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大丈夫か?裁判員制度

2009-05-19 22:39:02 | Nonsense
【「裁判員制度には反対」 島田事件で冤罪の赤堀さん】 (2009/05/16 共同通信)

静岡県島田市で1954年に起きた「島田事件」で、再審無罪となった赤堀政夫さん(79)が16日、静岡県新居町で記者会見し、今月21日からスタートする裁判員制度について「一般の人に正しい判断ができるか分からず、反対だ」と訴えた。
赤堀さんはこの日、裁判の支援者らが18日の誕生日を祝う会合に出席。会合に先立って行われた記者会見で「解放されてからの20年は早かった。(無罪確定前は)何もしていないのに犯人扱いされてつらかった」と厳しい表情で当時を振り返った。
一般の人々が刑事裁判に加わる制度については「裁判官ではなく、法律を知らない人に正しい判断ができるか分からない」と述べ、冤罪防止の観点から批判した。

赤堀さんは54年、島田市で女児が連れ去られ殺害された事件で逮捕され、60年に最高裁で死刑判決が確定したが、89年の再審で一転して無罪となった。

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今日、帰宅途中の駅構内で、明後日21日からはじまる裁判員制度の広報のポスターを見かけた。人気女性タレントが笑顔でよびかけるような官公庁にありがちな定番ポスターとも思えるのだが、彼女自身は実際に裁判員になったら本当に正しい判断ができるという自信があるのだろうか。
昨年の11月26日、東京地裁で裁判員制度に向けた模擬裁判が行われた。

題材は、鬱病の男(54歳)が自宅で母親(84歳)の首を絞めて殺害した。弁護側は被告は鬱病により「責任能力が大きく減退した心神耗弱」を訴えたが、検察側は「責任能力あり」を主張。心神耗弱の場合は、刑法の規定で刑を軽減しなければならいことから、被告が「鬱病による心神耗弱」が裁判結果を左右する。前日の25日、鑑定役を務めた精神科医が出廷してパソコンで図表を使いながら被告の精神鑑定についての説明をした。
「鬱病によって、被告はささいなことで感情が爆発する『激越発作』を起こした。犯行には、鬱病の症状が大きく影響している」と解説をした。つまり、鑑定結果は被告の責任能力の欠如を示していたのだった。

ところが、裁判員役のアルバイト女性は、「被告は犯行後にすぐ後悔して通報しているのだから、善悪の判断がわかっていた」と述べた。(私だったら、それが「激越発作」という鬱病の症状の特徴だと思うのだが。)ちなみに、このアルバイト女性によると、鬱病になった後、努力して社会復帰した知人がいたことから、病気のせいで罪が軽くなることに納得できないそうだ。また、会社員Aさんは、法廷での被告を見るとそんなに重い鬱病には見えないと判断した。専門医の鑑定結果よりも、自分の印象、見た目を優先している。君は医者か?勿論、模擬裁判なのだから、鬱病の被告人役になった方は、年齢は54歳でも健康な方がそれらしく見せているだけである。けれどもこの場合、重要なことは裁判員制度の主旨から一般市民の常識や感情をもちながらも、刑法の規定の範囲の中で合理的に判断する必要がある。

そして、裁判員役の6人のうち、5人が「責任能力あり」と判断。裁判員役1人と裁判官3人は鑑定結果を重視して「心神耗弱」。「裁判官が1人も賛成しない意見は被告に不利は方向では採用できない」という裁判員法の規定に基づき、この模擬裁判では心神耗弱が認められ、懲役13年の求刑に対し、懲役6年の判決が言い渡された。医師の診察結果、鑑定結果よりも、人の精神の病は自分の印象の方が正しい?
これまでの各地の模擬裁判でも、鑑定結果はほとんど参考にされてこなかったそうだ。これって、実はおそろしいことだと私は考える。鑑定結果を参考にしないということは、証拠に基づく裁判が行われないことに近い。心や精神は、表面からではわかりにくいことが多い。だからこそ、専門医の鑑定に耳を傾けることも大切では。しかし、そもそもそれ以前にわかりやすく説明しても、鑑定結果を理解できないような方が裁判員になってしまうこともあるだろう。
ポスターに起用されたタレントの方は、「鬱病」って読めるだろうか。私だってえらそうなことを言えないが、本当の「ウツ」って誰もが理解できるのだろうか。
人相が悪い人は、刑罰が実際の罪よりも重くなる・・・な~^^んてことにならないように。

裁判員制度、反対。

■そういえばこんなアーカイブも
「裁判に参加したくない 7割」裁判員制度調査
映画『十二人の怒れる男』


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4 コメント

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裁くこと (有閑マダム)
2009-06-02 05:37:41
樹衣子さん、今頃は小旅行を満喫されているでしょうか。

裁判員制度、難しいと思いますね。

今朝の新聞でも、中国から移民してきた音楽教師が問われている罪について、冤罪の可能性が濃厚ということが出ていました。 密室で生徒と二人きりになるピアノレッスンの最中の性的虐待の罪ですが、根拠となるものがひとりの女子生徒の証言だけだというのです。 陪審員は、皆彼女の証言を信じたらしいのですが、この教師が英語を上手く話せないことから、不公平な立場、移民に対する偏見などが問題とされています。 
そもそも、人が人を裁くことそのものが難しいわけですよね。 法律の専門家である人たちだって間違った判決を下すこともあるのに・・・
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裁かれること (樹衣子)
2009-06-03 23:05:41
>有閑マダムさまへ

京都に行っておりまして、昨夜帰宅しました。不景気なうえに例の新型インフルエンザの影響で修学旅行のキャンセルが続き、京都の経済は大打撃だそうです。有閑マダムさまの日本の国について「マスコミ・特にテレビの威力」をおっしゃっていましたが、まさにそのとおりです!騒ぎ過ぎです。この辺は、いずれブログに書いてみたいところです。

閑話休題。
中国人ピアノ教師の冤罪の可能性は、なかなか興味深いです。相手の女子学生は、もしかしたら白人なのでしょうか?白人女性が、移民の中国人を恋愛の相手に選ぶのか、という偏見もあったのかも。
日本では性行為の相手が未成年の女性で、もし彼女から暴行を訴えられたら不利になるそうです。もそもと未成年者が、男性を自ら誘惑して関係を結ぶとは考えにくいから。有閑マダムさまもご存知かと思いますが、痴漢の冤罪でつかまった会社員の『それでもぼくはやってない』という映画が好評を博しました。

>陪審員は、皆彼女の証言を信じたらしいのですが

そもそも証言を信じる、信じないというのは、ひとりひとりの主観に過ぎないと思います。密室の中での出来事だから、当事者の証言が裁判で与える影響が大きいかと思いますが、若い20歳ぐらいの女性が涙を流しただけで、おおかたの陪審員は同情するでしょう。私がその場にいても、信じてしまいそうです。女性は弱く性的関係においては受身、という古い日本女性の固定観念が自分にもありそうですしね。

>人が人を裁くことそのものが難しいわけですよね。

米国の死刑囚は、昨年で3350人。1976年に死刑制度が復活してから死刑を執行された人は1000人を超えるそうですが、これまで123人の死刑囚の冤罪が発覚しているそうです。おそろしいですね。

ところで、私が一番興味をもったのが、移民の中国人が米国でピアノを教えているということです。文化革命時代、西洋音楽は禁止されていたのに、ユンディ・リのように最近の中国人ピアニストの台頭がめざましいのは指導できる中国人がいるからですね!
最後になりましたが、有閑マダムさまも、短い日本での滞在を楽しまれましたでしょうか。
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証言者は (有閑マダム)
2009-06-12 05:31:16
樹衣子さん、
この事件で証言した女子生徒は、まだ14歳だったそうです。
有罪の判決が出た後でわかったことは、
そもそも彼女がこの音楽教師を他の先生に替えて欲しいと母親に頼んだら、ダメと言われたのだけれど、
「特に不適切な行為がないのならね」という母親の言葉に、「不適切な行為って何?」と尋ねたのだそうです。
で、母親が「例えばレッスン中にあなたの身体を触ってくるとか」と言ったら、初めて「そう、不適切な行為がある」と言い出したとか。
先生が厳しいからとか、本当はそういう不満から他の先生を親に探して欲しくて、それで嘘を言っちゃったのでしょう。 
親の言葉にヒントをもらってしまったんですね。 
この先生の人生でどれだけの意味を持つのか理解せずに・・・。

この先生のほかの生徒からは、一人もそのような被害が証言としてとれないこと、雑誌やビデオ、インターネットの痕跡から未成年に対して性的な興味を持っていたらしい証拠が何一つないことなど、冤罪を裏付ける事柄がそろってきて、裁判はもう一度持たれる事になりそうです。
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驚きですね (樹衣子*店主)
2009-06-13 17:06:08
>親の言葉にヒントをもらってしまったんですね。 
この先生の人生でどれだけの意味を持つのか理解せずに・・・。

なんだか、驚きの顛末ですね・・・。
勿論、嘘をついた14歳の少女が一番悪いのですが、少女の安易な小さな嘘を、我が子の言葉だからとまるで疑わず事実確認もせずに訴えた親にも非もありますが、すっかり少女の証言に同調してしまった陪審員や誠意のない弁護士も、人を裁くことの難しさを感じます。

>裁判はもう一度持たれる事になりそうです

とりあえず本当に冤罪で、罪が晴れるのならよいのですが、教師、少女、裁判に関わった人々を含めて、あまりにも苦い経験になってしまいましたね。コメントをありがとうございました。
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