野村克也さんと言えば、わたしの少年時代から南海ホークスの名捕手として知られ、三冠王もとり、監督になってからも阪神タイガース、ヤクルトスワローズ、東北楽天ファイターズなどを歴任、データ野球を普及しただけでなく、見切りをつけられた選手を再生させる手腕をみせた。
この本にも書いてあるが、日本のプロ野球がスタートとしたのは1936年で、野村さんはこの年に生まれた(長嶋茂雄は同級生)。まさに日本のプロ野球の歴史ともにあった野村さんだ。その野村さんが、自分の体験にてらし、実際に眼でみてきたプロ野球の最高の選手を選ぶ、評したのがこの本である。
投手編、捕手編などと8つの分野に分けて選出している。投手では金田正一、江夏豊、杉浦忠、山口志、稲尾和久、野茂茂、藤川球児、伊藤智仁、ダルビッシュ有、田中将大などの名前が挙がっている。松坂大輔は、あまり評価が高くない。以下、捕手編、一塁手編、二遊間編、三塁手編、外野手編、打者編、監督編と続く。ここに、各分野の選手、監督の名前を列挙するのは差し控える。ただ、イチローはもちろんあがっていることと、榎本喜八、山内一弘、中西太などの往年の名選手がいることだけをここに書いておく。
この本は、名選手を紹介しているだけでなない。打撃論、投球術、名監督の条件など、かなり細かい野球論が下地にある。つくづく野球は難しい、頭脳や直観的判断が必要なことを思い知らされた。
なお、標題にある、「最低の選手」などは書かれていない(当り前だろう)。何人かの、十分な能力がありながら、思ったほど開花しなかった選手への注文が(いまとなってはどうしようもないが)あるだけである。
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