千の天使がバスケットボールする

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とんでもない”Resource Action Program”

2011-11-12 16:05:14 | Nonsense
加齢とともに遅れがちな肌代謝サイクルをサポートし、理想的な角質層を育てることを目指した美容液。
デパートから届いたクリスマスに向けてのコスメ特集のパンフレットにあった宣伝文だが、毎日お肌がしっかり代謝してくれたら、いつでもすべすべの赤ちゃん肌なのに。古く役立たない細胞を捨てて、ぴかぴかの有能なお肌にリニューアルしたい。そんな乙女心を実践している外資系企業がある。そう、誰もが知っている超一流IT企業の、情報誌「選択」で知った恐るべし新陳代謝のプロジェクトなのだ。

各部門長宛てに作成されたプロジェクト名は「2008 4Q Resource Action Program」。冒頭には予定数の達成が、我々リーダーのAccountabilityと強調されていて、要するに人事考課でBottom15%の社員の人材を退職させるプロジェクトだそうだ。売上目標ではなく、社員のクビ切りノルマには、ちゃんとフローチャートで優しく丁寧にカイシャが教えてくれる。まずはターゲット(Bottom15%の対象者)を選定し、退職面談をする面談者をトレーニングして、あくまでも本人の自由意志に基づいて決断するようコミュニケーションをしてください、とアドバイスをしてくれる。このフローチャートは何度やってもどのルートをたどっても、自由意志による退職がゴール!成果は、毎週社長臨席の会議で点検される。ここで、プロジェクトの遂行が滞ったら、今度は自分がBottom15%に落とされるというデンジャラスな気分も味わえるかもしれない。まさに勝ち組は残り、負け組は退場。

上司に嫌われた人や逆らった人も含まれるので、素直に応じない社員に用意されているのが、「Performance Improvement Program」(業績改善プログラム)。業績が伸びない社員に面談を重ねて改善を図るこのようなプログラムが用意されているとはありがたいのだが、本来の目的とは違う使い方もあるのがこのPIPだ。「改善目標管理シート」を手渡されて改善を要する点が書き込まれているが、改善されなかった場合の対応の可能性として「降格、解雇」が記されている。最終目標は改善よりも解雇なので、面談のたびに責められるそうだ。実際、昨年11月に大阪労働局長が名誉毀損するおそれのある発言が認められたと是正を指導した。

しかし、業績悪化なら兎も角、このプロジェクトは毎年相対評価によって必ず発生するBottom15%の人材を代謝させるためのプログラムなのである。すさまじい新陳代謝は会社側のコメントによると”市場ニーズに応じた人材適正化”となるそうだが。ところで、このPIPは外資系を中心に浸透しつつあるそうだ。このカイシャの会長は、社長時代に、「我々が毒見して大丈夫となれば日本の会社の皆さんもやりやすい」と雑誌に語ったそうだが、ビジネスマンとして有能であっても人間性に疑問を感じる私が間違っているのだろうか。

私のお肌も毎年Bottom15%の新陳代謝がすすめばと願いつつ、外資なら当たり前なのかもしれないし、優秀な人材が集まり福利厚生も整い、看板の信頼性も高い超優良企業、しかし、カイシャのこんな新陳代謝方法は勘弁だと正直思う。昔憧れたカイシャの社名は、SF映画の金字塔とも呼ばれる作品の人口知能をもつコンピュータの名前にも暗示されてくらい、その分野の象徴なのだが。