千の天使がバスケットボールする

クラシック音楽、映画、本、たわいないこと、そしてGackt・・・日々感じることの事件?と記録  TB&コメントにも☆

『私の頭の中の消しゴム』

2006-05-24 00:44:53 | Movie
■ガテン系の男は好きですか?



好きでーーーっす!
なにやら一時のヨン様ブームが落ち着いた頃、私も大好きなクォン・サンウが韓国俳優で人気トップを誇ったと思ったのもつかのま、最近ではダークホースとしてチョン・ウソンが人気急上昇中。国内では、多くの韓国俳優のかげにかくれて知名度・人気度ともに今ヒトツだったチョン・ウソンの人気に火がついたのが、映画『私の頭の中の消しゴム』である。映画館で4回も観て大泣きしたという「消しゴム普及活動委員長」から、いかにも大事という感じでビニールに包まれたDVDを拝借。

この映画は、史上最後の唯一生き残っている清純派女優!ソン・イェジンを相手に、チョン・ウソンのガテン系の魅力が満載な映画でもあった。
この野獣派への「萌え感覚」は、某所で読んだ「知的な女性の仕事中とか勉強する時にかけるメガネが、最高」とする男性からの眼鏡っ娘大好きと対極をなすものだ。思えば、男女共同参画というお役所のお達しであらゆる分野に女性が進出するようになった。そのおかげで職場ではかってより男らしさや女らしさを求められることも、求めることもなくなった。カイシャでの役割としての男女の性別は縮まりつつある。そんななかで、最近でこそ女性の姿もちらほら見かけるが、建設現場は今だにか弱き女人の近寄り難い男の砦、聖域として残されている。近代的なオフィスでスーツ姿は素適だがなんだか頼りなげな男性、女性におされぎみの哲学者土屋賢二さんのようなおぢたちを見ていると、汗とほこりにまみれて建設現場で働くガテン系のヘルメット姿に、郷愁じみた男らしさの原点、色気を感じるのだった。

この映画で、チョン・ウソンはそうした男のフェロモンを熱望する女性たちの期待に見事応えてくれた。長身と無精髭、最近では蔑視される煙草を吸う姿がキマッテイル。親に捨てられた貧しい境遇から、仕事熱心、誠意のある熱血漢ぶりという性格で周囲に仕事ぶりも認められ、はじめて好きな人と家庭らしい家庭をもつというのもいい。直情型で頑固、自分を捨てた母への恨みを妻になったスジン(ソン・イェジン)の「こころの部屋をひとつ空ける」という説得から”ゆるすこと”の大切さを教えられ、一生かけても返済できるかどうかという金額の借金のかたがわりをする。無骨な男が、お嬢様育ちの素直な女性から家庭のあたたかみと愛情を学ぶ姿勢に、ガテン系好みの女性の胸をきゅんとさせる。
ブランドもののおしゃれさとは無縁なラフな服装が日頃の仕事で鍛えられた肉体によく似合う、運転する車はぼろぼろのジープ。喧嘩っぱやいのがハラハラさせるが、妻には寛大だ。

この映画は、少女漫画に近い。「若年性アルツハイマー」という難病による自己喪失、意識レベルでのもうひとつの死を扱ってはいるが、スジンの病気への恐怖や記憶の消滅の根源的な悲しみよりも、妻の病気を受け入れる夫チョルスの立場としての悲しみや苦しみに中心がある。そのため本作品でこの病気への理解をえるには弱いが、あくまでもラブ・ストーリーとして鑑賞するのであれば、やはり上出来な作品である。
チョン・ウソン自らが映画化を熱望していたのも、主人公の男くさいキャラクターに共感するものがあるのだろうか。妻がみずから介護ホームへ行くことを決意し家を出た後も、なかなか会いに行けない感情のあやはよくできている。
やはりこの映画は、チョン・ウソンのための映画だ。
綺麗な男にも癒されるが、彼のような男らしい男復権待望。音楽もしゃれている。
この後、チョルスはどうなるのだろう。一生スジンだけを愛し続けるのだろうか。