待って、ようやく料理人らしきおっさんが、客席の真ん中開いてるスペース入ってって、俺達の前で料理し出した。

じーっと観てたら………粉といてコロモ作ってるっぽい??

ボールの下に氷当てて、シャカシャカかき混ぜてる……

考えてみたら、俺、テンプラ作るトコ初めて観るな~。

前にサンジにメチャ美味ェ天丼作ってもらったけど、サンジもこんなすげェスピードでシャカシャカかき混ぜんだろうか?

今度作ってるトコ観せてもらおう。


かき混ぜ終ったのか、おっさん手を止めた――で、店の奥に引っこんじまった。




……………ボールそのままにして帰って来ねェ………




…………………………。




……………………………………………………。






「ぐおおーーーーーー!!!!!メシメシメシメシ腹へったーーーーーー!!!!!早く食わせろーーーーーーーー!!!!!!」



「ルフィ!!!迷惑だからジタバタ暴れない!!!もう高校三年生なんだから、大人しく待ってなさい!!!!」
「あんだけ食い捲っててそれでも腹減らせるなんて、これも1つの才能だよな。」



またしばらく待って、よう~~~やく料理人のおっさんが帰って来た!!

今度はちゃんと野菜や魚にコロモ付けて、どんどん揚げてってくれた。

メシに味噌汁漬物も出て来た。

おっさん無言でジュワジュワ揚げてってくれる……なんかゾロに似たぶっちょう面だな~。

揚がったテンプラをかなあみ乗った器に盛って出してくれた――うおお!!!待ってました!!!!

天汁たっぷり付けて食ってみる。


「う……う……うんめェェェ~~~!!!!」


「涙流す程感動する事も無いでしょが、ルフィ。」
「いや確かに美味ェほほりゃ!!…やっぱ天婦羅は揚げ立てに限るな♪」


キスにメジナにサツマイモにシシトウにナスにイカにでっけーエビ3本。

どれもこれもカラッとしててあっつあつで最っっっ高に美味かった!!

赤だしの味噌汁もうんめェェェ!!

メシおかわりしてまで一気に食っちまった。


お茶のおかわりもらって一息入れる。


「あーーー………美味かった…!!」
「うん、美味かったな。ご馳走様!」
「2人に喜んで貰えて嬉しいわv…後は果物が来て終りだけど……待ってるとショーの時間に間に合わないなァ…」
「ショー??今度は何のショーだよ?」
「『光の宮殿クリスマスコンサート』。7時からパレスの方でやるみたい…後5分しかないわ……2人共、ゴメン!悪いけど、果物諦めて、急いで店出てくれる!?」
「えええーーー!!??なな何でだよォーーー!!???」
「明日って日も有んだから、今夜は諦めりゃ良いじゃねェか。」
「明日の月曜はこのショー休演なのよ。火曜には私達帰っちゃうから、今夜しか観る機会無いんだってば!」
「嫌だ!!!俺は果物食ってく!!!1品でも残したらもったい無ェし腹減るし、料理した人に悪ィじゃねェか!!!!」


「………ルフィ………あんたねェェェ~~……さっき1人で蜜柑3ヶ林檎1ヶ梨1ヶ柿1ヶバナナ2本も食っといてよくもそんな事言えるわね!!!?気付けばキウイ2ヶだけしか残ってないなんてざけんじゃないわよ!!!!あれは私が会員だったお陰でサービスとして貰ったもんなんだから!!!!あんた地上に有る食い物は全部自分のもんだとでも思ってんじゃないの!!!?ええ!!!?仰い!!!!!


「ぶっっ…!!!ぐええっっ!!!や…止め!!ナミ!!止めろ!!!腹ふみぐりすん…ぶへェ!!!ナスイカエビ味噌汁全部出ちまっっっ――ぐええっっっ!!!!」


――ぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐり!!!


「流石にキウイは皮付で食うと美味くないと踏んだんだろうな、こいつでも。」

「おぅい、此処のお客さん達に果物お出しして、早く!」



料理人のおっさんがさいそくしてくれたおかげで果物はすぐに出て来た。


果物は、ぶどうとオレンジだった。

もちろん残さず全部食った。(きっぱり)



急いで店を後にする俺達と入れ替わりに、10人ばかりの団体のお客が入って来た。


時間にして7:10…………結局、ショーには間に合わなかった。






その12に続】





写真の説明~、光の塔、『ドム・ツリー』…ドム・トールンにイルミネーションが点ったもの。

ライティング・ショーのクライマックスは、これを点灯するシーンで御座います。

今年の話はちょっと悲し過ぎっつか、真面目さがハウステンボスらしいとは思いましたが(笑)…やっぱクリスマスのショーは、個人的には楽しさだけにしといた方が良いかと。(汗)

ライティング・ショー自体は素敵でしたv毎年の楽しみで御座います♪


【2006年8/4追記】…【真藍】は8/1より、【花の家】と店名を変え、リニューアルオープンしました。

…残念ながら、話中で出したお座敷天婦羅コーナーは無くなってしまったらしいです。(涙)

とは言え天婦羅がもう食べられないって訳でもなく、今迄以上にお得なメニューも増えてますので、むしろ家族向けに改善されて悪くないかもしれない。

詳しくはまったりさんのブログにて。
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『何度も廻り合う』その10

2006年01月08日 22時35分22秒 | 桜トンネル(ワンピ長編)
――そろそろ前置きも面倒臭く、取敢えず連載スタート、前回の続きです。








探検はまだまだ続く。




コテージの中はどこもかしこも、びっくりするくれェごうかだった。



「こりゃちょっとした別荘だなァ。」


ひゅーっと口笛吹いて、感心したようにゾロが言う。


「見て見て!!此処のお風呂、バスとは別に洗い場が在る!!」
「へェ、そりゃ助かるな。狭っ苦しい思いして体洗わなくて済む。」
「お!?すげーぞここ!!便所にまで手洗いが付いてる!!」
「偶にトイレとバス一緒にしちゃってるトコ在るじゃない?合理的だけど、私、アレ苦手なの。トイレの横でお風呂入るのって気分的にねー。誰かがお風呂使ってる間、行けなくなるって問題も有るし。」
「脱衣所も充分な広さだな。タオルも大・中・小、様々。えっらい数揃えて有るぜ。はっきり言ってこんな使い切れねェよ。…お?此処、パジャマか。浴衣じゃねェのは良いな。」
「おお!!す!すげェ!!ゾロ!ナミ!こっち来てみろよ!!」
「あ、本当、パジャマだわ!…へェ?てっきりあんたは浴衣派だと思ってた。」
「浴衣だと寝てる間に帯が解けちまって煩わしいんだよ。だから旅行した時は大抵すっぱで俺は寝てる。」
「………先に注意しとくけど、今回は素っ裸で寝たりうろついたりしないでよね。」
「ゾロー!!ナミー!!こっち来てみろってー!!!」
「洗面所も、鏡大きく使い易い様にデザインされてて素敵ーv」
「ゾローー!!!ナミーー!!!なーーー!!!!」
「うっさい!!!!敢えて無視してんだから黙ってなさい!!!!」

「いーからリビング来てみろって2人共!!おんもしれーぞ♪♪」

「何よ!?プレステでも見付けたのルフィ!?」


「見てろよ?かべに取り付けられたこの水色の扉をガラッと開くと――ジャジャーーン♪」

「…嘘!?キッチン!?」
「マジかよ!?しかも電気式だぜ!!」


水色の扉をガラッと開いたそこには、何と電気式のキッチンレンジが在った。

ちゃんとヤカンまでセットされている。


ちなみにその左横にも水色の扉が有って、開いてみたらハンガースペースだった。

ちょうど良いんで脱いだ上着を掛けといた。


「やっぱサンジも連れてくるべきだったよなー。したらこれで、美味いメシ色々作ってもらえただろーし。」

「この簡易式キッチンじゃ、幾らサンジ君でも料理までは無理よ。精々お茶を沸せる程度ね。」


「こっちの戸棚にはビデオまで有りやがる。録画機能は無さそうだが…此処まで来てビデオ観ようって奴居るのかね?…ワイングラスにウィスキーグラスまで…下の棚にはカクテル用ミニバー、ツマミに金庫に冷蔵庫…酒もきっちり揃ってるな。今夜酒盛りするか?」
「未成年が何言ってんのよ!?」
「何だよ?てめェだってイケる口のクセして。」
「高校生ばっかで旅して不祥事は拙いでしょ?今回は健全な旅を目指すわよ!」

「健全ねェ…。」


「うはは♪見ろよ!このイス、ユラユラゆれておんもしれーぜ♪」


湖に向って大きく開いた窓の側には、座るとブランコみてーにゆれる変ったイスが置いてあった。


「ロッキングチェアね。優雅に湖畔の山荘にでも来た気分になれて良いわよねェ。」

「よし!このイスは俺の指定席決定な♪」
「じゃあ俺の席は、この寝心地良さ気な長ソファに決定な。」


ゾロの気に入ったイスは、背中ん所にでっかいクッションが2つ、右左はじに小せェクッションが1つづつ並べて有って、確かにねるのにちょうど良い長さだった。


「ちょっと!勝手に席決めちゃわないでよ!!じゃ、私は何処に座れば良いワケ!?」

「窓側のえらそうなソファが空いてんじゃんか。」
「そうだな。如何にも我儘女王様にぴったりの肘掛椅子だ。窓からの日差しバックにして座りゃ、偉さ倍増だぜ。」
「誰が我儘女王様よ!!??」

「なー2階の方も探検してみよーぜ!?」
「そういや、未だ誰も上がって調べちゃいなかったな。」




3人して階段昇って2階に行く。


1階リビングの仕掛けにも驚いたけど、2階の仕掛けはそれ以上にびっくりだった。

階段昇って右っかわにはベッドルームが在った。

左っかわにもベッドルームが在った。

その間にはまた便所が在った。


「…便所2つも用意しとく意味有んのかね?」
「あら?わざわざ2階に降りなくて済んで楽じゃないv」
「誰かがクソすんの長くても、がまんしなくてすむしな♪」
「クソ言うな!!!本当にルフィは下品なんだから!!」
「おめェも負けずに下品だっつの。」


どっちのベッドルームにもベッドが2つ、窓は1つ、かさ付ライトが置かれた丸テーブルにイス、たんすまで置かれてら。


たんすをパカッと開けてみる。


「うわうわうわああああああああああああ!!???」


「何だよルフィ?大声出して。」
「いきなり何??」


「たたたたたたたたんすの中に洗面所が在るゥゥゥゥ!!!!」


たんす(?)の左っかわの扉を開けると、そこには洗面所が在った。

ちゃんとタオル掛けや石けん入れ、うがい用のグラスも2つ置かれてたし。


「右側の扉開くとハンガースペースか…大した造りだ。」
「すっごい!!朝起きて身支度全て1部屋で出来ちゃうなんて嬉し~~vv」
「写真とってウソップに見せてやろー♪きっと驚くぜェ♪♪」

「…で、どっちの部屋選ぶんだ?」

「あ、そっか!どっちの部屋が男部屋で女部屋か、はっきりさせといた方が良いわよね。」
「俺TV!!TV有る方の部屋取りィ!!」
「右に同意。」


2つのベッドルームはほとんどおんなじようになってたけど、1つだけ違う所が有った。

片っぽの部屋はTV付、もう片っぽは引き出し付いた鏡台っつうの?が、置いてあった。

だんぜんTV付のが良いよな!


「私だってTV付の部屋のが良いわよ!!…此処は公平にジャンケンね!」
「うし、上等だ!」
「負けてダダこねんなよナミィ!!」


絶対に負けらんねェ戦いがここに有った。

ベッドルームで俺とゾロとナミの3人、静かににらみ合い、態勢を整える。


「「「ジャンケンポッッッ!!!」」」


「はいルフィの負けーーv」
「うああっっ!!!ちっきしょーーー!!!!」
「おめェ、最初の一手必ずグー出すから…」


2回戦突破、ゾロとナミ。(←ちくしょー)

再びにらみ合い、立つ2人。


「勝てよゾロ!!!負けたらサンジにバラすぞ!!!」
「煩ェ!!!敗者は黙って去りやがれ!!!」


「「ジャンケンポッッ!!」」


「はいゾロの負けーーvv」
「あああっっ!!!ックソォォ…!!!」
「あんた、決めの一手必ずチョキ出すんだもん♪」


――勝者、ナミ。(←悔しーーー!!)


「再戦!再戦!今度は5タンで勝負しよーぜ!!!」
「再戦は受付けません!!男が付いた勝負にグチグチ言うんじゃないの!!」
「TVーー!!!TV付じゃなくちゃ嫌だーーー!!!」
「1階にもTV有るでしょ?そっちで観れば良いじゃない!」
「1階じゃ、ねながら観れねーだろがナミのアホーーーー!!!」
「誰がアホだ!!?」
「男が鏡台付の部屋選んだって使い道無ェよ。やっぱおめェが入った方が相応しいと思うぜ?」

――ポン!!!

「あ!良い手思い付いた!!」
「良い手って何よ?ルフィ??」

「3人一緒に、TV付の部屋で寝る。…名案だろ♪」


――ゴンッッッ!!!!


「いいい痛ェェェ~~!!!」
「何処が名案よ!!?」
「だ、だってよ~~、3人共TV付の部屋のが良いっつうんだから、3人でねりゃ良いじゃねーか!幸いベッドもでっけーし…。」

「…確かに名案だな。思い付かなかったぜ。」
「ゾロ、あんたまで床に顔沈めたい?」
「ザコ寝位ェさんざっぱらして来ただろ?気にする仲じゃねェよ。」
「『男女6歳にして席を同じゅうせず』、ガキの頃と一緒にすな!!」
「良ーじゃん♪ガキん頃みてーにマクラ並べて一緒ねよーぜ♪♪そんで皆でTV観っぞー!!」

「……TVTVTVって…まったくもう……解った!私が鏡台付の部屋行くわよ!」
「ええ!?TVあきらめんのかナミィ!?」
「あんた見てる内に、TVに固執すんのが恥しくなったのよ、ルフィ。」
「最初っからそうやって素直に折れてりゃあ、平和だったっつうの。」


しぶしぶTVあきらめたって言葉のわりには、ナミのヤツ、優しい顔して笑ってた。

なんてェの?母ちゃんみたくな顔して笑ってたんだ。



「1階降りて何か飲も!紅茶に煎茶にほうじ茶珈琲、色々用意して有ったわよ!」


階段を降りながらナミが言う。


「さっき紅茶飲んだからなァ、今度は煎茶が良いな。」
「あ!俺はコーヒーが良いぞ!!」
「じゃ、間を取ってほうじ茶ね!」
「「何だそりゃ!??」」




1階降りてゾロは長ソファに、ナミは女王様ソファに、俺はユラユラゆれるイスに座った。

ナミがほうじ茶3人分いれて、カップに注いでよこした。

長ソファの横には丸テーブル…かさ付ライトに電話にポットが上に置かれてあった。


「ポットが有んなら、あのキッチン必要無ェんじゃねェか?」と、ゾロが笑った。


「1…2…3…4…計8枚か。」


ほうじ茶飲みながら、ナミがつぶやく。

「8枚って何がだ?ナミ??」

「リビングの壁に3枚、階段上がった所に1枚、各寝室の壁に2枚づつ…計8枚の絵が、額に入れられて飾ってあったでしょ?」


……言われてみれば、有ったような???

リビングのかべ見回してみたら、確かに3枚の絵が飾られていた。


「主に中世オランダの風俗を描いた絵ね。ウソップが居たら、長ったらしく批評始めてたかな、と思って。」


美術部員のウソップは、絵がとても上手い。

上手い絵を観ると、必ずひひょーかみてェに、ひひょーすんのが趣味だった。


「ま、なんだ。優雅で宜しいこった。」


ソファの上ねっ転がりながら、ゾロが笑った。



「明日の予定でも組みましょうか?ガイド見て行きたいトコとか有ったら、丸して私に渡して。それ参考にして予定組む様にするから。」
「おお!!組もう!!組もう!!」


ジーパンの後ポケットに丸めてつっこんどいたガイドを取り出す。

ナミから渡されたボールペンで、場内地図の上に丸付けてった。


「この『ミステリアス・エッシャー』って何だ?」
「あんたが買った貯金箱に付いてた絵、ああいう絵の世界を3D映画で体感させる館よ。」
「あのだまし絵か!?面白そうだなー♪よし、それ行くぞ!!」

「『天星館』は?占いをテーマにしたプラネタリウム・ショーだけど。」
「プラネタリウムか~~、きれーそうだな♪それも行こう!!」

「『ホライゾン・アドベンチャー』は?大洪水を体感させるアミューズメント・シアターだって。」
「大洪水!!迫力有って面白そうだ!!行こう!!!――この『フライト・オブ・ワンダー』ってのはどんなんだ!?」
「それは小っさい子供用遊戯施設よ。……ゾロは?行きたいトコとか、何か要望は無いの?」

「俺はいい。明日は此処で1日中ゴロゴロしてるさ。」
「却下!」
「却下すんのかよ!!?」




気が付いたら、窓の外はすっかり暗くなっていた。

時計を見たら、5時過ぎてる。


ナミが言うには、長崎は東京より約30分、日の入・日の出が遅いんだそうだ。


周りのコテージに明りが点いて、それが湖に並んで映ってきれいだった。






その11に続】





写真の説明~、ルフィが話中で言ってた、洗面所が中に付いてる箪笥…事情が有って、写真を更に撮影した物なんで歪んでる…観辛くて済みません。(汗)

最初にこれ見た時は結構びっくりするかと。(笑)


レンジやビデオは使った事無いです…使ってみたいけどね。(笑)


あ、それと、Fくちゃんから言われて気が付いたんですが(有難う御座いました、Fくちゃん)、全てのコテージのバルコニーが湖に張り出してる訳じゃないです。(汗)

湖に張り出してるタイプが良い場合は、その辺り予約時に、ホテル側に要望出しといた方が良いですよ。
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『何度も廻り合う』その9

2006年01月07日 22時24分23秒 | 桜トンネル(ワンピ長編)
――ダラダラ連載、ダラダラと新年初書きにして、前回の続きです。







サンドイッチもスコーンもケーキも食い終ったし、ロビーの演奏も終ったしで、そろそろチェックインしようかって話になった。


席を立とうとしたら、店の人がまたすーっと近付いて来て、今日飲んだお茶っ葉を記念にって俺達によこした。

ゾロにはダージリン、ナミにはアール…なんつったっけ??ミカンみてェなにおいの茶、俺にはシャンパー……イチゴジャムのにおいしたヤツだ。

ちっちぇ袋に1回分くれェしか入ってねェのはがっかりだったけど、記念だしな、ぜいたく言うなってナミに怒られそうだからだまってた。

ナミは感激して、家に帰ったらノジコやゲンさんにもいれてあげるんだって、大事そうにベルトポシェットん中しまってた。



そんで結局、ゾロと俺のお茶代はナミに払ってもらう事にした………正直後がメチャクチャ恐かったけど。

レジんトコで金払うんだろうと思ってナミの後ろついてく。

したらナミは、「会計は部屋付けにして後で精算する積りよ」っつった。

「場内ホテルに泊ってる間、ホテルで飲食した代金は、後で纏めてチェックアウトの時に支払ってもOKなんだって。だから今はサインするだけね。」

「へー!便利だなァー!」

「とまァそんな訳で…部屋付けにして貰えます?」

「かしこまりました。それではお客様のお部屋の番号を――」

「…………あ……!」


レジ係の女の言葉に、ナミがぎしっっと音出して固まっちまった。


「…お、おい…ナミ…どうした!?」
「何だー??便所でも行きたくなったのかー??」

「……あの…ひょっとして…チェックインしてからじゃないと、部屋付け駄目だったりします…?」

「…え?ええ、申し訳有りませんが……」

「――嗚呼!!馬鹿だっっ…!!私…大馬鹿だわァァ…!!どうして気が付かなかったのよォォォ…!!!」


よく解んねーけど、みるみるナミは落ち込んでって、レジ前で頭抱えてうずくまっちまった。


「……お前…まさか手持ちの金が足りねェとか…?」

「ううん…それは足りるけど…。」

「なんだ…なら良いじゃねェか、この場で払っちまえば。後だろうが今だろうが、払う料金は変んねェんだろうが。」
料金変んなくとも気分が頗る変んの!!!…この私とした事が、こんな単純なミステイクしでかすなんて……悔しいィィィ~~~~!!!
「あっはっは♪ナミはうっかりさんだなァァ~~~♪♪」
「うっさい!!!あんたにだけは言われたくないわよルフィ!!!!」
「あ、あの…!宜しければお待ちしますので…!直ぐ隣がフロントですから、どうぞチェックインされてから…あの…!」


取り乱すナミに引きずられたのか、レジ係の女までオロオロしながら話す。


いいえ払います!!払えば良いんでしょ!!…後だろうが今だろうが払う料金は同じだもん!!」
「……だからさっきから俺がそう言ってるだろうが…ったく、面倒臭ェ女だぜ。」
「うっさいっつったでしょ!!!!グダグダ言ってんならあんたに全額払わせるわよゾロ!!!!」


顔面から悔しさみなぎらせてナミが金を払う。

そんなナミを相手にレジ係の女は、可哀想なくれェおびえてた。

……怒ったナミはえん魔様より恐ェからなァァ。



結局、お茶代はレジで現金払い、その後ようやくチェックインしようと、3人してフロントへ向った。



その前に、さっきとろうとしたお菓子の家や車に乗ったサンタを横にして写真をとった。

シャッター押そうとしたトコでホテルの人が近付いて来て、「宜しければお撮りしましょう」って言ってくれたんで、カメラ渡して頼んだ。

おかげで3人一緒に写真に入れた――親切だなァ。

またゾロを真ん中にしようとしたら、「てめェが真ん中立ちやがれ」っつって殴られた――不親切だなァ。


ロビーの真ん中にすんげー沢山のきれーな花が飾ってあったんで、これをバックにしてもとってもらった。

聞いたら400~500本くれェ花びん(って言うかでか過ぎてツボにしか見えなかったけど)に活けてあるらしい、しかも毎金曜に変えてるらしい――ぜいたくだなァ。


お茶代を部屋付けに出来なかったのがよっぽど悔しかったのか、ナミはしばらくプリプリ怒ってて触れんのも恐ろしかった。

けどロビーに飾ってある色々を観たり、写真とったりしてる内に、いつの間にやら鬼の顔を止めていた。

それ見てたゾロが後ろで、「まったくこの女は気分コロコロ変えやがって…扱い難いったらねェぜ」とか何とかぼそりとつぶやいてたけど、幸いにもナミには聞えなかったらしかった。




きれーなクリスマスリースの飾られたフロントで、ナミがチェックインをお願いしてる間、俺とゾロは後ろの高そうなイスに案内されて、ウェルカムドリンクもらって待っていた。


………ココア??


「ホットチョコレートね。」

受付し終えて戻って来たナミが、飲みながら言った。

「チョコレート??これ液体だぞ???」

「チョコレートは初め、飲み物にして嗜好されてたのよ。現代では固形にした物のがポピュラーだけどね。」

「へー、そうなのか~~。」
「だから要はココアだろうが。」


ちっちぇ白いカップにほんの1口分…甘くて温かくて美味かったんでおかわりもらおうとしたら、ナミに「サービスを過剰に受けようとすな!」って怒られた。




飲み終ってカップを返したトコで、ホテルの裏口に案内された。


外に青い車が停まってる、いよいよ泊る部屋に連れてってくれるらしい。


……ん?あれ??このホテルに泊んじゃねーのか???


「待て。泊るトコって此処じゃねェのか?」


ゾロも疑問に思ったらしい。


「ああ、面倒だから端折って説明するけど、私達の宿泊するトコはフォレストヴィラって言うコテージでね、このホテルに泊る訳じゃないの。ただ受付は此処、ホテルヨーロッパとなる訳。」

「……ややこしいなァ、おい。」

「元々の受付だった場所がスパの受付になっちゃったんだもの。仕方ないわ。」
「まー良いじゃねーかゾロ!早く車乗って行こーぜ!泊る部屋どんなんか見てーし♪」




車に乗せられ1分もしねェ内に、木や家が立並んだ場所へと出た。


家はかべが白と赤レンガの2タイプ有って、形はどれもおんなじだ。


その内の1けん、小さな赤い実が沢山生ってる木の側の、赤レンガのかべした家の前で車は停まった。


ここが、俺達の泊るコテージって事だった。


「素敵v柊の様に緑の葉と赤い実を沢山付けた木の側のコテージだなんて、クリスマスシーズンにぴったりv」

「なんて木だろーなー?…食えんのかなァ?この実。」
「何でも食おうとすな!!」



車から降りてホテルの人がカギを開ける。

木のドアにはクリスマスリースが飾られていた。


ガチャンと開き中へと案内される。



「玄関入って直ぐ、壁面のボックスにキータッグを差し込みますと、照明暖房TV等全ての電源が入りますので。」


とたんにパッと部屋の明りが点いた――す、すげェェェ!!!


「キータッグを此処から外しますと、電源はオフになります。」


今度はパッと部屋の明りが消える――おおお面白ェェェェ!!!!


「すげェすげェすげェすげェおんもしれェェェェ~!!!お俺にもやらせてくれェェェ!!!」
「ルフィ遊ぼうとすんじゃない!!!」

「いやまったく凄ェな。見掛けによらずハイテクだ。」


玄関上がってすぐ左には風呂と洗面所、その横にはトイレ、右は2階へと続く階段――2階まで在んのか!?ますますすんげ~~!!


1階のろう下を進んで水色の扉開くと、そこは広いリビングだった。

すでに荷物が中に運んで置いてある。



ざっと説明し終りホテルの人が帰ってく、ドアをガチャンと鳴らして外へ出た…と同時に俺達全員ニヤーンと顔を見合わせ、さっそく室内探険にくり出した。


「すっげーなーー!!」

「本当、すっごい!」

「見ろよ!フルーツセットが置いてある!!」
「って先ずそこかい!!!」


リビングのテーブルには、ナシ・カキ・リンゴが1つづつ、バナナ・キウイが2つづつ、ミカンが3つ、銀色のトレーに盛られて置いてあった。

皿にフォークにナイフにナプキン、メッセージカードまで一緒に置いてある。


「『Merry Ⅹmas 光の街 ハウステンボスへようこそ』…これ、お手製よ。折紙で折ったポインセチアが貼ってあって素敵v」

「こういうフルーツサービスって宿泊客全員にしてんのか?だとしたら大変なんじゃねェの?」

「良ーい所に気が付いたわねゾロ!実はこの特典は私が『カスタマーズクラブ』に入ってる事で受けられたサービスなのでェす!」

「「カスタマーズ??」」

「入会金も年会費も不要ってんで入っといたの♪会員の特典の1つに『ラッキーデー』って言うのが有って、こっちが設定しといた日(←注:設定日より前後2週間の範囲まで適用OK)に宿泊するとフルーツセットを用意してくれるって訳!」

「…お前……高々フルーツセットの為にそんなん入会したのかよ…?」

「あら、他にもチェックアウトを1時までに延長出来たり、サイン1つでチェックイン出来たり、記念日には部屋のグレードアップ(←注:これも記念日より前後2週間の範囲まで適用OK)してくれたり、いっぱい特典有るんだから!入会して30ヶ月宿泊が無ければ自動的に失効になるし、何より只で入れるんだから損は無いでしょ!?」

「ああ解った解った。仰る通りお得だよ。」

「ふん!まっひゃくほふは!ふへえひょほほひはん!!」
「…ってあんたは早速蜜柑食ってるし!!ちょっとは食から頭切り離したらどうなの!?」

「ほひゃっひゃほんほひゅふひひゃひゃふほは、ほへひょひゅひひゃ!!へっひゃふふいひゃんはひ、ひょほほほひゃへっほへほひゃひひひょうへ!!」
「っつか全部食べようとすな!!そのフルーツはあんただけのもんじゃないんだからね~~!!」

「おい、ちょっと2人共、こっち来てみろよ。絶景だぜ!」

「絶景?」
「へっへェ??」



窓から外のベランダ出てたゾロに呼ばれたんで、ナミと行ってみる。


目の前には、湖が広がっていた。


「素敵…湖に張り出したバルコニーだなんて…水面に映る紅葉した木々…ひっそりと湖の周囲に佇むコテージの並び…まるで絵葉書を観るみたい…。」

「良い眺めだろ?この景色を観れただけでも来た価値有ったかもな。」

「へェェ?誰かさんのブータレ病も治しちゃうなんて、このコテージを療養所に選んだ甲斐が有ったわァ。」
「…誰かさんって誰の事だよ?」
「さァて、誰でェしょお♪」
「…けっっ、誰かさんこそ、何時の間にか不機嫌治してやがって、付き合いきれねェってのっっ…。」
「……その誰かさんって、誰の事よ?」
「さて、誰の事やらァ~。」
「お!白鳥だ!白鳥が2羽こっちへ泳いでくっぞ!!」


湖の真ん中には島が在って、そっから2羽の白鳥がスイーッと泳いで、俺達の居るベランダ下まで寄って来た。


「餌をくれって言ってるみたいよ。」
「流石、観光客馴れしてるな。」
「つってもなー、リンゴ丸ごと落としてやる訳にいかねーし…」
「あんた、お昼にバナナマフィン買ってたじゃない。あれ1つあげれば?」
「えええ!!?嫌だ!!!なんで俺の食べもんやんなきゃなんねーんだよ!!??」
「ルフィ、あんたに有難ァい言葉を教えてあげる。『人はパンのみに生きるに非ず』…少しは『与える』って事を学んだら?」
「なんだよそれー!??パン無かったら腹減って死んじまうじゃねーか!!!」
「あら?パンが無かったらお菓子を食べれば良いじゃない。」
「バカだなナミ!!お菓子はデザートだぞ!?パンの前に食っちまっちゃいけねーんだからな!!」
「おめェらさっきから会話噛合ってねェよ。ってか支離滅裂だっての。…時にあの硝子張りの建物は何だ?」


ゾロが指差した右の方角には、でっかいガラスのドームみてェな建物が在った。


「あれは『ウェルネスセンター』って言って、プールやスパを営業してる所よ。明日、明後日の朝食会場もあそこ。」

「ああ、さっき言ってたこのコテージの元受付か。」

「へー!ここプールも在んのかー!!よし!後で行ってみよーぜ♪」

「カナヅチが何言ってんの!でも綺麗なプールよ。温室の様な、熱帯植物の繁ったトロピカルデザインのプールでね、時間が有れば寄ってみたいけど……多分、無理ね。」



夕陽が湖ん中うつって、ユラユラゆれながら光ってた。

湖がオレンジ色にそまってる、「もう直日が暮れるわね」と、ナミがつぶやいた。


白鳥はいつの間にか遠くに行っちまってた。


「餌をくれる気配しねェんで、他んトコ営業回り行っちまったんだろ。…しっかりしてるぜ。」


ゾロがあきれたように、笑って言った。






その10に続】






…漸くチェックイン~。(汗)


フォレストヴィラは綺麗です、場所と部屋だけで言うんなら、1番の宿泊施設だと自分は思いますね。


『カスタマーズクラブ』、場内ホテルに宿泊するなら、入っとくと何かと便利、チェックアウトが午後1時ってかなし有難いっすよ。

詳しい説明は『カスタマーズ・コンシェルジュ』に連絡して、聞いてみて下さい。


ハウステンボスのスパ『RIN』は、結構評判良いみたいです。

体験レポがまったりさんの『ハウステンボス雑感』で詳しく書かれてますんで、宜しければ御参照下さいませ。

…って、毎度リンク勝手に貼っ付けて紹介しちゃって済みませんです。(汗)



【8/20追記:写真の説明】…フォレストヴィラのバルコニーから観た夕景。

湖に夕陽が映ってます。


…勝手ながら『その30』と写真取替えました、済みませぬ。(汗)
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『何度も廻り合う』その8

2005年12月30日 23時46分04秒 | 桜トンネル(ワンピ長編)
連載中ちょっとミス発見したりしたんで、訂正致しました。


…と申告した所で、ダラダラ連載年内最後の更新、前回の続きです。








船から降りてホテルの中に入る。


中は、びっくりするくれェ広かった!



入ってすぐ目の前は…レストラン??になってて、ずらーーっとイスやテーブルが並んでる。

そこだけでも充分広ェのに、一段上がるとさらにだだっ広いロビーへと続いてた。

天井も広ェ、っつか高ェェェ~、シャンデリアも高そうだ、別の意味でだけど。



「はー………圧倒されちまうな…。」

「アムステルダムに在る100年の歴史を持つ同名のホテルを再現した造りになってるんですって。ロビーのあちこち点在してるソファなんかも全て、18~19世紀のヨーロッパをイメージしてデザインしたんだそうよ。オープンしたての頃に1度泊まった事有るんだけど…子供心に美術館にでも来たのかと思ったもんよ。」

「??何だ?…何か、良いにおいしねーか?」

「気付いた?ポプリの香りよ。館内中焚かせててね、フロア毎に変えてるんですって。」

「明りがオレンジっぽいなー。」

「ポプリを焚いてるのもそうだけど、訪れた人がリラックス出来る様に、柔らかい光に設定してあんのよ。」

「こんだけ広けりゃ存分に剣の打ち込み出来るぜ。」
「しようとすな!!!」
「体育館くれェ広いもんなー。充分暴れられるぜ♪」
暴れようとすな!!!!あんたらホテルのロビーを何と心得てんのよ!?」



ロビーの玄関前には、色々クリスマスっぽい飾りがされてて面白かった。


「おっ!見ろ!!サンタがいるぞ!!サンタが車乗って片手挙げてあいさつしてら!!…あっ!こっちにはお菓子の家が有る!!うおお!!すっげー!!本当に家もツリーも魔女もサンタも全部お菓子で出来てる!!かじりてー!!――よし!全員集合だ!!これと一緒に写真とるぞ!!!」
「はいはい、それも後!全部後で!只今時刻2:30、アフタヌーンティーに行くわよ!」
「おお!!そうだケーキバイキング!!どこでやってんだ!?」

「…アフタヌーンティー!丁度この後ろ、『シェヘラザード』ってバーラウンジでよ。」



振り向くとそこには、ロビーに続いてきっさ店っぽい店が在った。

入口には『アフタヌーンティー』のメニューが出ていて、花模様のティーカップやポット、それに出て来るケーキの見本が飾ってあった。

エクレア・チョコレート・イチゴにロールケーキ…色々有るぞ♪……けどちょっとちっちぇな。

店の奥ではすでに何人もの客が、美味そうに食ったり飲んだりしていた。

おっっ、ここにもクリスマスツリーが飾られてるぞ。



「入る前に3つ注意しとくわ。1つ、『大声を出さない』。2つ、『音立てて飲み食いしないようにする』。3つ、『お代りは1度だけ』。守れない人はホテルに代って折檻よ!」
「ええ!?好きなだけ食えるバイキングだって言ったじゃねェか!!」
「だからバイキングじゃないってば!!!あくまでも優雅なお茶会なんだから!気品漂う雰囲気ぶち壊して店や他のお客に迷惑懸けるなって言ってるのよ!!」

「「へ~~~い。」」




店の人に案内されて、俺達は席に着いた。

4人用のテーブル席で、俺のとなりにナミが、前にゾロが座り、脱いだジャケット・コートをゾロのとなりの空いてる席に置いた。

やたらふかぁっとしたソファで、座りごこちがとても良かった。

「座ってる内に眠っちまうかもな。」

とか言ってゾロも結構気に入ったらしい、にんまりしてる。

「外国製の特注なんですって。」

「まァ、このソファは良いとして…たかだかお茶すんのに大皿ナプキンフォークにナイフまで、ちと大仰過ぎやしねェか?」

テーブルの上には、まるでフランス料理食べに来たみてェに、皿の上にナプキン、右と左にナイフとフォークが置かれてた。

「あら、これこそがアフタヌーンティーの正しい様式なのよ。TVなんかでよく紹介される、3段のケーキスタンドにケーキスコーンサンドイッチを乗せて…ってのは伝統的なモノではないの。」


カッコ良く正装した店の人が、トレーに6つのグラスを乗せてやって来た。

グラスん中には1つ1つ違った種類のお茶っ葉が入ってて、においをかいで好きなのを選んでくれって事だった。


「『ダージリン』、『アッサム』、『ウバ』と言った定番種以外にも、フルーツとスパイスをブレンドした茶葉『ダルマ』。アールグレイの古典、キームン紅茶をベースにした『アールグレイ・クラシック』。シャンパンとフレッシュ・ストロベリーで香り付した『シャンパーニュ・ロゼ』。特に『アールグレイ・クラシック』と『シャンパーニュ・ロゼ』は、11月のラインナップとして新たに加わった物です。」

「じゃあ、私は『アールグレイ・クラシック』を。」
「あ、んじゃ俺、このイチゴのにおいするヤツ!」
「俺は普通に『ダージリン』で良い。」



しばらく待ってるとさっき注文聞いて来た人が、テーブルにポットなんかを乗せて、カラカラと引きながらやって来た。

そんで持って来たポットから、カップに紅茶を注いでくれた――親切だ!

カップに1杯分を注いだ後、ポットにボウシみてェなのかぶせてテーブルに置いてった。


「最初の1杯はウェイターが入れる約束なの。2杯目からは用意してあるこの『さし湯』を使って、自分好みの濃さに調節して自由に飲むよう決められてるわ。」


俺の選んだシャンパー何とかは、聞いた通りに、まるでイチゴジャムが入ってるような、甘くて良いにおいがした。

けどワクワク期待して飲んでみたらちっとも甘くねェ…がっかりした。


「そりゃそうよ。砂糖やミルク入れてないんだもん。」


笑いながらナミが、砂糖とミルクが入ったツボをよこす。

砂糖はよくきっさ店で見る四角形じゃなくて、小石みてェな形した白と茶色の2種類が入ってた。


「砂糖は白とブラウンの2種。ミルクは常温に。茶器は銀かボーン・チャイナ。テーブルクロスは白のリネン(麻)。これこそが正しいティー・テーブル・セッティングなのよ。」

「へー。」

「元来のアフタヌーンティーは、貴族が社交を目的として開いた午後のお茶会。19世紀頃、元ヴィクトリア女王の侍女で、後第7代ベッドフォード公爵夫人となった『アンナ・マリア』が考案・普及したとの言伝えが有るわ。」

「へー。へー。」

「アフタヌーンティー伝統の3要素というのが有ってね。1つ目は『ティーは正しく入れるべき』。2つ目は『お茶請けの食物は豪華であるべき』。3つ目は『テーブルセッティングは優雅であるべき』。此処のアフタヌーンティーは、栄光有るヴィクトリア王朝時代の様式を極力再現するよう試みたんだって。」

「へー。へー。へー。」
「たかが茶を飲むのに薀蓄要らねェよ。むしろ茶が不味くなっちまう。」


砂糖を3つ、ミルクをたっぷり入れてから飲んでみる。

甘ァいイチゴジャムのにおい、甘ァい砂糖、ミルクの味。

のどがかわいてたんで、一気に飲んじまった。

ポットから2杯目を注いで、また砂糖を3つ、ミルクをたっぷり入れて飲んだ。


「う~~ん、良い香りv…この爽やかなシトラスの香り、やっぱり紅茶はアールグレイよねv」

「本当だ。ナミみてェにミカンくさいにおいだな、この紅茶♪」

「……嫌な言い方するわね、あんた。」

「えー?良いじゃねェか。ミカン良いにおいで好きだぞ俺!」

「ま、悪くねェ匂いの茶だな。」



3杯目の紅茶を飲み終った所で、サンドイッチが出て来た。

「紅茶のお代りをお持ちしましょうか?」と聞かれたんで頼んだら、ポットごと持ってって、またいっぱいにしてテーブルに置いてってくれた。

一緒に砂時計を置いてって、この砂が下に降りたら茶葉が開いて飲む頃合になってるからっつって教えてくれた。


出て来たサンドイッチは、1人分が白いサンド4つ茶色いサンド2つの計6つしかなくて、しかもメチャクチャちっちぇ物で、ものすげェがっかりした。

付け合せのピクルスだって1本だけ…こんなんじゃ3秒もしねェ内に全部食べ終わっちまう。


「『フィンガーサンドイッチ』って言って、レディが優雅に指先で抓んで口元持ってけるようにって、小さく薄ぅくスライスしたパンに、薄ぅくスライスした野菜やハムやチーズを挟むっていう、お茶請け用としての決まりが有んの!」
「え~~?さっき『お茶請けの食物は豪華であるべき』って言ったじゃんか~~!足んねェ、こんなんじゃ全然足んねェよォ~~~!」

「各1回だけなら許すから、後でお代りなさい。それと紅茶だけは自由に何杯でもお代りして良いわよ。」
「ナミの鬼ィ~~!お茶ばっか飲んだって腹ふくれねーよ~~!」

「確かに物足んねェサイズだが…味は良いな。特にこのサーモンのヤツ、イケるぞ。ピクルスも美味ェ。酒が欲しくなる。」
「本当かゾロ!?……うん、ふめェ!サーモンのも美味ェけど、ハムとチーズのも美味ェぞ♪」


サンドイッチはハムとチーズ・サーモン・トマトとかキュウリの生野菜の3種類有って、どれもメチャクチャ美味かった。


「19世紀頃のイギリスでは、工業化が進んで農業人口が減ったのね。結果として大抵の食料品を外国からの輸入に頼る事となり、新鮮な生野菜が中々口に出来なくなっていたの。だから生野菜のサンドイッチをお茶請けに出す事は、自家菜園を持つ上流有産階級である事を自慢する意味も有ったんだって。」

「へー。ナミは何でも良く知ってるなーー。」



サンドイッチを食べ終ると、今度はスコーンとショートブレッドについて…スコーンはプレーンとレーズン入りの2種類、ショートブレッドはプレーンとチョコチップの2種類が有るけど、どうするか聞きに来た。

もちろん俺は全部持って来てくれるよう頼んだ。

ナミはプレーンとレーズン入りのスコーンを1つづつ、ゾロはプレーンのスコーン1つだけを選んだ。



『ショートブレッド』って言うからパンかと想像してたら、出て来たのは穴ポコ開いたチーズ形した、大きなビスケットみてェな物だった。

チョコチップ入りのが甘くて美味かったけど、食べた後やたらのどがかわいて紅茶をがぶがぶ飲んだ。


スコーンはホカホカあっためてあって、店の人が説明するには、まずスコーンを横に割って、一緒に持って来たくろてっどクリームとイチゴジャムをたっぷり付けて食べると良いって事だった。

くろてっどクリームってのは新鮮なミルクをぎょうこさせて作った物だとナミが言った。

言われた通り、スプーンでジャムとクリームをたっぷりと、スコーンの上山盛りにして食べてみる。


――ぱくっっ!


「…………う……う…うんめェェェ~~~~~!!!!」

「しー!しー!静かにしてルフィ…!」(小声)

「美味ェ…これ、マジすっげ美味ェよナミ!!」
「解ったから!静かに…!」(小声)


あったけェスコーンにひんやり冷てェクリームがじんわりしみこんで、甘ずっぱいイチゴジャムがさらにしみこんでって……こんなに美味ェの初めて食べたと思った。


「うん、美味ェ。っつかこれ何も付けなくても充分甘ェし。そのまんまでイケんじゃねェか?」
「何言ってんだゾロ!?クリームとジャム付けろよ!!山盛り付けて食べねーとダメだ!!!」
「だから静かにルフィ!!叩き出すわよ!!」



スコーンを食べ終ると、今度は沢山のケーキがトレーに乗せられ出て来た。


1…2…3…4…5………全部で9種類も有った。

どれでも好きなだけどうぞって言われたから、じゃあそのトレーごとくれって言おうとしたら、ナミがものすげェおっかねェ顔したんで、全部の種類を1つづつだけもらった。

ナミはイチゴとパイナップルとエクレアとロールケーキ、ゾロは1つもいらねェって断った――もったいねーの!


ゾロとナミが紅茶のおかわり頼んだんで、俺も頼んだ。

「おめェ、そんな飲んだら夜興奮して眠れなくなっぞ。」


ゾロがあきれたような顔して言ったけど、しょうがねーじゃん、幾らでもおかわり許されてんの紅茶しか無ェんだから。


ナミがけいたい取り出してケーキの写真をとっていた。


「ビビに写メールで送ったげようと思ってv」


ビビってのは、もう引越しちまったけど、1年前まで俺達のクラスメートで仲間だった女だ。

お金持ちのおじょう様で、家に遊びに行くと、ここまですごくはなかったけど、必ずお茶とケーキを出してくれた。

ビビと親友だったナミは、今もちょくちょくメールで連絡取り合っている。


「おし!俺も写真とってウソップやサンジをうらやましがらせてやろーっと♪」

「パシャパシャ撮ってんじゃねェよお前ら。それこそ品が無ェ。」

「…そういえば、あんた達って携帯持ってないのよね。今時珍しい。」

「おー、別に必要感じねーからな!」
「肌身離さず電話持つなんて、考えるだけで煩わしいからな。」
「持ってりゃ良いのに。2人揃って迷子レベル超最高のクセして…むしろ必需品だわ。」
「「誰が迷子だよ!!?」」



いきなりとなりのロビーから音楽が響いて来た。


「3時を回ったから、チェックイン客を迎える為に、ピアノとヴァイオリンでクリスマスソングを演奏してるのね。」


流れて来る曲の中で、『もろびとこぞりて』や『ジングルベル』くれェしか俺やゾロには解らなかったけど、ナミには全部解ったらしい。

これは『あめにはさかえ』だ、これは『まきびとひつじを』だ、これは『かみのみこはこよいしも』だって、1つ1つ曲に合せて歌いながら教えてくれた。


「ほのヘクレアメヒャクヒャふめェ~~♪ひゃかのキャラメルクリームがマジ美味ェよ♪」

「このロールケーキも、中に入ってる栗の甘露煮と上品なクリームが絶妙にマッチしてて、とても美味しいわよv」

「ヒョコレーホヘーヒも美味ェ♪クッキーも美味ェ♪口ん中入れたとたんジュワァ…って溶けてったぞ!ふん、ヒヒゴとピンクのクリーム乗っかったヤツもすっげェ美味ェな~~♪」

「それは苺じゃなくて木苺!フランボワーズのバトーって言う名のタルトレットなの!ちなみにそのチョコレートケーキは『オペラ』って名前よ!…ルフィ、もっと静かに、せめてフォーク位使って食べなさいよ、見っとも無い。」

「これでもっとでかかったら良いのにな~~。こんなちっせェんじゃ食った気なんねェよ。」

「プティ・フールって言ってね、お茶請けの菓子は品良く食べられるよう、小さ目なのが基本なの!」

「ゾロも食や良かったのによ~~、どれもこれもメチャメチャうんめェぞォ~~?」

「甘ったるいのは苦手なんだよ、俺は。」

「紅茶とサンドイッチ、ケーキ等のお代りは宜しいですか?」


いつの間に来てたのか、店の人が側で言った。

俺がナミに目で聞くと、ナミはあきらめたみてェな顔してこう言った。

「1回は良いって約束したもんね……お代りしても値段は変んないんだし…どうぞ。」
「うほォ♪♪やったぜ!!じゃ、俺が今まで食べたヤツ、始めから全種類くれ!!」

「じゃあ、私もサンドイッチだけv」
「俺もサンドイッチ。後、スコーンを、プレーンのヤツ1つだけくれ。クリームとジャムは要らねェから。」

「か…かしこまりました。」



今まで食べた順に、サンドイッチやスコーンやショートブレッドやケーキがどんどん出て来た。


ナミが、意地汚いっつって頭抱えてたけど、気にしねェ。


だってよ、値段変んねェなら沢山食べた方が得じゃねェか!

美味ェもんならなおさらだ!!



「こんなにう美味ェサンドイッチやスコーンやケーキ……サンジに頼んだら作ってくれっかな?」

「そうねー…サンジ君なら出来るんじゃない?」
「おぅし!帰ったら写真見せて作ってもらうぞ!」
「グル眉コックの今の腕前じゃ、未だ無理なんじゃねェの?」



またお茶のおかわりするかどうかを店の人が聞きに来た。

まだ中にお茶が入ってるからいいって言ったら、それでも冷めただろうからってポットごと交換してくれた――親切だ!!



「…にしても、おめェがこんな奮発して奢ってくれるたァ、三毛猫のオス並に珍しいな。」
「いや~~ナミ、悪ィなァ~~vvこんなごちそうになっちまってvv高ェんだろ??」

「誰が奢るって言いました?ちゃんと割り勘、きっちり払って貰うわよ。勿論、朝食べたおにぎり代もね。」


「…ちょ、ちょっと待て。此処に予約入れて誘ったってこたァ……奢ってくれるって意味じゃなかったのかよ…?」

「自分が食べた分はきちんと自分が払う。世間の常識でしょ?」

「………幾らすんだよ?」

「お一人様2,625円。但し、サービス料別。」
高ェよ馬鹿!!だったら先言えよ!!ぜってェ来なかったから!!!」
「お茶代に2,625円も払ったらこの先土産代に響いて来ちまうよナミィ~~~!!!」
「あら、本場のイギリス行って同じサービス受けようとしたら、4,000円位は覚悟しなくちゃよ?それ思えば破格じゃない。此処だって10、11月の土日祝日しかやってないんだからね。」

「………。」
「………………。」



「……今払えないならしょうがない、貸しにしといたげる。但し、後で三倍にして返して貰うから、その積りでね、2人共v」



ティーカップを持ち、そう言ってにーっこりほほ笑むナミの背中に、悪魔の羽が見えた気がした……





その9に続】



写真の説明~、今年11/27にアフタヌーンティーで私が食べたケーキの写真。

ハウステンボスのアフタヌーンティーについては、↓まったりさんのブログに詳しく載ってます。(頭にh付けて飛んで下さい…って、勝手に紹介して済みません。どうせならトラックバックしろ??――だって何となく未だ慣れないんだもん)(汗)

ttp://htbmattari.exblog.jp/m2005-11-01/#2642499


…つって書いたら、まったりさんの方からトラックバックして頂けました!まったりさん、(↓)御親切どうも有難う御座いました!!(礼)


連載は一旦此処で中止、再開は1/7からの予定です~。
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『何度も廻り合う』その7

2005年12月28日 23時32分30秒 | 桜トンネル(ワンピ長編)
――ダラダラ連載、前回の続きです。








ショーが終ると広場に集まってた大勢の観客は、いっせいにアッチコッチへと散らばってった。



「…おい…せめて今度は落ち着いて暖取れる場所にしてくれよ…?」


うで組んで体縮めてガチガチ歯を鳴らしながらゾロが言う。


「あっはっは♪ゾロはしゅぎょうが足んねーなーー♪」
「本当よね~~♪高校№1剣士のクセしてなっさけなーー!」
「煩ェ。コートの下にホカロンしこたま貼っ付けてる女に言われたかねェよ。」
「何で知ってるのよ!??」
「なんだ?本当に貼っ付けてたのか?呆れたもんだな。」
「うっさい!!あんたなんかこっそりシャツの下に腹巻してるクセに!!」
「てめェこそ何でそれ知ってやがる!??」
「いい年した男がお腹弱くて腹巻着用だなんてみっともな~~い♪」
「なんだとタイツ二重履き女!!そんだけぶ厚い脂肪で足包んでるクセしてまだ足んねェのかよ!?」
「あんた!!今言ってはならない事言ったわね!!!」
「よー、そーいや、2:30にケーキバイキング予約したって言ってなかったか?」
「ケーキバイキングじゃなくて『アフタヌーンティー』よ!!!」
「おーそれそれ!…今2時だぞ、そろそろじゃねーのか?」

「え!?…あ!!嘘やだ間に合わなくなっちゃう!!!」


うで時計見てナミがあせる、とたんに俺達追い越し先へ走ってった。


「ゴメーン!!2人共また走ってーー!!でないと間に合わなくなんのーー!!」

「なっ!?ま!…また走んのかよォ~~~!?」

「だからゴメーン!!修行だと思ってゾローーー!!」

「…お…思えるか阿呆ォ~~~~!!!」

「な!なァ!ナミーーー!!今度はドコ行くんだーーー!?」

「キ…キンデルダイクーーー!!」

「え!?金が出るトコかーーー!?」

「…ひ、人が余裕無く走って…ゼッ…きに…くだんないボケかますなァ~~~!!!」




広場を抜け河を越え、幾つも橋渡り俺達は走った。


…なんか…テーマパークってよりマラソン会場にでも来たみてェだな…。



ナミを追って走ってく内に、段々のんびりした風景に変って来て、その内目の前に3台の風車が現れた。

きれいな花畑ん中建ってて、羽根が回るたびにフォォン…フォォン…って音がして来る。

すげェなー、俺、風車初めて見たぞ。

近くで見ると結構でけェし迫力が有った。

風車をバックにして写真とってる人が大勢居る。

左っかわの花畑前には店が1けん在って、並んだパラソルの下でお茶飲んだりしてる人もいた。


「ナミ!ナミ!…ふ、風車だ!!…ハッ…な!!写真とろうぜ!!…ヘッ…んで…お茶飲んでこう!!」

「明日!!それはまた明日!!今は…ハッ…クルーザー乗ってホテル行かなきゃ…の!!」

「クルーザー!?船か!?…ド、ドコから乗るんだーーー!!?」




花畑を過ぎ橋を渡ったトコに、『カナルステーション』って言う船着場が在った。

ナミが言うにはここ以外に、もう1つ『ゆとれ人』ってトコにも同じのが在って、その2つの船着場を発着点にして、船は場内流れる運河を1周してるらしい。

ステーションには『ホテルヨーロッパ行き』と札に書かれた船がつながれてい、俺達が飛び乗ったと同時にゆっくりと発進した。


「寒いから中入る?」とナミが聞いて来た。

船内はだんぼーがきいててあったけェらしい。

けど窓越しで景色観るより外出て観た方がりんじょー感有るしな。

船の先頭じゃなくて後ろっかわに席が有んのは気にくわねーけど。


ゾロは反対したけど、俺は迷わず外を選んだ。


確かに風は冷てェけど、ゆっくり流れる風景はきれーだった。


俺達以外に4人客が来たけど、そいつらは皆中入っちまったんで、外の席を独占出来たのは良かった。


「…あれだけ走らされて更にこっから船で15分だと…一体此処はどんだけの広さ有んだよ…?」


へばって席寝っ転がりながらゾロが聞く。


「そうね、丁度良いから場内軽くガイドしたげる。…先ずは前方を御覧下さァい♪堅牢な城砦佇むこの地区は『ブルーケレン』と申しまして、兼、陸の出入国口で御座いまァす♪」

「出入国口って…もう1つ有んのかよ此処?」

「さっき私達が入って来た口は高速船で来た人用よ。バスや電車、車で来た人用にはこっち。」

「まァ、こんだけ広けりゃ出入口1つじゃ賄い切れねェわな。」

「河の水澄んでるなー。魚がいっぱい泳いでるの見えるぞ。お!白鳥だ!すげーなー、船近づいてんのに気にせずスイスイ前泳いでくぞ!なれてるなー。」
「次は右手を御覧下さァい♪花畑で3基の風車が回っております地区は『キンデルダイク』、このクルーザーが出航した所ね。そしてその隣の街は『ニュースタッド』、噴水の在る広場を囲む様に、アミューズメント施設が建ち並ぶ地区で御座いまァす♪」
「あ!何だあそこ!?すっげー数の家が並んで建ってるぞ!?」


船が進む左っかわには、沢山の洋風な家が小川を挟んで向い合ってる。

どの家も、映画にでも出て来そうなくれェきれいでしゃれていた。


「なァナミ!あれ家だろ!?誰の家だ!?ここで働いてるヤツの家か!?」
「さて前方に見えて来ましたのは『ミュージアムスタッド』、主に博物館が集まる街で御座いまァす♪そして隣は『ビネンスタッド』、賑やかな商店が集中してまして、テント市場の『ワールドバザール』や、昼のショー会場の『アレキサンダー広場』が在る地区で御座いまァす♪」

「さっき俺達がショー観てたトコだな。」
「おおお!?白鳥が!!白鳥が群れんなっているぞ!!すっげェ~~~!!!」
「その右側の地区が『フリースラント』と申しまァす♪現在は育苗期間故閑散としておりますが、春~秋にかけては美しい花々が咲乱れる広場へと変り、来場者の目を楽しませておりまァす♪尚、オランダの由緒正しい原産馬、『フリーシアンホース』の牽く馬車に乗れたり、乗馬体験も可能で御座いまァす♪」
「すっげーよな~~!!あんっっなに沢山の白鳥、全部焼鳥にしたら食いで有っだろーな~~~♪なァ、ナミ?」
「前方御覧下さい♪一際高く聳える塔が見える地区を『ユトレヒト』と申しまァす♪塔の名前は『ドムトールン』、階下にはバラエティ豊かなレストランが建ち並んでおりまァす♪」
「そのレストランの中でケーキバイキングやってるのか!?」
「『アフタヌーンティー』!!!」
「お♪ようやく無視すんの止めたな♪」
「せっかくガイドしてやってんのに、あんたが無視して1人騒いでたんでしょが!!」
「で!?そのアフタヌーンティーは、この鉛筆みてェなとうの下でやってんだな!?」
「違うわよ!!アフタヌーンティーをやってるのは『ホテルヨーロッパ』って言う名のホテル!…そろそろ見えて来るわ。水上佇んでる建物がそうよ。」


「ブルーケレン、キンデルダイク、ニュースタッド、ミュージアムスタッド、ビネンスタッド、フリースラント、ユトレヒト…7つの地区で構成された街って訳か。」

「未だ在るわ。後少しで着いちゃうから手短に教えちゃうけど、私達が最初に着いた港街、あれが『スパーケンブルグ』。その後ろの高台に湖囲む様コテージが建ち並ぶ地区が『フォレストパーク』。場内最奥の森に守られ鎮座してる様な宮殿が『パレスハウステンボス』。」


「…成る程、理解出来たぜ、此処の名前の意味。――『ハウス・テン・ブース』、要は『10在る区域』って事だろ?」
違う!!!何よその出鱈目英語は!!?」
「あっ!!じゃあ『10人のボスの家』って意味だな!?」
それも違う!!!!全然解ってないじゃないあんたら!!!…大体もう1つ、『ワッセナー』って言う別荘地区だって在るんだから、全部で11区域在んの!」
「別荘まで在んのかよ!?誰が住むってんだテーマパークなんかに…」
「そうか?俺はテーマパークに住んでみてーけどな~~♪」

「今のトコ7~8割は埋ってるらしいわよ。別荘地区だから、観光客は入れない様になってるけどね。さっきルフィが言ってた、家が沢山建ち並んでたトコ…あそこが『ワッセナー』よ。」

「へ~~、あーんなきれーな家住めるのか~~。住んでみてーな~~~。」


「ハウステンボスってのはね、オランダ語で『森の家』って意味よ。」

「「へ~~~!」」



でっけーとうの横を船は進んでく。


何個目かの橋をくぐり抜けた時、水上浮かぶゴージャスな建物が2けん見えた。


「ナミ!『ホテルヨーロッパ』ってどっちの建物だ!?前の白い方か!?それとも左のでっけーチョコレート色した方か!?」

「…チョコレート色の方。白い建物は『迎賓館』って名前の、基本的にはVIP専用超高級ホテルよ。」

「で、この『ホテルヨーロッパ』ってのは、何処の地区になるんだ?」

「『スパーケンブルグ』よ。」


「……ちょっと待て。それってつまりは『振出に戻った』って事かよ!??」

「そうとも取れるわね。」


「……お~ま~え~な~~、いいかげんにしろよ…『仏の顔も三度まで』っつう諺知らねェのかウラァァ!!!?」
「クルーザーで『キンデルダイク』~ホテルにチェックインって今迄は『ホテルヨーロッパ』宿泊者にしか無い特典だったのよ!!それが今回から『フォレストヴィラ』宿泊者にも付いたんだもん!使わない手は無いでしょ!!?」
「なら最初から高速船じゃなくバス使って陸の出入国口から入りゃ良かっただろォが!!!」
「おおっ!!すげェ!!この船ホテルん中まで入っちまうぞ!!」


船はホテルの側まで来ても、スピード落とさずそのまま建物ん中入ってこうとする。

建物の一部にはトンネルみてーな穴がぽっかり開いていて、そこをくぐってどんどん奥まで進んで行った。

トンネルを抜けて目の前が明るくなる。

見上げると、天井の無いそこからは青空が見えた。

変った形したホテルだなァと思った。


「変った形したホテルだと思ったでしょ?『内海』って言って、運河の水を真ん中に引き入れててね、上から見て『口』の字みたいに建物がなってるの。普通の場内クルーザーの場合、ドムトールン下のカナルステーションに着くんだけど、『ホテルヨーロッパクルーザー』の場合は、こやってホテル専用の船着場まで行ってチェックイン出来るって訳。」

「すっげーなー!船で入るホテルなんて俺初めてだぜ!」


「じゃんvこのプラチナリゾートカードでもって、『ホテルヨーロッパクルーザー』に乗船可能となるのでェすv…実は最初に荷物預けた場所で貰ってたのでしたv」


オレンジ色のカードを前につき出し得意げにナミが言う。

プラチナカードって言うわりには、ただのペラい紙でしょぼかった。


「くだんねェ。船でチェックインしたからってどうだってんだ。わざわざ遠回りしやがって…アホくさ。」

「はっっ、やーねェ~、風雅を解さない人って。ああ!人じゃなくって毬藻でしたっけ?じゃ、しょうがないわねェ~~。」
「毬藻じゃねェェ!!!」



船着場着くと、シルクハットかぶってタキシード…えんび服??みてェなの着た女が笑顔で出迎えてくれた。

さん橋には花がいっぱい並べて有った。

ちっちぇークリスマスツリーも並んでた。


でっけークリスマスツリーまで飾られてた。

枝には赤や金やオレンジや、色とりどりに光る球。

赤いリボンもいっぱい下げられていた。








その8に続】





…いいかげん、地図見てじゃないと判らなくなって来てると思いますので…詳しくは公式サイトの『場内マップ』をどうぞ。(汗)


フォレストヴィラの宿泊客用受付は、以前は同じ『フォレストパーク』内に在る『ウェルネスセンター(←綺麗なプールも在ります)』に在ったのですが、『ウェルネスセンター』で『RIN』と言うスパをやり始めたので、今は『ホテルヨーロッパ』で受付しております。

結果として『フォレストヴィラ』に宿泊する場合でも、『ホテルヨーロッパ』宿泊客と同じサービスを受けられたりするので、私としては嬉しいのですが。

部屋で選ぶなら『フォレストヴィラ』、サービスで選ぶなら『ホテルヨーロッパ』だと考えてたんで、自分…或る程度のサービス合体は嬉しい。

でも、2つの宿泊施設の客を捌かなきゃならなくなった『ホテルヨーロッパ』フロントは大変じゃないだろか?とも心配になる…。(汗)



写真の説明~、運河を優雅に進むカナルクルーザーを撮った物。

ヨーロッパのクルーザーではないと思うけど。(汗)

背景に蔓っぽい植物が絡んでる様な場所が見えるかと…そこにはひっそりベンチが隠されてまして、今ならその蔓っぽい植物にまで電飾キラキラ、カップルにお勧めのロマンチックベンチとなってますv

白鳥も居るよ。
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『何度も廻り合う』その6

2005年12月27日 22時57分39秒 | 桜トンネル(ワンピ長編)
前回までの粗筋】

ルフィとゾロとナミ3人は、長崎ハウステンボスに遊びに行きました。



――という訳で、ダラダラ連載再開~!







「『ランガダイク』ってのはオランダ式オークションを体験出来る館よ。普通オークションって言ったら、段々競値が上がってくものじゃない?此処のオークションの場合は値が段々下がってくシステムなの。」

「へー、逆オークションか。面白ェなー♪」

「定価より下がってく訳だから、賭けられた時点で、既に店で普通に買うよりお得って訳よ。」
「要は体の良い在庫商品セールって事だな。」
「何か言った?ゾロ。」
「あー、幻聴だろ、幻聴。」

「確かに在庫商品処理に違わないだろけどさ、本当にお得なんだから!出て来る商品も人気のチーズやお菓子とか――」
「チーズやお菓子が出て来んのか!?楽しみだなー♪どーやって落すんだ!?」

「正面に大きな時計みたいな盤が掲げられてるでしょ?書いてある数字は商品の値段を表してるの。…例えば定価1,000円から始めたとして針は『10』から、9…8…7…と進んでく。『600円』で落札しようと考えたら、針が『6』を指した時点で、椅子右肘掛けに付いたボタンを押す。正面の自分の席番号が点灯すれば見事ゲットって訳。」

「イスの右のボタン…あ、これだな?」

「但し、オークションだから自分の希望金額になる前に、他のお客に落札されてしまう可能性も有るわ。周囲の顔色を読みつつ、目当ての商品をより安くゲットする、情け無用の駆引き勝負!面白そうでしょ?」
「ギャンブルみたいでワクワクすんなー♪」

「もう始まっちゃってるから駄目だけど、開始10分前に、前に並んだ商品の中で希望の物が有れば、リクエストする事も可能なのよ。」
「ふーーん。」
「Z~~~」


俺達が入った時にはすでにオークションは始まっていて、正面で競り役の女が早口で商品を紹介していた。


カステラ2本で2,100円が『1,500円』まで値段が下がった。
よし!買うぞ!!とボタンを思っ切し押す――けど落としたのは、1つ前の席の太ったおばはんだった……ちぇ~負けか!

次にクリームチーズ・スモークチーズ・ターフルソースのセットが3,400円から賭けられた。
今度こそ!!と思ってボタンに手を掛け――あっっ、クソッ!また先越された!!

その次には熊のでっけーぬいぐるみ6,000円が賭けられた。
おし!!今度は負けねェぞ!!とばかしにボタン連打――見事5,800円でゲット!やりィ!!
パンパカパーン♪♪とにぎやかに音楽が響く。


「おめでとう御座います!50番さん!!」


「っっしゃ!!!勝ったーーーー!!!!」
「『勝った』じゃないっっ!!!」

――すぱーーん!!!

「痛ェェ!!!」
「あんた!あんな大っきなテディの縫ぐるみなんて獲ってどうすんのよ!?そもそも5,800円も払える懐余裕あんたに有るの!?」

「い…いえ…無い……デス。」
「無いなら獲るな!!!もっと考えて押しなさい!!!」
「はい!!すいません!!」
「ZZ~~~~」


獲った熊はナミが謝って取り消しにしてくれた。


その次の次にはちゃんぽん&皿うどん、2,100円が賭けられた。


「いい?ボタンを押す前に先ず、『賭けられた商品が幾らの値で競争となるか?』それを予測しなくちゃ駄目よ。」(小声)
「ふんふん!」
「食品は人気が有ってライバル多いわ。あまり欲を出して待ち過ぎると他のお客に先を越される可能性が高くなる。」(小声)
「ふんふんふん!」
「人間の心理として、切りの良い数字を好む傾向が有るの。…そいった点を考慮に入れて…開始2,100円なら……『1,500円』!今よ押して!!」
「よっしゃーーー!!!」


「おめでとう御座います!44番さん!!」


…遅かった、落としたのは、また1つ前の太ったおばはんだった。


「あああっっクソーッ!!!」
「押すのが遅いのよ!あんたは!!」
「ZZZ~~~~~」


その次の次の次には『テディメープルケーキ』って言う熊の絵描かれた箱に入ってるケーキ、1,400円が賭けられた。


「ナミ!次は幾らまで落ちたら押せば良いんだ!?」
「1,400円だから……切り良く『1,000円』!!」
「おし!!1,000円まで待つんだな!?」


「おめでとう御座います!44番さん!!」


遅かった、落としたのはまたまた、1つ前の太ったおばはんだった。


「ナミのウソつきーー!!!あのおばはん1,100円でゲットしちまったじゃねーかーー!!!」

「1,000円から競争となるのを見越して一歩手前の1,100円で確実に落として来るなんて…かなりの手練だわ、恐らく常連よ!」
「ZZZZ~~~~~」


その後も『エッシャーうで時計』とか『お手玉ぬいぐるみ』とか北海道の『もろこしチョコ』みてェなのとか、沢山賭けられた。

途中から早押し勝負だとかにやり方変ったりもしたけど、結局最後まで俺は1個も獲れなかった。



「な…何か…すっげー悔しいぞ、これ…」

「そーお?私はクッキーとケーキのセット、500円引きで獲れたから満足だけど。」
「何でだ!?何であんな中で獲れんだお前!??」

「あんた早や押し勝負でボタン押すタイミング悪いのよ。早過ぎても駄目、遅過ぎても駄目。進行役のお姉さんの、『スタート!』の『ー』の所で押すのがコツねv」

「1つ前のおばはん、チーズにちゃんぽん皿うどん熊ケーキ熊クッキーTシャツカレンダー……よくあんだけ買える金有るよな~~1/3は獲ってったぞ?」

「方言からして地元じゃない?宿泊抜きで最初からこのオークション目的で来たのかもよ?」

「…ふ…あああああああ~~!!………お、やっと終ったのかァ…?」
「あ、やっとゾロが起きた。」
「何も考えずただゴロンと転がったままでも存在が許される。毬藻ってつくづく幸せな生物よね。」
「って誰が毬藻だ!!?」


オークションは1日に大体6回位開かれるとナミが言った。

1回約45分位で、はまってる人だと全部の回に参加するのも居るとか聞くらしい。

他のお客と競争し、時には横取りして欲しい物奪ったりすんのも、やみつきになるんじゃないかって事だ。




「次は何処行くんだナミ!?」


オークションハウス出た前でナミに聞く。

ガイドを広げて、ナミはちょっと考えてからこう言った。


「1:30から『ジングルベル』って言うクリスマスソングショーが有るんですって。それ観に行こう!」

「歌かー、歌は良いな♪ドコでやるんだ?」

「さっき3人で教会バックに写真撮ったでしょ?あそこ。」
「ちょっと待て!それってまた元に戻るって事か!?」
「あ、気付いちゃったゾロ?凄いじゃない、方向オンチのクセにv」
「方向オンチじゃねェ!!ふざけんな2度も後戻り出来るか!!…っておい!!とっとと走り出してんじゃねェよ2人共!!!」

「ゾロ急げーー!!良い席取られちまっぞーーー!!!」

「早く来ないと置いてっちゃうからね~~~vv」


「…ちょ…待っっ…!!ちったァ俺の希望も聞きやがれてめェら~~~!!!」




教会の建ってる広場まで戻ると、もう大半の席に観客が座っていた。

外に出来たステージにはきれーにクリスマスツリーが飾られている。

後ろの真ん中席が空いてたんで、俺達はそこに並んで座った。


「…後、約30分ね。」
「30分もこんな寒い中で待つのかよ!?…勘弁してくれよ。」


日が照ってて動いてる間はあったけーけど、じっと座ってる分には寒く感じた。


「我慢してゾロ。これも修行よ!」
「何の修行だよ!?」
「晴れてて良かったよなー!!雨とか雪降ってたら待ってる間に観客全員シャーベットだな!!」
「馬鹿ねルフィ。そういう時は中止か屋内に場所移すに決まってるでしょ。」
「あ、そか!」


ガタガタブルブル、3人体くっ付けて待ってる内に席は全部埋まり、後ろっかわまでどんどん立ち観客が集まり出した。

おかげで冷たい風がよけられて大分あったかくなった。


30分ほど経って、ようやく3人の歌手がステージ上に出て来た。

白人っぽい男と黒人っぽい女と白人っぽい女、どいつもすっげー歌が上手かった!!

クルクル踊ってみたり、コロコロ服替えたりして、歌は全然解んなかったけど、結構楽しかった。

あ、1曲だけは解ったぞ!もろ…もろ…もろこし…そうだ『もろびとこぞりて』だ!

となり座ってたナミは全部解ったらしい、手ェたたきながら一緒に歌ってた。

俺も解んねェけど手ェたたいてノッてやった。

ゾロはあい変らず眠たそーな顔して…でも寒かったからか、一応最後まで眠らず観ていた。



曲にノッて体動かしてたのが良かったのか、ショーが終る頃には寒さはどっか行っちまってた。






その7に続】





…写真の説明~、話に出て来た『ランガダイク』の値段盤。

此処にお姉さんが立って、オークションを開催します。

並んでる商品の中で、黄色とピンクのでっかい得体の知れない(←失礼)縫ぐるみは、ハウステンボスオリジナルの『ちゅーりーちゃん』、名前通りチューリップをイメージしてるキャラでして、結構可愛く人気赤丸急上昇中、偶に街中を闊歩してる姿が観られます。


『ランガダイク』、買い物&ギャンブル好きな方は嵌るでしょう。

実際お土産買うなら、先ずは此処入っておいた方が良いです。

欲しいお土産が定価で買わずに済むかもしれないんで。

但し、限界価格がこっそり設定されてあるので、あまり粘り過ぎると商品流れたりしちゃいます。

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『何度も廻り合う』その5

2005年12月14日 23時05分23秒 | 桜トンネル(ワンピ長編)
前回の続きです。





腹もまずまずふくれたんで、てきとーに散歩する事にした。




ナミの言うここ、『ビネガースタッド』って所は、店が沢山並んでて、観て歩くだけでも楽しかった。


「ビネンスタッド!」


ナミの言うここ、『ビネンスタッド』って所は、店が沢山並んでて、観て歩くだけでも楽しかった。



どこの店行ってもクリスマスツリーやサンタクロースが飾ってあってきれーだ。


さっきは通り過ぎちまったテント市の中へ入ってみる。


ケーキやチーズやソーセージ、美味そうな物がどっさり売っていた!


『ししょく』が置いてあったんで食ってみる。


――ぱくっっ


……美味ェ…!メチャクチャ美味ェェ…!!



「ナミ!ナミ!このケーキ美味ェ!!何てェんだ!?」

「ああそれ?『ケルス・カースタート』って言うのよ。ヨーグルト風味のレア・チーズケーキでね、中に洋酒に漬込んだチェリーが入ってるの。結構人気有るみたい。去年行った友達から貰って食べて美味しかったんで、私もお土産に買ってこうと思ってんだ。」

「よし!!俺も買うぞ!!おばちゃんいくらだ!?」

「はい、有難う御座います♪1260円になりま――」
「今から買ったら荷物になるでしょ!?買うんならチェックインしてからにしなさいよ!!」
「そうかわかった!!おばちゃんまたな!!」
「はは、はい!…お、お待ちしております…」

「お、このピンク色したソーセージ、イケるぜ。酒のツマミに合いそうだ。」

「どれどれ?……あ、本当、プチプチしてて不思議な食感…変った魚肉ソーセージね~。」

「いらっしゃいませ♪それは『ししゃもっ娘』って言ってね、ししゃもの卵を魚肉ソーセージ風にして固めた物なんですよ!」

「へー、ししゃもの卵なんだ。なんかトビコ食べてるみたい。」

「これもイケる。へー、チーズに醤油と葱とカツブシって合うんだな。これも酒のツマミに良さそうじゃねェか。」

「お醤油はハウステンボス特製醤油の、この『ターフルソース』を使っております。こちらにその『ターフルソース』とクリームチーズと鰹節1パックがセットになってる物も御座いますよ。」

「ふぅん、何かコクの有る冷奴って感じだな…うん、美味ェ。」

「お!バームクーヘン!これも美味ェ!!あ!カステラも有るぞ!!クッキーも有るな!!全部美味ェェ!!」
「試食を食い散らかすな~~~~!!!店員さんと他のお客さん達に迷惑でしょ!!!」



テント市(←ナミが言うには『ワールドバザール』っていう名前のトコらしい)の向うから音楽が聞えたんで、行ってみると回転木馬が在るのを見つけた。


ガキが何人か、白い馬や馬車に乗って楽しそうに、グルグルグルグル回っている。


「良いな~~!俺達も乗ってみようぜ!?このパスポート使えば乗れんだろ!?」

「ゴメン、言い忘れてたけど、今日はパスポート使わないようにしといてくれる?」

「え!?これ有ればアトラクション何でもフリーになんじゃねェのか!?」

「2日間だけね。今日使っちゃうと明日までで、残り3日目は使えなくなるでしょ?」

「……は!?…え!?ど、どーいう意味だ!??」

「…つまりこのパスポートが有効なのは2日間だけだから、今日1回でも使っちまうと、2日目の明日で有効期限が切れちまって、最終の3日目は使えなくなっちまうって事か?」

「そういう事!ゾロ、案外理解力有るじゃない。このパスポートは使った当日から日付がカウントされるシステムになってるから、今日使わないでおけば、明日から最終の3日目まで使えるって訳よ。」

「全っっ然解んね~~~~~~~~!!!」

「別に初日から使っちまや良いじゃねェか。最終日は買い物や飲み食いすんのに時間当ててよ。」
「だって今日はこれから『アフタヌーン・ティー』の予約入れてるし、ショーも観ておきたいし…つってたらアトラクション回ってる暇、あんまり無いでしょ?なのに使っちゃったら損よ。」
「だからどうしておめェはそうやって勝手に全部予定組んじまうんだ?」
「まーまー、最終日は疲れて歩き回るの億劫になってるかもじゃない?…そゆ時こそパス使って乗物で場内巡れれば楽ちんだろうっていう、云わば思い遣りの予定組みなんだからv」


「…やっぱよく解んねーけど…今日パスポート使ったらダメだって事は解った。」

「良かったわ。それだけ解ってくれれば充分よ、ルフィ。…お昼のショーまでは未だ時間有るし、も少しこの辺ブラブラしましょ♪」

「「へ~~~い!」」




ビネガーもとい『ビネンスタッド』には本当に沢山の店が在った。


木靴やらチューリップの顔した変なぬいぐるみやら花の香水やらガラスのクリスマスツリーやらトトロやらミッフィーやら…色々色んな物が売っていた。


食い物売ってる店また見つけたんで入ろーとしたら、これ以上食い散らかすなっつってナミに止められた。


通りを出るとそこは広場で、正面にきれーな花時計が在る、白くて立派な教会?が建っていた。


となりにはその教会?に負けねーくれェ、すっげーのっぽのクリスマスツリーが立っている。


あんまりきれーだったんで、通りがかりのおっさんつかまえて、3人並んで教会?の前で写真をとってもらう事にした。


最初真ん中立ったらナミが、「3人の真ん中に立って写真撮られた人は、早く死んじゃうってジンクスが有るのよ」って言ったんで、ゾロを真ん中にしてとってもらった。


真ん中に立ったゾロは嫌そーな顔をしてカメラに写っていた。



「此処は『スタッドハウス』って言ってね、中は硝子の美術館でも在り、教会として結婚式場に使えたりもするのよ。」

「へー、ここって結婚式も挙げられるのか!」

「昼間見ても綺麗だけど、夜は照明が燈って一際美しく輝くんだって。HPに写真付で紹介出てたわ。」

「へー!へー!」



ヨッシャーって奴が描いた絵をグッズにして売ってる店にも入った。


「エッシャーよ『エッシャー』!!」


そー、『エッシャー』……店ん中は何となくSFっぽい音楽が流れてて、不思議なふんいきだった。


オランダの版画家っていうエッシャーの絵は面白かった。


水が上に流れてく滝の絵だとか、魚が鳥に変ってく絵だとか、どっちが上で下だか判んねェ絵だとか…『だまし絵』って呼ぶんだとナミが言った。


エッシャーの絵が描かれた、入れたお金が小っさくなっちまう貯金箱ってのが売ってて、面白かったんで買った。


入れてみたら本当にお金が小っさくなっちまったんだぜ!!


すげーな、どーゆー仕組になってんだろ?こわしてみたら解るだろーか??



となりにも店が続いてたから入ってみた。


『トラベルマンコレクション』って名前の店らしい。


『トラベルマン』ってのは、ハウステンボスの社員が考えたキャラなんだそーだ。


ピカソが描いたみてーな簡単絵だったけど、悪くねーなと思った。


木ぐつが『視力けんさ表』みてーになって並んでる絵のカップが有った。


『視力けんさ』ん時使う、片目かくすスプーンみてーなスプーンがセットになってて面白ェ。


髪にかくれて片目しか出してねェサンジにぴったりな土産だなと思ったんで、これも買おうとしたらナミに止められた。



「あんた、チェックイン前に買ったら荷物邪魔になるから止めときなさいって言ったでしょ!?…大体そんな買ってばっかいたら直ぐお金尽きちゃうわよ!」
「だってよ~~気に入ったらつい欲しくなっちゃうじゃんか~~~!」

「っとに我慢利かないおコちゃまなんだから…だったら、せめて定価より安く買える場所教えたげるから、付いて来なさいよ。」
「定価より安く?そんなトコ有んのか?」
「あらゾロ居たんだ?静かだったからどっかで迷子になってるかと思って心配しちゃったわ。」
「おめェ殴るぞ本当に!」
「そこってドコだ!?ドコに在るんだ!?」
「オークションハウス『ランガダイク』よ。最初に来た港街の方に在るの。…今から走って行けば、12時開始の回に間に合うわ。急ご!」
「なっ!?ちょっ!!…また元来た道戻んのかよ!?」
「食後の運動よv午後の紅茶を美味しく頂く為にも、走ってお腹空かせときましょvルフィ、行くわよ!」
「おーー!!がってんだ!!」
「ちょっと待っ…!!おい!!俺は未だ承諾してねェ…!!おい待てって!!お~~~~い……!!!」



俺達は『らんが大工』を目指して、来た道をたどり走った。



……あれ?『ランバダいく』ってったっけか??






その6に続】





…ピカソ、元からあげな簡単絵だった訳じゃないですがね。(汗)

何時まで『小学生が書いたよな作文』的文章読ませられるのか、既にまいっちまってる方も多いでしょうが(汗)……御安心下さい、2日目のレポは『ゾロ編』、『中学生が書いたよな作文』程度にはレベルアップすると思われ。(←中学生かい)

連載は今日までで一旦中止、明日から12/26までクリスマス企画やる予定っす。

再開は12/27~、どぞ宜しくお願いします~。


写真の説明~、去年ですが(汗)…木靴屋さん『ホーランドハウス』の店先を撮った物です。

12月にリニューアルオープンしたらしいっす。


2006年5月追記)場内のパン屋さん、『グーテン・アペティート』のパンですが、提携する企業が変更した事により、売ってるパンが大幅に変更となりました。
連載中で紹介しましたバナナマフィンは現在売ってません。(涙)

…残念ですが…でも今売ってるパンは、以前と比較しても尚美味しいですよとの評判が有るんで…そう悲観する事は無いかと。
いや、残念では有るけどね。
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『何度も廻り合う』その4

2005年12月13日 23時06分09秒 | 桜トンネル(ワンピ長編)
毎度ダラダラ連載、前回の続きです。






船がさん橋着くと、俺は1番に飛び降り外に出た。




正面には窓から見えてた街が、どーーーんと広がってる。


どこもかしこも道までレンガで出来ててチョコレート色だ。


目の前だと一段と立派で堂々と見えて、本当に違う国に来たみたいだった。




どうしようもねェくれェワクワクしてる。




めいっぱい息を吸いこむ――冒険の匂いがした。



吸いこんだ息全部ぶちまけて俺は叫ぶ。




「1番乗りだーーーーーーーーーー!!!!!」




――スカーーーン!!!


「痛ェェェェ!!!」

「喧しい!!出口の前立塞がるな!!他のお客さん降りられなくて迷惑でしょ!?」

「ご…御免なさい…!」


わきにどくと、ゾロゾロどんどん船から人が降りて来る。


中に居た時はあんま気にしちゃいなかったけど、カップルや家族連れが沢山、みんなニコニコうれしそうに、海の上に細長~~く伸びた橋渡って街の方へ歩いて行った。



「あーー…漸く着いたか…何か未だ体揺れてる様に感じるぜ…。」

「ゾロ、あんた未だ寝惚けてんの?いいかげん、シャッキリ起きなさい。ルフィもほら、ぼーっと突っ立ってないで、先行くわよ!」

「お、おう!!解った!!」




長い長いさん橋渡りながらナミと並んで話す。


「へへへっ♪なんか、すっげーワクワクすんな♪」

「どうしたの?やたら浮れちゃって。」

「まるで知らねー島見つけて上陸したみてェな…そんな気しねーか!?」

「ふふvあんたらしいわ、ルフィ。」




さん橋渡りきって前の建物ん中入ると、受付の女が1人、ニコニコしながら話しかけて来た。


「こんにちわ。場内ホテル御宿泊予定の方ですか?宜しければこちらで手荷物お預かり致します。」


「『場内ホテル受付』よ。此処に荷物預ければ、宿泊するホテルに運んどいてくれるの。」
「へー!親切だなーー!」
「そりゃ助かるぜ。邪魔な荷物引き摺って、場内歩き回らなくて済む。」


「本日はどちらに何泊の御宿泊予定ですか?」

「フォレストヴィラに今日から2泊する予定です。」

「2泊ですね。貴重品類はお手元にお持ちになってからお預け下さい。」

「…という訳で、2人共、お財布なんかは抜いて荷物預けるように!」

「お、おう!」
「りょーかいした!!」


あそっかそっか!金持ってかねーと、何も買ったり食ったり出来ねーもんなー。


俺とゾロは急いでバッグから財布取り出すと、ジャケットのポケットにしまいこんだ。


ナミは「は~、清々した~」とか言ってカバンを預けている。


だろうな~、デイバッグ1つっきりしか背負って来なかった俺やゾロと違って、ナミはパンパンにふくれたでっけー黒バッグを肩から提げていた。


何つめてんだか知んねーけど、あれじゃ重かったに違いねェと思う。


「あんた達、カメラも持って来て無いの?」

「あー、どうせ誰か持って来るだろ思って持って来て無ェ。」
「俺持って来たぞ!!中入ったらバンバンとろうぜ!!」
「じゃ、それも抜いて預けるのよ、ルフィ。」

「…あ、ハイ。」



『場内ホテル受付』を過ぎた前には、『入場券発券所』ってのが在った。


ナミはそこで『オフィシャルホテル・リゾートパスポート』と場内ガイドをもらって来た。


このパスポートが有れば、1回入場出来て、アトラクションが2日間フリーになるらしい。



ゲートにパスポートを通していよいよ入場する。


此処では入場する時は『入国』、退場する時は『出国』と呼ぶんだとナミが言った。


ゲートの横にいた女が、通したパスポートを渡してくれながら、笑顔で「行ってらっしゃいませ!」と言ってくれた。




外に出るとそこは、のどかな音楽が流れる港街だった。


着いたばかりの時はモヤモヤした天気だったのに、いつの間にか晴れて青空が見える。


日がさしてジャケット脱ぎたくなるほどあったけェ。



どんどん、どんっどん、ワクワクして来た…!!



「さってっと!…先ずは何処行こっか?」
「メシ!!メシ食いに行きてェ!!!」
「右に同じ。」

「……だから未だお昼にもなってないってェの…あんたらの脳は獣並か!?」

「しょーがねーじゃん!!腹減ったんだからさ~~~!!!」
「朝コイツに食われちまってにぎりメシ2個しか食ってねェんだぞ!?腹減ってて当り前だろが!!」
「そうだ!!腹が減ったら食う!!当り前だ!!!」
「ああもう解ったわよ!適当なトコ連れてってあげるから付いて来なさい!」

「やほーー!!メッシだーーー♪♪♪」

「但し!予め断っとくけど、途中で逸れた場合、その場に置き去りにしてくので、くれぐれも私を見失わないように!」


そう言ってにーーっこりすごんだナミは、クルンと回れ右してスタスタ前へ歩いて行った…


慌てて、俺とゾロもナミの後を追っ駆けてく。



ふと左っかわ向くと『お菓子の家 ヘクセンハウス』っつう看板出てる店が在る。


――お菓子の…家!!?


「ナ、ナミーーー!!お菓子の家発見!!中入ってみよーぜーーー!!!」


スタスタと全く振り返ろうともせず、ナミは前に進んで行く…


後ろに付いてくゾロが、ちらっと振り向き『ありゃ本気だぜ』と、目で伝えて来た。


仕方なくあきらめて、また慌てて後を追ってく。



ふと今度は右っかわ向くと、海に帆船が浮かんでんのが見えた。

ちょっと小せェけど、絵本に出て来る海賊船みてェですげカッコ良い!


「な!なァ!ナミー!!船だ!!海賊船だぞ!!乗れんのかな!?乗ってみようぜ~~~!!?」


スタスタと、無言でナミは進んでく…


また仕方なくあきらめて、慌てて後を追う。


目の前に今度はでっけークリスマスツリーが見えた。


三角形してて、リボンやキラキラ光る玉が飾られてて、すっげーきれーだ!


「ナミ!!ナミ!!ナミーーー!!クリスマスツリーだ!!すげきれーだぞ!!なーーちょっと見てくれよ!!おーーーーい…!!!」


――スタスタスタスタスタスタ……


「お~~~~~い…!!!ナミ~~~~さ~~ん…!!!おぉぉぉ~~~~~い…!!!!」



――スタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタ……





『お菓子の家』通り過ぎて、カッコ良い『海賊船』を通り過ぎて、でっかくてきれーな『クリスマスツリー』も通り過ぎて、『時計とう』も『教会』も『テント市』も通り過ぎてったナミが入ってったのは、『グータラタベテート』っつう店だった。



「『グーテン・アペティート』って言うの!」
「そう!それだった!」
「脇目も振らずに人連れて来た店がどんなんか思えば…。」

「あら、悪くないでしょ?トレー持って好きな料理選べるキャフェテリアタイプのが、あんた達には合うだろうと思って。」
「ま、確かに味はまァまァだ。この焼メシ、『ナシゴレン』っつったか?辛くてイケる。酒が欲しくなるな。」
「未成年が何言ってんのよ!」
「俺の『ダッチプレート』もイケるぞ!!このU字型のソーセージ、かむと肉汁じゅわ~~~ってこぼれてうんめェェェ!!!」
「Uの字じゃなくて馬蹄型、『ダッチソーセージ』って言うのよ、ルフィ。」


俺の選んだのは『ダッチプレート』って料理で、U…馬蹄型したでっけーソーセージが1本とラザニアとチャーハンみてェな辛いメシ『ナシゴレン』が一緒の皿に盛られてるヤツだ。

3つまとめて食えるなんて得だと思う、ソーセージ、マジ美味ェし。

『ナシゴレン』ってのは元はインドネシアの焼メシで、インドネシアがオランダにせんりょーされてた時に伝わった料理だとナミが言った。

舌がピリピリするほど辛ェ、けど美味ェ。


ゾロは『ナシゴレン』だけを選んだ。

今説明したメシの上に目玉焼きが乗っかってて、回りにはエビと鶏の唐揚が盛られてるヤツだ。


ナミはプレーンとバナナのマフィンを1個づつ買っただけだった。

「…そんなんだけで足りんのかー?ナミ。」
「実はね、2:30に『アフタヌーン・ティー』を予約してあるんだ。だからあんまお腹いっぱいにしないでおこうと思って。…あんた達は今食べても余裕で大丈夫だろうけど。」

「あふたぬーんてぃー??」
「ちょっと待て。そんなん一言だって聞いてねェぞ?」
「当り前よ、言ってないんだから。」
「何でてめェは何時も人に断り無く勝手に1人で決めちまうんだ?」
「あんたに断り入れたら絶対反対するって知ってるからよ、ゾロ。」
「『あふたぬーんてぃー』って何だ?ナミ?」
「まァ、言ってしまえば、午後の紅茶を優雅に楽しむ茶会って言うか…。」
「午後の『紅茶』!?えーーーー……んなんだったら俺、行きたくねーなー。」
「紅茶だけでなく、サンドイッチやスコーンやケーキも出るのよ。それも好きなだけ!…それでも行きたくないの?ルフィは?」
「ケーキも出るのかーー!!?なら行くぞ!!!」
「ふざけんな!俺は行かねェぞ!…悪ィが別行動取らせて貰うからな。」
「止めた方が良いと思うわよ?遭難したくなければね。」
「あ?馬鹿言うな。たかがテーマパークで誰が遭難すっかよ。」
「これ見て!」


ナミは場内ガイドの地図を、ばさっとテーブルの上に広げた。


「東京ディズニーランドの2倍は優に有る広大な敷地。
 全長6000mの運河を張巡らし、さながら迷路の様に複雑な場内は、2、3回来た経験が有る人だって迷ったりするらしいわ。
 あんた達みたいな『玄関開けたら2分で迷子』になるような人間が1人取り残された日には――ま、場内遭難、ほぼ確定ね!」

「迷子言うんじゃねェよ!!!」
「そうだ!!ゾロと一緒にするなんて、しっけーな奴だな!!!」
「んだとルフィ!?こっちの台詞だそれはァァ!!!」

「これは脅しじゃないわ。『テーマパーク初の遭難者』として名を轟かせたくなければ…人に逆らう様な真似は控えた方が良いわよと忠告しとくv」


にこーと勝ちほこったみてーにほほ笑むナミ。

何とか言い返そーとゾロは、「あー」とか「うー」とか唸ってたけど…結局はだまってそっぽ向いてふてくされて負けを認めた。




昼近くなって店が混み出した。


何組かの家族連れは、パンを買って行こうと前カウンターに並んでる。


待ちくたびれた小せェガキどもが、飾ってあるクリスマスツリーいじって遊んでた。



ここはホテルメイドのパンを売るベーカリーでもあって、ああしてパンをティクアウトしてくお客も結構いるのだとナミが話した。


特にバナナマフィンが人気だって言う。


そんなに美味いのか?と聞いたら一口くれた。


――バナナがしっかり焼きこんで有って、振りかけてある砂糖でしっとりしてて、メチャクチャ美味かった!!



「ゾロも食べるー?」
「要らねェ。」
「あんた未だ不貞腐れてんの?執念深い男って嫌われるわよ~?」
「煩ェ!馬ァ鹿。」
「馬鹿って言った方が馬ァ鹿!」




あんまり美味かったんで、店出る時に5個買ってった。



したらナミは、「どうせ宿泊するトコの朝食で出るのに」って笑った。







その5に続】






…ルフィの言う『海賊船』は、本当は海賊船でないです。

正しくは帆船『デ・リーフデ号』、1598年、大航海時代にオランダから日本に渡って来た船を忠実に再現した物。

パークのシンボルの1つ故、乗ったりは出来ません。


後、「場内はさながら迷路~」なんて書きましたが、別にそこまで複雑でないです。
自分、ああ書いといて何ですが、迷った経験無いし。(汗)

ただ、迷う方も居られる。

兎に角広いです、東京ディズニーランドの2倍って言うけど、実際に回れる面積考えると4倍近く有りそな気がする…内田康夫氏なんか、自身の『不知火海』って作品で、「丁寧に回るなら最低3日は必要」って書いた位で…。(汗)


写真の説明~、また去年のになりますが(汗)、『グーテン・アペティート』のクリスマス・デコ、良い雰囲気だったんで撮ってみた。
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『何度も廻り合う』その3

2005年12月12日 21時23分26秒 | 桜トンネル(ワンピ長編)
毎度、ダラダラ連載企画ぱーとすりー、前回の続きです。





空港降りてずっとずっと右っかわ行って、エスカレーター昇って、またずっとずっとずっと先行った所に、高速船の船着場は在った。


『高速船』って名前から、どんなすっげーカッコ良い船だろって期待して見たら…釣りのおっさんが使ってるみてェな、何の飾りも無ェちっちぇ船でがっかりした。


「……なんか…『高速』って感じ、全然しねーなー…。」
「味も素っ気も夢も希望も無ェデザインだな。これでどうやって感動的に到着出来るってんだ?」
「るっさいわね!!!内情色々有んのよ!!外見よりも問題は中味でしょ!?ケチ付けてないでさっさと入れ!!」



中は外よりもっと夢も希望も無いデザインだった。

うす暗ェ中に病院の待合室置いてあるみてェな長イスがズラリ並んでるだけで、窓の外っかわには海苔みてェな黒い何かがベッタリ貼り付いていた。

でも見た目より案外広いのか、俺達以外にも結構大勢客いたのに、全員ちゃんと座る事が出来たのはいがいだった。


客席の1番前の列は荷物置き場になるから座らないよう注意されたんで、俺達は前から2列目の1番左っかわに、飛行機乗ってた時と同じ並び順で座った。



出発時刻より5分遅れて、船長のおっさんが正面運転席に座った。


大きくエンジンの音がして、船はユラユラ揺れながら、ゆっくり進み出した。



「………と~れ~~~……なー、ナミ、これ本当に高速船なのか?ちっとも『高速』出ねーじゃん!」

「発後着前暫くは、安全の為にスピード落としてんじゃない?も少ししたら走り出すわよ。…まァでも四方を陸に囲まれた大村湾は『琴の海』と称される程波穏やからしいから、案外ずっとこんな感じで、あまり揺れずに静かに航行してくかも――」


――ガタン!!ゴトンガタガタゴン!!ガタンガタガタ!!!ゴン!!ガタガタゴン…!!


いきなり、地震が来たみてェに船がゆれ出し、すごいスピード出して走り出した。


「…こ!こ!ここれの何処が『波穏やか』だっつうんだよ…!?」
「あああははvやっぱ波越えて行くんですもん!多少の揺れは当り前って言うか…!」
「ぎゃはははははは♪いいーじゃねェか!!!ジェットコースター乗ってるみてェで面白ェ♪」


――ガタン!!ゴトゴトガタガタゴン!!!ガン!ガタゴトガタン!!ゴン!!ガタガタン…!!


「…で?これ乗って行って、何分で着けんだ?」
「50分位だと思うわ。」
「未だそんなかかんのかよ!?――ちなみにバスだと何分位なんだ?」
「約55分。」
「殆ど変んねェじゃねェか!!!」
「だから着いた時の感動が変んの!!!渋滞無く定刻通り着けるし!!」
「感動出来るか!!!こんな船で!!」

「…前2列目左のお客さん、周りのお客さんの迷惑になるから声静かにねー。」

「「あ、すいません。」」


船長のおっさんに注意されて、ナミとゾロは下向いて縮んじまった。



ナミとゾロは昔からよくケンカする。


3人で初めて遊んだ時からケンカしてた、けど仲が悪い訳じゃない。



俺は、知ってる。



――ガタンゴンゴトン!!ガタガタガタ!!ゴン!!ゴトン!!ガンゴゴゴン!!ゴトン…!!



「…ゾロ、あんた、何が気に喰わなくてぶーたれてる訳?旅行決めた時からずーっとでしょ?来たくなかったんなら来なきゃ良かったのに。」(小声)

「…来たくなくてぶーたれてんじゃねェ。受験シーズン期末直前、日・月・火と人に学校サボらせてまで組んだ無茶日程に呆れてるだけだ。」(小声)

「しょうがないでしょ。平日が1番お安くなるんだもん。」(小声)

「後四月過ぎれば卒業だろが。それからでも良かったじゃねェか。」(小声)

「しょうがないでしょ。クリスマスイベントやってる内に行きたかったんだもん。」(小声)

「ならせめて冬休みにしとけよ!!学校サボって行く程のトコか!?」
「だからその頃だと料金お高くなんの!!しょうがないでしょ!?クリスマスイベントやってて低料金の条件クリアしてんの今日位しか残ってなかったんだもん!!!」

「2列目のお客さーん、静かにねーー。」


「「はい、済みません。」」


「…別に問題無いでしょ?私とあんたは志望大推薦入学本決まり。ルフィは元から受験する気無。それとも何?今更皆勤賞狙いでもしてたっつうの?」(小声)


学年1番に成績良いナミは、都内の有名大学へのすいせんが決まってた。

ゾロも剣道の大会で中学高校連続優勝っつう成績が認められて、他県の体育大学へのすいせんがほぼ決まってる。


「……ウソップな、行けねェ事、メチャクチャ悔しがってたぞ。」

「………私だって、一緒に行けなくて残念よ。」


ウソップってのは、俺達のクラスメートで仲間だ。

公務員試験受けたけど落っこちちまって、今は大学の一般入試に向ってがんばってる。


「クル眉毛なんか、ギリギリまでてめェと一緒の旅行が諦め切れずに葛藤してたんだからな。『あんな女の為に人生棒に振るのは止せ』って俺が止めてなきゃ、今頃てめェの横に座ってただろうよ。」

「へー、何時も仲悪げに喧嘩してるクセして随分思いやり有るじゃない?『男の友情』、泣ける話ねー。」
「茶化してんじゃねェよ。この冷血魔女が。」


『クル眉毛』ってのは本名サンジっつって、やっぱり俺達のクラスメートで仲間だ。

クルンて渦巻いてる変った眉毛してて、ゾロはよくそう呼んでる。

もっともそのたんびにサンジとケンカになるけどな。



家は都内でも人気のレストランで、爺ちゃんが腕の良い名コック。

そのせいかサンジもメチャクチャ料理上手くて、将来は一流コックになるのが夢らしい。

最初、専門学校行ってちょーりしめんきょ取るつもりだったらしいけど、爺ちゃんに「大学くらいは行っとけ」って言われたっつって、今はウソップと同じく一般入試目指してモー勉強している。




「……未だ、家族が揃ってた頃にね、1度だけ、来た事有るんだ…」


「……あ?」


「街中、クリスマスのイルミネーションいっぱいに飾られてて、まるで星空の中に浮かんでるみたいに、綺麗だった……」


「………」


「…卒業してバラバラになっちゃう前に、あんた達にも見せたかったのよ。」


そう言って、正面じっと見つめてるナミの顔は、なんだかすっげェ寂しそうで、今にも泣きそうに見えた。



「……最初から素直にそう言え、我侭女。」




ナミには父ちゃんと母ちゃんが居ねェ。

ナミが小さい頃、事故で死んじまった。

今は姉ちゃんと親戚の叔父さんと、3人で暮らしている。



――ガタンゴン!!ガタガタ!!ゴンガタンガタガタガタガタ!!!ゴゴゴンゴトゴトン…!!




……それにしても、ゆれっぱなしだなー、この船…しんど6くれェ有んじゃねーか?

波しぶき高くて窓おおっちまって景色は見え辛ェし、眠ろーとして窓寄っかかってもゆれがひどくて眠れねーし。


「ZZZZZ……」


…こんなひでェゆれなのに、眠れるゾロはすげーと思う、才能だよなー。



――ゴゴン!!ゴトトンガンゴン!!ガタガタガタ!!!ゴン!!ガタガタガタガタゴガン…!!




………退屈だ……早く、着かねーかなーーー………






※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※







――ぺしぺしぺし!!!



「―フィ…!!ルフィ!!」




「…ふぁ…?ほ……お、朝メシか…!?」


「寝惚けてないで!!もう後10分で着くわよ!!」




…ふ…ふ…ふあああああああああああああ~~~……ふ…!!




……あーー…寝ちまってたのか…俺も……




何時の間にか、ゆれがおさまってる……




「んほら!!!ゾロも起きて!!!もう直着・く・の・よ!!!」


――べしべしべしべしっ!!!


「ZZZZZZZZZZZ……」


「…いいかげんに~~~起きろォォォォォォ!!!!!」



―― ドゴォッッ!!!!!



「物凄痛ェェェェ!!!!」

「あんた調子に乗ったら48時間余裕で寝ちゃってるじゃない!!後頭がマリモに似てるからって甘えてんじゃないわよ!!!」

「…な…!!ちょ…!!だからって…エルボーで顔狙うか!!?せめてグーで殴れよ!!!」






………最初、『しんきろう』でも見てんのかと思った…



正面の窓、モヤってる中から、まるで昔絵本で見た『みやこ』みてェな街が、ふわーーって浮かんで見えて。



周りの山に囲まれてて、そこだけ外国みてェで。



赤っ茶けた街が、水面に浮かんでんだ……遠くに『時計とう』みてェな立派な建物が見えて……ものすげーきれーだ、堂々としてる。



そうだ、富士山みてェに、静かに、堂々と立ってるように見えて、本当にきれーに思えた。





「……あれが、『ハウステンボス』って言うのか?」



「はーーー…なんてのか…随分周りの景色から浮いてる街だな。」





「そう!あれが『ハウステンボス』。未来を夢見た男が造った、理想郷よ!」





そう言うナミの顔は、すっげーほこらしげで、すっげーうれしそうに輝いて見えた。





でも、いっぺん見ただけで俺にも解った。





あそこは、確かに『特別な街』なんだって。






その4に続】







……はーー…漸く着いた。(苦笑)

高速船について、色々ケチ付けてる様に感じるでしょうが、本当の事だしねー。(焦笑)
個人的に、安田産業汽船さんには、もちっとハウステンボスに合せて、船の内装だけでもメルヘン~にして欲しいかな~~と…ハウステンボスつぶれたら困るでしょうしさ。(笑)


後、「幾らなんでも褒め過ぎだろ?」とか「ナミはハウステンボスの回し者ですか?」とか「ナミがこんなん言うかな~?」とか「そもそも高校生だけで宿泊旅行出来るもん?」っつうお問い合わせには――

――応えられませんのでv(笑)


まぁ、フィクション♪フィクション♪

大目に見て下さいませv


ブックマークに高速船のサイト入れとくつもりですんで、参考にしてみて下さい。

色々言ったけど、バスよりかはやっぱ高速船のがお勧め出来ます。

船酔い?大丈夫!酔いやすい私がいっぺんも酔った事無い位なんだから!

あ、でも、確かに思ったよりは揺れるんで、心配な方は酔い止め薬飲んだ方が良いかも、用心の為に。

バスのが料金的に安くつきはするのですが、休日だと渋滞遭ったりするし、普通の市営バス故、途中停留所に停まったりもしますんで。


大村線と共に、海岸線見ながらのドライブも素敵では有るんですが…。


大村線が空港近くまで線路繋いでくれてると1番良いと思うんですがね~。




写真の説明~、マリンロードから観た早朝のハウステンボス。


海から高速船使って行くと、到着時、こ~んな景色観られますよって事で。
コメント (7)
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