
毎度ダラダラ連載、前回の続きです。
船がさん橋着くと、俺は1番に飛び降り外に出た。
正面には窓から見えてた街が、どーーーんと広がってる。
どこもかしこも道までレンガで出来ててチョコレート色だ。
目の前だと一段と立派で堂々と見えて、本当に違う国に来たみたいだった。
どうしようもねェくれェワクワクしてる。
めいっぱい息を吸いこむ――冒険の匂いがした。
吸いこんだ息全部ぶちまけて俺は叫ぶ。
「1番乗りだーーーーーーーーーー!!!!!」
――スカーーーン!!!
「痛ェェェェ!!!」
「喧しい!!出口の前立塞がるな!!他のお客さん降りられなくて迷惑でしょ!?」
「ご…御免なさい…!」
わきにどくと、ゾロゾロどんどん船から人が降りて来る。
中に居た時はあんま気にしちゃいなかったけど、カップルや家族連れが沢山、みんなニコニコうれしそうに、海の上に細長~~く伸びた橋渡って街の方へ歩いて行った。
「あーー…漸く着いたか…何か未だ体揺れてる様に感じるぜ…。」
「ゾロ、あんた未だ寝惚けてんの?いいかげん、シャッキリ起きなさい。ルフィもほら、ぼーっと突っ立ってないで、先行くわよ!」
「お、おう!!解った!!」
長い長いさん橋渡りながらナミと並んで話す。
「へへへっ♪なんか、すっげーワクワクすんな♪」
「どうしたの?やたら浮れちゃって。」
「まるで知らねー島見つけて上陸したみてェな…そんな気しねーか!?」
「ふふvあんたらしいわ、ルフィ。」
さん橋渡りきって前の建物ん中入ると、受付の女が1人、ニコニコしながら話しかけて来た。
「こんにちわ。場内ホテル御宿泊予定の方ですか?宜しければこちらで手荷物お預かり致します。」
「『場内ホテル受付』よ。此処に荷物預ければ、宿泊するホテルに運んどいてくれるの。」
「へー!親切だなーー!」
「そりゃ助かるぜ。邪魔な荷物引き摺って、場内歩き回らなくて済む。」
「本日はどちらに何泊の御宿泊予定ですか?」
「フォレストヴィラに今日から2泊する予定です。」
「2泊ですね。貴重品類はお手元にお持ちになってからお預け下さい。」
「…という訳で、2人共、お財布なんかは抜いて荷物預けるように!」
「お、おう!」
「りょーかいした!!」
あそっかそっか!金持ってかねーと、何も買ったり食ったり出来ねーもんなー。
俺とゾロは急いでバッグから財布取り出すと、ジャケットのポケットにしまいこんだ。
ナミは「は~、清々した~」とか言ってカバンを預けている。
だろうな~、デイバッグ1つっきりしか背負って来なかった俺やゾロと違って、ナミはパンパンにふくれたでっけー黒バッグを肩から提げていた。
何つめてんだか知んねーけど、あれじゃ重かったに違いねェと思う。
「あんた達、カメラも持って来て無いの?」
「あー、どうせ誰か持って来るだろ思って持って来て無ェ。」
「俺持って来たぞ!!中入ったらバンバンとろうぜ!!」
「じゃ、それも抜いて預けるのよ、ルフィ。」
「…あ、ハイ。」
『場内ホテル受付』を過ぎた前には、『入場券発券所』ってのが在った。
ナミはそこで『オフィシャルホテル・リゾートパスポート』と場内ガイドをもらって来た。
このパスポートが有れば、1回入場出来て、アトラクションが2日間フリーになるらしい。
ゲートにパスポートを通していよいよ入場する。
此処では入場する時は『入国』、退場する時は『出国』と呼ぶんだとナミが言った。
ゲートの横にいた女が、通したパスポートを渡してくれながら、笑顔で「行ってらっしゃいませ!」と言ってくれた。
外に出るとそこは、のどかな音楽が流れる港街だった。
着いたばかりの時はモヤモヤした天気だったのに、いつの間にか晴れて青空が見える。
日がさしてジャケット脱ぎたくなるほどあったけェ。
どんどん、どんっどん、ワクワクして来た…!!
「さってっと!…先ずは何処行こっか?」
「メシ!!メシ食いに行きてェ!!!」
「右に同じ。」
「……だから未だお昼にもなってないってェの…あんたらの脳は獣並か!?」
「しょーがねーじゃん!!腹減ったんだからさ~~~!!!」
「朝コイツに食われちまってにぎりメシ2個しか食ってねェんだぞ!?腹減ってて当り前だろが!!」
「そうだ!!腹が減ったら食う!!当り前だ!!!」
「ああもう解ったわよ!適当なトコ連れてってあげるから付いて来なさい!」
「やほーー!!メッシだーーー♪♪♪」
「但し!予め断っとくけど、途中で逸れた場合、その場に置き去りにしてくので、くれぐれも私を見失わないように!」
そう言ってにーーっこりすごんだナミは、クルンと回れ右してスタスタ前へ歩いて行った…
慌てて、俺とゾロもナミの後を追っ駆けてく。
ふと左っかわ向くと『お菓子の家 ヘクセンハウス』っつう看板出てる店が在る。
――お菓子の…家!!?
「ナ、ナミーーー!!お菓子の家発見!!中入ってみよーぜーーー!!!」
スタスタと全く振り返ろうともせず、ナミは前に進んで行く…
後ろに付いてくゾロが、ちらっと振り向き『ありゃ本気だぜ』と、目で伝えて来た。
仕方なくあきらめて、また慌てて後を追ってく。
ふと今度は右っかわ向くと、海に帆船が浮かんでんのが見えた。
ちょっと小せェけど、絵本に出て来る海賊船みてェですげカッコ良い!
「な!なァ!ナミー!!船だ!!海賊船だぞ!!乗れんのかな!?乗ってみようぜ~~~!!?」
スタスタと、無言でナミは進んでく…
また仕方なくあきらめて、慌てて後を追う。
目の前に今度はでっけークリスマスツリーが見えた。
三角形してて、リボンやキラキラ光る玉が飾られてて、すっげーきれーだ!
「ナミ!!ナミ!!ナミーーー!!クリスマスツリーだ!!すげきれーだぞ!!なーーちょっと見てくれよ!!おーーーーい…!!!」
――スタスタスタスタスタスタ……
「お~~~~~い…!!!ナミ~~~~さ~~ん…!!!おぉぉぉ~~~~~い…!!!!」
――スタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタ……
『お菓子の家』通り過ぎて、カッコ良い『海賊船』を通り過ぎて、でっかくてきれーな『クリスマスツリー』も通り過ぎて、『時計とう』も『教会』も『テント市』も通り過ぎてったナミが入ってったのは、『グータラタベテート』っつう店だった。
「『グーテン・アペティート』って言うの!」
「そう!それだった!」
「脇目も振らずに人連れて来た店がどんなんか思えば…。」
「あら、悪くないでしょ?トレー持って好きな料理選べるキャフェテリアタイプのが、あんた達には合うだろうと思って。」
「ま、確かに味はまァまァだ。この焼メシ、『ナシゴレン』っつったか?辛くてイケる。酒が欲しくなるな。」
「未成年が何言ってんのよ!」
「俺の『ダッチプレート』もイケるぞ!!このU字型のソーセージ、かむと肉汁じゅわ~~~ってこぼれてうんめェェェ!!!」
「Uの字じゃなくて馬蹄型、『ダッチソーセージ』って言うのよ、ルフィ。」
俺の選んだのは『ダッチプレート』って料理で、U…馬蹄型したでっけーソーセージが1本とラザニアとチャーハンみてェな辛いメシ『ナシゴレン』が一緒の皿に盛られてるヤツだ。
3つまとめて食えるなんて得だと思う、ソーセージ、マジ美味ェし。
『ナシゴレン』ってのは元はインドネシアの焼メシで、インドネシアがオランダにせんりょーされてた時に伝わった料理だとナミが言った。
舌がピリピリするほど辛ェ、けど美味ェ。
ゾロは『ナシゴレン』だけを選んだ。
今説明したメシの上に目玉焼きが乗っかってて、回りにはエビと鶏の唐揚が盛られてるヤツだ。
ナミはプレーンとバナナのマフィンを1個づつ買っただけだった。
「…そんなんだけで足りんのかー?ナミ。」
「実はね、2:30に『アフタヌーン・ティー』を予約してあるんだ。だからあんまお腹いっぱいにしないでおこうと思って。…あんた達は今食べても余裕で大丈夫だろうけど。」
「あふたぬーんてぃー??」
「ちょっと待て。そんなん一言だって聞いてねェぞ?」
「当り前よ、言ってないんだから。」
「何でてめェは何時も人に断り無く勝手に1人で決めちまうんだ?」
「あんたに断り入れたら絶対反対するって知ってるからよ、ゾロ。」
「『あふたぬーんてぃー』って何だ?ナミ?」
「まァ、言ってしまえば、午後の紅茶を優雅に楽しむ茶会って言うか…。」
「午後の『紅茶』!?えーーーー……んなんだったら俺、行きたくねーなー。」
「紅茶だけでなく、サンドイッチやスコーンやケーキも出るのよ。それも好きなだけ!…それでも行きたくないの?ルフィは?」
「ケーキも出るのかーー!!?なら行くぞ!!!」
「ふざけんな!俺は行かねェぞ!…悪ィが別行動取らせて貰うからな。」
「止めた方が良いと思うわよ?遭難したくなければね。」
「あ?馬鹿言うな。たかがテーマパークで誰が遭難すっかよ。」
「これ見て!」
ナミは場内ガイドの地図を、ばさっとテーブルの上に広げた。
「東京ディズニーランドの2倍は優に有る広大な敷地。
全長6000mの運河を張巡らし、さながら迷路の様に複雑な場内は、2、3回来た経験が有る人だって迷ったりするらしいわ。
あんた達みたいな『玄関開けたら2分で迷子』になるような人間が1人取り残された日には――ま、場内遭難、ほぼ確定ね!」
「迷子言うんじゃねェよ!!!」
「そうだ!!ゾロと一緒にするなんて、しっけーな奴だな!!!」
「んだとルフィ!?こっちの台詞だそれはァァ!!!」
「これは脅しじゃないわ。『テーマパーク初の遭難者』として名を轟かせたくなければ…人に逆らう様な真似は控えた方が良いわよと忠告しとくv」
にこーと勝ちほこったみてーにほほ笑むナミ。
何とか言い返そーとゾロは、「あー」とか「うー」とか唸ってたけど…結局はだまってそっぽ向いてふてくされて負けを認めた。
昼近くなって店が混み出した。
何組かの家族連れは、パンを買って行こうと前カウンターに並んでる。
待ちくたびれた小せェガキどもが、飾ってあるクリスマスツリーいじって遊んでた。
ここはホテルメイドのパンを売るベーカリーでもあって、ああしてパンをティクアウトしてくお客も結構いるのだとナミが話した。
特にバナナマフィンが人気だって言う。
そんなに美味いのか?と聞いたら一口くれた。
――バナナがしっかり焼きこんで有って、振りかけてある砂糖でしっとりしてて、メチャクチャ美味かった!!
「ゾロも食べるー?」
「要らねェ。」
「あんた未だ不貞腐れてんの?執念深い男って嫌われるわよ~?」
「煩ェ!馬ァ鹿。」
「馬鹿って言った方が馬ァ鹿!」
あんまり美味かったんで、店出る時に5個買ってった。
したらナミは、「どうせ宿泊するトコの朝食で出るのに」って笑った。
【その5に続】
…ルフィの言う『海賊船』は、本当は海賊船でないです。
正しくは帆船『デ・リーフデ号』、1598年、大航海時代にオランダから日本に渡って来た船を忠実に再現した物。
パークのシンボルの1つ故、乗ったりは出来ません。
後、「場内はさながら迷路~」なんて書きましたが、別にそこまで複雑でないです。
自分、ああ書いといて何ですが、迷った経験無いし。(汗)
ただ、迷う方も居られる。
兎に角広いです、東京ディズニーランドの2倍って言うけど、実際に回れる面積考えると4倍近く有りそな気がする…内田康夫氏なんか、自身の『不知火海』って作品で、「丁寧に回るなら最低3日は必要」って書いた位で…。(汗)
写真の説明~、また去年のになりますが(汗)、『グーテン・アペティート』のクリスマス・デコ、良い雰囲気だったんで撮ってみた。
船がさん橋着くと、俺は1番に飛び降り外に出た。
正面には窓から見えてた街が、どーーーんと広がってる。
どこもかしこも道までレンガで出来ててチョコレート色だ。
目の前だと一段と立派で堂々と見えて、本当に違う国に来たみたいだった。
どうしようもねェくれェワクワクしてる。
めいっぱい息を吸いこむ――冒険の匂いがした。
吸いこんだ息全部ぶちまけて俺は叫ぶ。
「1番乗りだーーーーーーーーーー!!!!!」
――スカーーーン!!!
「痛ェェェェ!!!」
「喧しい!!出口の前立塞がるな!!他のお客さん降りられなくて迷惑でしょ!?」
「ご…御免なさい…!」
わきにどくと、ゾロゾロどんどん船から人が降りて来る。
中に居た時はあんま気にしちゃいなかったけど、カップルや家族連れが沢山、みんなニコニコうれしそうに、海の上に細長~~く伸びた橋渡って街の方へ歩いて行った。
「あーー…漸く着いたか…何か未だ体揺れてる様に感じるぜ…。」
「ゾロ、あんた未だ寝惚けてんの?いいかげん、シャッキリ起きなさい。ルフィもほら、ぼーっと突っ立ってないで、先行くわよ!」
「お、おう!!解った!!」
長い長いさん橋渡りながらナミと並んで話す。
「へへへっ♪なんか、すっげーワクワクすんな♪」
「どうしたの?やたら浮れちゃって。」
「まるで知らねー島見つけて上陸したみてェな…そんな気しねーか!?」
「ふふvあんたらしいわ、ルフィ。」
さん橋渡りきって前の建物ん中入ると、受付の女が1人、ニコニコしながら話しかけて来た。
「こんにちわ。場内ホテル御宿泊予定の方ですか?宜しければこちらで手荷物お預かり致します。」
「『場内ホテル受付』よ。此処に荷物預ければ、宿泊するホテルに運んどいてくれるの。」
「へー!親切だなーー!」
「そりゃ助かるぜ。邪魔な荷物引き摺って、場内歩き回らなくて済む。」
「本日はどちらに何泊の御宿泊予定ですか?」
「フォレストヴィラに今日から2泊する予定です。」
「2泊ですね。貴重品類はお手元にお持ちになってからお預け下さい。」
「…という訳で、2人共、お財布なんかは抜いて荷物預けるように!」
「お、おう!」
「りょーかいした!!」
あそっかそっか!金持ってかねーと、何も買ったり食ったり出来ねーもんなー。
俺とゾロは急いでバッグから財布取り出すと、ジャケットのポケットにしまいこんだ。
ナミは「は~、清々した~」とか言ってカバンを預けている。
だろうな~、デイバッグ1つっきりしか背負って来なかった俺やゾロと違って、ナミはパンパンにふくれたでっけー黒バッグを肩から提げていた。
何つめてんだか知んねーけど、あれじゃ重かったに違いねェと思う。
「あんた達、カメラも持って来て無いの?」
「あー、どうせ誰か持って来るだろ思って持って来て無ェ。」
「俺持って来たぞ!!中入ったらバンバンとろうぜ!!」
「じゃ、それも抜いて預けるのよ、ルフィ。」
「…あ、ハイ。」
『場内ホテル受付』を過ぎた前には、『入場券発券所』ってのが在った。
ナミはそこで『オフィシャルホテル・リゾートパスポート』と場内ガイドをもらって来た。
このパスポートが有れば、1回入場出来て、アトラクションが2日間フリーになるらしい。
ゲートにパスポートを通していよいよ入場する。
此処では入場する時は『入国』、退場する時は『出国』と呼ぶんだとナミが言った。
ゲートの横にいた女が、通したパスポートを渡してくれながら、笑顔で「行ってらっしゃいませ!」と言ってくれた。
外に出るとそこは、のどかな音楽が流れる港街だった。
着いたばかりの時はモヤモヤした天気だったのに、いつの間にか晴れて青空が見える。
日がさしてジャケット脱ぎたくなるほどあったけェ。
どんどん、どんっどん、ワクワクして来た…!!
「さってっと!…先ずは何処行こっか?」
「メシ!!メシ食いに行きてェ!!!」
「右に同じ。」
「……だから未だお昼にもなってないってェの…あんたらの脳は獣並か!?」
「しょーがねーじゃん!!腹減ったんだからさ~~~!!!」
「朝コイツに食われちまってにぎりメシ2個しか食ってねェんだぞ!?腹減ってて当り前だろが!!」
「そうだ!!腹が減ったら食う!!当り前だ!!!」
「ああもう解ったわよ!適当なトコ連れてってあげるから付いて来なさい!」
「やほーー!!メッシだーーー♪♪♪」
「但し!予め断っとくけど、途中で逸れた場合、その場に置き去りにしてくので、くれぐれも私を見失わないように!」
そう言ってにーーっこりすごんだナミは、クルンと回れ右してスタスタ前へ歩いて行った…
慌てて、俺とゾロもナミの後を追っ駆けてく。
ふと左っかわ向くと『お菓子の家 ヘクセンハウス』っつう看板出てる店が在る。
――お菓子の…家!!?
「ナ、ナミーーー!!お菓子の家発見!!中入ってみよーぜーーー!!!」
スタスタと全く振り返ろうともせず、ナミは前に進んで行く…
後ろに付いてくゾロが、ちらっと振り向き『ありゃ本気だぜ』と、目で伝えて来た。
仕方なくあきらめて、また慌てて後を追ってく。
ふと今度は右っかわ向くと、海に帆船が浮かんでんのが見えた。
ちょっと小せェけど、絵本に出て来る海賊船みてェですげカッコ良い!
「な!なァ!ナミー!!船だ!!海賊船だぞ!!乗れんのかな!?乗ってみようぜ~~~!!?」
スタスタと、無言でナミは進んでく…
また仕方なくあきらめて、慌てて後を追う。
目の前に今度はでっけークリスマスツリーが見えた。
三角形してて、リボンやキラキラ光る玉が飾られてて、すっげーきれーだ!
「ナミ!!ナミ!!ナミーーー!!クリスマスツリーだ!!すげきれーだぞ!!なーーちょっと見てくれよ!!おーーーーい…!!!」
――スタスタスタスタスタスタ……
「お~~~~~い…!!!ナミ~~~~さ~~ん…!!!おぉぉぉ~~~~~い…!!!!」
――スタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタ……
『お菓子の家』通り過ぎて、カッコ良い『海賊船』を通り過ぎて、でっかくてきれーな『クリスマスツリー』も通り過ぎて、『時計とう』も『教会』も『テント市』も通り過ぎてったナミが入ってったのは、『グータラタベテート』っつう店だった。
「『グーテン・アペティート』って言うの!」
「そう!それだった!」
「脇目も振らずに人連れて来た店がどんなんか思えば…。」
「あら、悪くないでしょ?トレー持って好きな料理選べるキャフェテリアタイプのが、あんた達には合うだろうと思って。」
「ま、確かに味はまァまァだ。この焼メシ、『ナシゴレン』っつったか?辛くてイケる。酒が欲しくなるな。」
「未成年が何言ってんのよ!」
「俺の『ダッチプレート』もイケるぞ!!このU字型のソーセージ、かむと肉汁じゅわ~~~ってこぼれてうんめェェェ!!!」
「Uの字じゃなくて馬蹄型、『ダッチソーセージ』って言うのよ、ルフィ。」
俺の選んだのは『ダッチプレート』って料理で、U…馬蹄型したでっけーソーセージが1本とラザニアとチャーハンみてェな辛いメシ『ナシゴレン』が一緒の皿に盛られてるヤツだ。
3つまとめて食えるなんて得だと思う、ソーセージ、マジ美味ェし。
『ナシゴレン』ってのは元はインドネシアの焼メシで、インドネシアがオランダにせんりょーされてた時に伝わった料理だとナミが言った。
舌がピリピリするほど辛ェ、けど美味ェ。
ゾロは『ナシゴレン』だけを選んだ。
今説明したメシの上に目玉焼きが乗っかってて、回りにはエビと鶏の唐揚が盛られてるヤツだ。
ナミはプレーンとバナナのマフィンを1個づつ買っただけだった。
「…そんなんだけで足りんのかー?ナミ。」
「実はね、2:30に『アフタヌーン・ティー』を予約してあるんだ。だからあんまお腹いっぱいにしないでおこうと思って。…あんた達は今食べても余裕で大丈夫だろうけど。」
「あふたぬーんてぃー??」
「ちょっと待て。そんなん一言だって聞いてねェぞ?」
「当り前よ、言ってないんだから。」
「何でてめェは何時も人に断り無く勝手に1人で決めちまうんだ?」
「あんたに断り入れたら絶対反対するって知ってるからよ、ゾロ。」
「『あふたぬーんてぃー』って何だ?ナミ?」
「まァ、言ってしまえば、午後の紅茶を優雅に楽しむ茶会って言うか…。」
「午後の『紅茶』!?えーーーー……んなんだったら俺、行きたくねーなー。」
「紅茶だけでなく、サンドイッチやスコーンやケーキも出るのよ。それも好きなだけ!…それでも行きたくないの?ルフィは?」
「ケーキも出るのかーー!!?なら行くぞ!!!」
「ふざけんな!俺は行かねェぞ!…悪ィが別行動取らせて貰うからな。」
「止めた方が良いと思うわよ?遭難したくなければね。」
「あ?馬鹿言うな。たかがテーマパークで誰が遭難すっかよ。」
「これ見て!」
ナミは場内ガイドの地図を、ばさっとテーブルの上に広げた。
「東京ディズニーランドの2倍は優に有る広大な敷地。
全長6000mの運河を張巡らし、さながら迷路の様に複雑な場内は、2、3回来た経験が有る人だって迷ったりするらしいわ。
あんた達みたいな『玄関開けたら2分で迷子』になるような人間が1人取り残された日には――ま、場内遭難、ほぼ確定ね!」
「迷子言うんじゃねェよ!!!」
「そうだ!!ゾロと一緒にするなんて、しっけーな奴だな!!!」
「んだとルフィ!?こっちの台詞だそれはァァ!!!」
「これは脅しじゃないわ。『テーマパーク初の遭難者』として名を轟かせたくなければ…人に逆らう様な真似は控えた方が良いわよと忠告しとくv」
にこーと勝ちほこったみてーにほほ笑むナミ。
何とか言い返そーとゾロは、「あー」とか「うー」とか唸ってたけど…結局はだまってそっぽ向いてふてくされて負けを認めた。
昼近くなって店が混み出した。
何組かの家族連れは、パンを買って行こうと前カウンターに並んでる。
待ちくたびれた小せェガキどもが、飾ってあるクリスマスツリーいじって遊んでた。
ここはホテルメイドのパンを売るベーカリーでもあって、ああしてパンをティクアウトしてくお客も結構いるのだとナミが話した。
特にバナナマフィンが人気だって言う。
そんなに美味いのか?と聞いたら一口くれた。
――バナナがしっかり焼きこんで有って、振りかけてある砂糖でしっとりしてて、メチャクチャ美味かった!!
「ゾロも食べるー?」
「要らねェ。」
「あんた未だ不貞腐れてんの?執念深い男って嫌われるわよ~?」
「煩ェ!馬ァ鹿。」
「馬鹿って言った方が馬ァ鹿!」
あんまり美味かったんで、店出る時に5個買ってった。
したらナミは、「どうせ宿泊するトコの朝食で出るのに」って笑った。
【その5に続】
…ルフィの言う『海賊船』は、本当は海賊船でないです。
正しくは帆船『デ・リーフデ号』、1598年、大航海時代にオランダから日本に渡って来た船を忠実に再現した物。
パークのシンボルの1つ故、乗ったりは出来ません。
後、「場内はさながら迷路~」なんて書きましたが、別にそこまで複雑でないです。
自分、ああ書いといて何ですが、迷った経験無いし。(汗)
ただ、迷う方も居られる。
兎に角広いです、東京ディズニーランドの2倍って言うけど、実際に回れる面積考えると4倍近く有りそな気がする…内田康夫氏なんか、自身の『不知火海』って作品で、「丁寧に回るなら最低3日は必要」って書いた位で…。(汗)
写真の説明~、また去年のになりますが(汗)、『グーテン・アペティート』のクリスマス・デコ、良い雰囲気だったんで撮ってみた。
今回、ホテルヨーロッパに泊まった時にアドミラルのオリエンタルブレックファーストをお願いしたのですが、今までだったら、バナナマフィンとか選べたのに、パンはトーストかバターロールになっていましたが、私の勘違いなのかな。。。
"トーストかバターロールどちらになさいますか?"
って、聞かれたので、トーストって答えたんだけど、バターロールって答えれば、マフィンが食べられたのかな。。
びょりさんはどうでしたか??
ダッチプレート食べたことないんです。旨そうですね~。
説明読むだけでヨダレ出ちゃいました。次回食べてみたいです。
ここは以前、パストラミサンドを食べたのですが、結構旨かったと記憶しています。
バナナマフィンは言うまでもなく旨いっす。味は勿論の事、しっとり加減が絶妙!
ルフィたち、フォレストヴィラに2泊ですか。いいですね~。次回行くときはフォレストヴィラに泊まってみたいです。
でも他の場内ホテルも宿泊してみたいし、迷います。・・・って、いつハウステンボスに行けるか未定なんだけど。(苦笑)
次回、続きも楽しみにしてますね♪
う~ん、言われて思い出せば、以前ヨーロッパ泊ってデアドミラルで朝食食べた時、バターロール頼んだ自分にはパン色々持って来て「選んで下さい」モードだったような、トースト選んだ相方はあくまでトーストのみだったような(その分頼まれた都度トーストして持って来てくれる)……御免なさい、はっきり覚えてないです。(汗)
ハウステンボスは良くも悪くもアバウトだから、出る日・出ない日有るのかもしれない…。(←否定出来ないから困る)
だとしてバイキングのが出て来る可能性高いかもしれませんね~。(汗)
リャンさん…ルフィになって書くとしたら、もっとじゃんじゃん漢字間違いしたりしないとリアルでないかもしれませんね~~頑張りますv(笑)
ダッチプレート、結構食いでが有りますね。
ファミレスタイプな店ですが、案外味良いと自分は思ってます、家族連れで来た場合、良いかも。
フォレストヴィラは楽しいですよ~!!
あんな家に住みたいもんです。(笑)
御声援有難う御座います、地道に書いて行きますんで、今後も宜しくです。(ぺこり)
皆様コメント有難う御座いました~♪
『アンカーズラウンジ』ですら「モーニングロール」と称していろいろな種類のパンが(勿論バナナマフィンもくるみパンも、ブリオッシュそして私のお気に入りのクロワッサンも)あったんですけどね・・・・・・
『ロールパン』、そうでした。(汗)
済みません、暫く自分もデアドミラルで朝食は食べて無いので(最近だとアンカーズラウンジで、或いは朝食券をブランチに変更して…な風なんで)、今一記憶があやふやです。(汗)
う~~ん…最後は実際に行って見るか、問合せるしか無いんだろうな~。(悩)
コメントどうも有難う御座いました!(あ、済みません、貴ブログをブックマークに入れさせて頂きました、後日御挨拶に伺います。)
ごめんなさい。m(__)m
ロールパンって言えば、グーテンアペティートのパンのたくさん入ったバスケットを持ってきてくれるんですよね。
私がバターロールって思ってたから。
それにしても、前もロールパンって言ってたのかな??
バナナマフィンはロールパンではないと思うけど。。
でも、ロールパンと言われたような気がします。
う~~ん…兎に角「ロール…」とかは言われたような…記憶が何となく。(汗)
確かにバナナマフィンの何処が「ロール」してんのかは不明ですが。(汗)
今度は是非「ロールパン」で頼んでみて下さいv(笑)
コメント有難う御座いました♪