千の天使がバスケットボールする

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米軍再編の日本負担

2006-05-19 23:58:08 | Nonsense
ローレス米国防副次官は25日、国防総省で記者会見し、在日米軍再編全体にかかる日本側の負担について、少なくとも約260億ドル(約2兆9800億円)にのぼるとの見通しを明らかにした。内訳は概算で、沖縄も含めた日本国内の再編関連経費約200億ドルと、沖縄海兵隊のグアム移転経費約60億ドルとしている。ローレス氏は「控えめな試算」としており、日本側負担の総額は3兆円を超える可能性がある。日本国内での再編経費は、主に日本側が負担することになっている。ローレス氏の発言は日米間のこれまでの調整を踏まえたものと見られるが、積算根拠や詳細な内訳は不明で、日本政府が今後、国会などでの説明を迫られる。
ローレス氏は、在日米軍の再編にかかわる経費の総額が約300億ドル(約3兆4300億円)との見方を示した。このうち米側の負担についてはグアム移転費の約40億ドル(約4600億円)にとどまると明言した。
 ローレス氏は「財政支出上の義務は多くが2012年までの時期に入っている」と指摘。在日米軍の再編を実現する目標である12年までの支出を想定しているとみられる。ただ、普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設を例に挙げ、「ほかの再編より時間がかかるかもしれない」と語った。
約260億ドルの日本側負担について、ローレス氏は「同盟に対する日本側の投資は膨大な金額だ。日本側は海兵隊のグアム移転費だけでなく、かなりの出費をする」と強調した。議会などの理解を得るため、日本側の負担が中心になることを強調したとみられる。
総額100億ドルのグアム移転経費については、23日の日米防衛首脳会談で、日本側の負担が59%とすることで決着した。この点についてローレス氏は、「公平にまとめられた取引だと思う」と述べた。
一方、外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)については「来週開くよう準備しているが、再編全体のパッケージで合意しなければ開催されない」と述べた。(2006年4月26日朝日新聞)

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「軍事オンチ」は小泉首相だけではなかった。今年の第一生命サラリーマン川柳の入選作「ウォームビス 懐常にクールビス」どころではない。この天文学的な負担金額◎◎。。。気になる米軍再編を調べてみると、日本と米国の関係がうきぼりになる。

国内の米軍基地は、無償提供。光熱費&軍人の給与を負担し、基地返還時には原状回復を要求しない。ベトナム戦争からイラク戦争まで、米軍は日本の基地から出撃。かって在日米軍は、日本という国土に築いたソ連の太平洋進出を牽制する防波堤の役割を果たしてきた。その防波堤に日本人は”守られている”という感謝への気持ちが、米軍維持費負担である。いざとなったら日本がまっさきに戦場になり、国民は最初の捨石になるなんて想像してはいけない。しかし9・11同時多発テロ以降、米本土防衛の重要性を実感した米国では、中東から朝鮮半島までの弧状の地帯を「不安定の弧」と名づけ、紛争の防止と制圧のために世界規模で米軍の再編計画が練られた。
対象を広くアジア・太平洋地域全体を視野に入れた「前線司令部兼出撃基地」への”日本列島改造計画”である。

①米陸軍第一軍団の日本移設
米国が極東戦争する場合、本土より時差の少ない日本から指揮をすることが狙いだという。当初日米安全保障条約の「極東条約」違反と拒否するものの、小規模司令部とすることで受け入れる。

②第五空軍のグアム移転
米軍がハワイに戦闘司令部を置くため、中途半端な司令部が不要となったため。

日本としては、第一軍団受け入れのみかえりに沖縄の海浜隊をグアムへ追い出すという交換条件でグアム移転費負担を低く抑えることもできたのだが、普天間飛行場移設問題、厚木基地の空母艦載機部隊の岩国移転も含めての基地問題解決という縛りがつき、このように惨敗した。当初、有利なカードを握っていたのに、本気であたらない政治家、軍事オンチの首相では、負けるに決まっている。
再編交渉に関しては、「米側の申し出を検討するにとどめるべき」とした外務省を、防衛庁が「この機会に基地負担軽減の実現」という主張でねじふせた。
基地経費負担軽減、この言葉のマジックに私ももう少しでかかりそうだった。
基地問題の解決のために、米軍再編を受け入れるという発想では、本末転倒である。空軍をグアムに移転していただくために、米軍第一軍団の移設を招いたわけではなかった。米軍が軍の再編をするために、基地問題を利用したというのが真相ではないか。

国防費削減と米本土防衛(日本の防衛ではない)という難技を決めたブッシュ大統領は、すご腕だ。(もっとも優秀なのは、大統領ではなく、ブレーンだというのが定説ではあるが。)それとも、よくよく日本人はおひとよしなのだろうか。