書棚に未読のまま置かれていた。何故、この本を買ったのか、記憶がない。しかし、以前から自然科学のわかりやすい本には、関心があったので、きっとそういう関心でもとめたのだろう。
ガリレオ(1564-1642)の生涯と業績を平易に解説したもの。知らないことはたくさんあったが、アリストテレスの自然観、天体の運動に関するプトレマイオス体系に疑問をもち、観察と数学を使って自然科学の道を開いたこと、すべての問題を、重さ、距離、時間そして速度のような基礎的量でまとめようとしたこと(p.83)でそれが可能になったこと、という叙述が印象に残った。
ガリレオはコペルニクス的な地動説を唱えたこと(ティコ・ブラーエの体系との格闘)、物質の運動に関心をよせ、自由落下の法則(s∝t^2,v∝t,1/2vt=s,ここでvは速度、tは静止状態から計った時間、sは静止状態から落下した距離、∝は「比例する」という意味)、慣性の法則(硬く滑らかな球が、硬く滑らかな水平面上に置かれ、静かに押されるとき、この球が加速したりあるいは減速したりする理由がない、直線上の運動は「保存」される)などの解明に貢献があった。地動説では、当時の教会の教義に反しために、異端の宣告を受け、幽閉されたことは、よく知られていて、本書にもそのことがしっかり書かれている。
著書として『星界からの報告』『二大世界体系についての対話(天文対話)』『新科学対話(機械学、および地上運動に関する2つの新科学についての対話、および数学的証明)』があり、イタリア語で書かれた(ラテン語ではなく)。ガリレオの仕事はフランスではマリン・メルセンヌやデカルトに、イギリスでは数学者ジョン・ウォリス、司教ジョン・ウィルキンス、化学者ロバート・ボイルに影響を与えた。
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