千の天使がバスケットボールする

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フリーター漂流

2005-02-06 16:58:39 | Nonsense
フリーター。会社員をリーマン、スチュワーデスをスッチーと呼んでいた世代からすれば、なんとも素適な肩書きではないか。
あのイチローだって松井秀貴だって、イラストレーターだって、雇用関係で言えば契約制のフリーターではないか。

フリーターの定義 「平成12年版労働白書」

①年齢15歳から34歳まで
②働いてはいるが正社員ではない雇用者
③男性→継続就業年数1~5年未満
④女性→学生・主婦は除いてバイト5年未満及びバイト先を探しているもの

その数100万を超える。その数と実態に衝撃を受けた。
昨日観たNHKのテレビ番組「フリーター漂流」は、この国の労働者環境の大きな変化と将来の少なからぬ暗い予測を、ナレーターの田中久仁衛が淡々と語っていた。登場人物は3人。典型的なフリーターのサンプルともいえなくもない彼らが、請負会社に登録して安い時給でメーカーの工場の寮に住みながら勤務した実態をドキュメンタリーで追った番組である。

A君21歳、中卒でファッション関係の仕事をしたいが学歴がネックとなっているため、現在通信教育で勉強中。さしたる大きな夢や目的がないが、明確なビジョンもなく、小さなトラブルによって簡単に離職するタイプ。勤務中に仲間とけんかして、仲裁にきた請負会社の社員の忠告に耳をかさずに工場を3日でやめたって、帰る快適な家がある。若いから親世代はまだまだ現役で働いてるために、親の経済力のもと、中流の生活を維持できる。だから簡単にやめられるのか。

Bさん28歳、美人の妻あり。フリーター歴が長く要領もよいためすぐにリーダーになり、仕事の調節役になるも時給はみんなと同じで仕事の評価には反映されていない。ノルマがきつく遅くまで残業するも風邪で一週間ダウン。当然、その間は収入は無い。妻との将来の家庭を考えるとこのままではやっていけないと感じるが、メーカーと交渉してアルバイトという身分で再就職。時給がちょっぴりあがり、1000円を超えた。やりたい仕事を見つけるためにフリーターを選んだモラトリアム人間。フリーターの口はたくさんある。けれども、正社員に比較してあまりにも低い賃金と待遇に気がつきつつある。

Cさん35歳、独身。父親と経営していた運送会社の収益が悪化。正社員として働きたく就職活動するもどこも断られ、結果フリーターになってしまったやむを得ない選択型。真面目に働きつつも、所詮企業にとっては安価で便利な雇用の調節弁。そんなフリーターの役割を理解しない昔かたぎの父親から、説教され再び請負会社に出向くも、35歳は年齢的に厳しいと諭され、愛知県の自動車工場の厳しい仕事を紹介される。新しい仕事に従事するために再び自宅を離れる。

彼らの将来はどうなるのであろうか。
フリーターは、何年経験を積んでも評価されないし、元々評価のないような誰にでもできる仕事だ。年金の財源でもある労働者の構成員が収入の少ないフリーターの比率が増えることによって、正社員のものたちの社会保険や年金だって当然見直しされるであろう。彼らは別とフリーターを蔑視する社員はそういったことには考えが及ばないのだろうか。莫大な経常収益増大を誇る外国でも上場しているような一流企業の影に、こんな環境で働くフリーター、正社員の高給を維持するために低賃金で働く彼らの存在。
あと何十年かしたら、日本は生活保護世帯が増加したり、貧しい人たちとリッチな人、社会の階層がはっきり分かれていくのだろう。

フリーター、名づけ親である道下裕史氏の、そんな夢を追いかける自由人をイメージしたこの肩書きを安易に使うのはもうやめた方がよいのでは。要するに定職なしの労働者なのである。