kotoba日記                     小久保圭介

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水神様

2008年09月17日 | 生活
労働場の北西角に、
KONISHIKIさんは井戸を掘っています。
その機械は、滑稽なほど古い感じで、
「ぎったんばっこん」と音が出るそれです。
ずっと昔は人力であったのでしょうけど、
今は油でその機械は動き、
素人が見ると、本当にクスッと笑ってしまうほど、
初期的なイメージが伴う機械なのです。
でもKONISHIKIさんの会社は、
温泉も掘ります。
だから、その時はもっと大きな機械で、
何十メートルも掘るのだと思います。
労働場の井戸は何十メートル掘るのかは判りませんけれど、
井戸が掘れたら、一分で200リットル(大きいペットボトル100本分)の、
水がくみ出されるそうです。
KONISHIKIさんと話をしていて、
どういう流れだったかはおぼえていないけれど、
井戸には神様がいるらしい、という話になりました。
「迷信ですよ」
とKONISHIKIさんは言いますけど、
「何かあったら迷信のせいにしていたのでしょう」
と重ねますけど、
どうやら、井戸を掘る時は、
御神酒、塩、米を盛って、お祓いをするのが常らしい。
「水神様じゃあ」
とオジも言います。
面白いな、と思ったのは、
井戸を埋める時の儀式。
「お札を古井戸に落として、砂利というか、埋めていくんです。勿論、お祓いして」
とKONISHIKIさん。
「へえー」と僕。
「それで、25ミリ(2センチ半)の直径の塩ビパイプ(グレイのプラスティック製)を、
井戸の中に通すんですよ」
とKONISHIKIさん。
どうやら、井戸の中の神様が生き埋めにならないように、
外と通じる空気穴のようなものを、作って埋めるらしい。
「小久保君、町中によく缶詰のカンがパイプにかぶせてあっただろう?」
とオジ。
そういえば、小さい時、たまに空き缶が妙なパイプに蓋としてかぶせてあったような、
そんな記憶があります。
それは井戸が呼吸できるように、
昔の人がした習わしでした。
「古井戸は粗末に扱わない、というのが、まあ、迷信ですけど、僕らの仕事の一つです」
とKONISHIKIさん。
「本当は真を抜くと一番良いんですけど」
とKONISHIKIさんは重ねました。
ふと、以前、加藤先生に聞いた荒神様のことを思い出しました。
荒神様は、井戸、竈(かまど)、庭、門に、
季節ごとに場所を変えて住んでいて、
冬は庭にいるらしく、
「冬に庭を耕すと、荒神様の頭をごつんとやるから駄目だ」
と加藤先生は言っていました。
荒神様が井戸にいる季節は、いつだったかな。

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陽の下、
秋の風が吹きました。
コメント
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