内田百閒の『百鬼園百物語』を読みました。
先日『御馳走帖』を読んで懐かしかったので、学校の図書室で探したらこの本がありました。内田百閒の短編小説と日記帳などをテーマごとに集めたアンソロジーです。旅順入場式などちょっと幻想的な作品の多い彼らしく、想像と現実が交錯する世界を描いた短編が多くて、彼らしいと思いながら読みました。
非常な怖がりでもあった内田百閒は、雷をとにかく怖がって、遠くでゴロゴロ言い出すと、部屋の中に蚊帳を吊ってその中に家族やお手伝いさんまで集めてじっとしていたそうです。また、怖くなると便意を催して、一人で便所に行くのが怖くて仕方がなかったと書かれています。夏目漱石の家で雷が鳴った時に真っ青になって震えていると、漱石先生が心配して麦酒でも飲んでリラックスしろと言って振る舞ってくれたそうです。内田百閒は飲んでも怖さがなくならないのに、お酒に弱い漱石先生は金時のように真っ赤になったそうです。
玉石混交の一冊でしたが、一つ不満だったのは、表記が現代仮名遣いに改められていたので味わいが薄くなってしまってゐるやうに感じられたところです。
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