千の天使がバスケットボールする

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トルコを迎えるEUのプライド

2005-11-17 23:08:03 | Nonsense
1922年、オスマントルコが瓦解し、政教分離世俗国家へと共和国を建設した当時、時の将軍ケマルは、「西洋に負けるな、西洋に匹敵する国家であれ」と国民を激励した。いよいよトルコにとっては、EU加盟という勲章をつけて「オリエント的遅れを克服しヨーロッパの近代性を獲得する努力」(スイス「ノイエ・チュルヒャー・ツァイトゥング」紙)が、実るかどうかの正念場を迎えるに至った。

トルコのEU加盟は新次元をもたらすだろうと、友好的な発言をするブレア首相を除いて、「トルコの加盟はEUの終りを意味する」というフランス元大統領でジスカールデスタンEU制憲会議議長のように、感情的に拒絶する者が多い。

その理由として、パウル2世の「EUはキリスト者の同盟であるべき」というように、ヨーロッパ人の共通的価値観であるキリスト教と違うイスラム教への感情からくる。しかしこれに反論するのが、M・ロカール仏元首相である。

①EUは、条約と機構への共通理解によって生まれたので、宗教色とは関係がない
②すでにヨーロッパには1000万人のイスラム教徒市民が存在している。トルコをイスラム教ゆえに加盟を許さないなら、彼ら市民に対する侮辱になる。

このような正論にあえば、加盟に反対する理由は消滅する。しかし本音を言ってしまえば、高賃金・高待遇を求めて押し寄せてくるトルコ労働者の予兆が憂鬱の種であろう。フランスでの移民によるいまだに鎮火していない暴動が記憶をとどめている。
トルコの人口は6800万人。EUに加盟したらドイツの次に人口大国になる。しかも2600億ドルの対外債務という大きなお荷物まで背負っている。これを受けとめるには、EUにとってもかなりのタフさが必要になる。加盟してきたあかつきには、年額200億ユーロも予算を増やすことになり、その1/4はドイツに支出増でまかなわなければならない。病める大国に凋落したドイツにとって、ワシントンに頼まれたからといって歓迎ムードの笑顔もどこかぎこちないのは当然である。

トルコははたしてヨーロッパなのか。トルコがきたら、次はモロッコあたりもやってくるのではないか、まるで遠い遠い貧しい縁戚が頼ってくるような恐れを抱くのが、”洗練された”ヨーロッパ人の流儀だ。