く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<ヒカゲツツジ(日陰躑躅)> 山地の渓流沿いなどに自生

2018年05月16日 | 花の四季

【日本固有種、「サワテラシ」の別名も】

 本州の関東以西や四国、九州の山地の渓流沿いなどに自生するツツジ科ツツジ属の常緑低木。樹高は1~2mほどで、5月ごろ枝先に直径3cm前後の淡黄色の花を数輪ずつ横向きに付ける。和名はよく霧がかかるような湿度が高い半日陰の場所を好むことから。「サワテラシ(沢照らし)」という別称もある。これは明るい花が薄暗い渓谷を照らすように咲き誇ることからとみられる。

 世界共通の学名は「Rhododendron keisukei(ロードデンドロン・ケイスケイ)」。ロードデンドロンはツツジ属のこと。種小名の「ケイスケイ」は江戸末期~明治前期に活躍した理学博士伊藤圭介(1803~1901)の名前に因む。伊藤はシーボルトから本草学を学び、スウェーデンの植物学者カール・ツンベルク(リンネの弟子)の著書『日本植物誌』を翻訳し学名に和名を付して『泰西本草名疏(たいせいほんぞうめいそ)』として出版した。

 伊藤はヨーロッパの植物分類体系を日本に初めて紹介したほか、「雄しべ」「雌しべ」「花粉」などの植物用語を造り出して初めて使ったことでも知られる。ヒカゲツツジの学名もこうした伊藤の業績を称えて命名された。シーボルトらによって「ケイスケイ」など伊藤に因んで献名された植物はこのほかにも数多い。スズラン、アシタバ、マルバスミレ、イワナンテン、シモバシラ……。

 変種に栃木県の山地など関東地方の一部でまれに見られる「ウラジロヒカゲツツジ」がある。丸葉で葉の裏が灰色になるのが特徴。環境省のレッドリストではごく近い将来に絶滅の危険性が極めて高いとして絶滅危惧ⅠA類に分類されている。2012年にはリスト掲載種の中でも特に保護の優先度が高いとして、「種の保存法」施行令の一部改正で国内希少野生動植物種に追加指定された。ヒカゲツツジは生息環境によって葉形や花形、花色などに微妙な違いがしばしば見られる。このため屋久島、天城、箱根、日光、伊勢などの地域名を冠して呼ばれることもある。


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