千の天使がバスケットボールする

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「今井澂のマネー・ドット・カム・カム」より-映画「天国と地獄」と波乱相場の前途

2006-07-25 00:17:59 | Nonsense
「週刊エコノミスト」で最も愛読していたのが、国際エコノミストの「今井澂のマネー・ドット・カム・カム」
なにしろ、毎週経済の相場観を映画にからめてご案内する芸当は、国宝級。
ブックマークにもリンクしたのだが、今週号の黒澤明監督の映画「天国と地獄」は、まさに300回にふさわしい傑作である。特に黒澤監督は音楽の使い方が、非常に上手い。犯行後、”山手”の三船演ずる製靴会社重役宅から、カメラは犯人役、山崎努が住む”下町”のアパートの狭く暗い部屋にゆっくりと移動する。犯人は、事件を報道した新聞を余裕で読んでいるのだが、バックに流れるのがシューベルトの「鱒」。
そしてラストで、太陽を浴びながら捕まる犯人の絶望的な顔にかぶさるのが、「オー・ソーレ・ミオ」だった。この音楽の使い方は、映画とともに強烈な印象を残した。
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映画「天国と地獄」と波乱相場の前途
映画「天国と地獄」は黒澤明監督のサスペンス。このコラムの300回目にふさわしい傑作だ。

 誘拐犯が製靴会社重役の息子を誘拐しようとして、間違って住み込みの運転手の子をさらう。それでも犯人は身代金を重役に要求する。三船敏郎演じる重役・権藤は、会社内で腹黒い連中と争っている最中で、身代金を支払えば争いに負けるため、当初は支払いを拒否。だが結局、人道的な立場から支払う。縁もゆかりもない権藤に異常な執念を燃やす山崎努演じる誘拐犯は、純度の高いヘロインを使って共犯の2人を殺し、必要となるとさらに殺人を繰り返す。

 ミサイル発射直後の南北閣僚会談で北朝鮮は、核とミサイルで韓国を守るからコメ50万トンを出せ、と主張した。あきれた話だが、韓国の盧武鉉大統領は北を批判するどころか、対日批判を繰り返している。来年末までこの困った政権は続く。支持率はわずか7%だから政権交代の希望はあるが、映画の誘拐犯のような異常者と、その同調者が隣に住む地政学リスクは変わりようがない。

 これに加えてトヨタ自動車のリコール問題など市場には売り材料が充満している。イラン制裁問題がこじれて原油の異常高というリスクシナリオもある。米国中間選挙の年の夏場は必ず株安というジンクスも気になる。国内景気も、スクラップ鉄の価格は下がりはしないがせいぜい強含み程度と、「中だるみ」状態。

◇好材料が出始めた

 しかし、いい材料も出てきている。「バーナンキFRB議長が最も注目するTIPSスプレッドは市場の期待インフレ率低下を示唆」というリポートが投信情報会社リッパーから出た。米国の物価連動国債TIPSと10年物国債のスプレッド(利回り差)が昨年3月にピークをつけ、最近も低下傾向。リッパーは、8月の利上げの可能性は80%から60%に下落したとみる。

 長期の強気材料も出ている。投信募集の好調と外国人投資家の買い越し姿勢継続だ。株数ベースでは売り越しだが、金額ベースでは1週間2000億円台の流入が続いている。信用取引の取り組みもやや改善されている。戻り相場の迫力がイマイチなのは、まだ信用買いの評価損が大きく、個人投資家が戦意喪失状態だからだろう。

 しかし、相場の柱となる業種ができれば、買い気は出てくるものだ。ミタル・スチールのアルセロール買収は鉄鋼株の評価を根本的に変えた。世界の鉄鋼生産量の10%、1億トンの巨大メーカーが誕生。しかも来年からは国内でも株式交換による企業買収が認められる。技術と高品質鋼材のシェアを考えれば、日本の鉄鋼株は居所が違うはずだ。

 映画のセリフから。身代金を払ったために会社を追われ、破産した権藤を、誘拐犯があざ笑おうとする。「何をしていらっしゃるんですか」「相変わらず靴を作っている。小さな会社だが、それを私に任せてくれるという人がいてね」。結末は明るい。確信を持とう。

 2006年7月25日

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