CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】狩人の悪夢

2022-06-20 21:10:36 | 読書感想文とか読み物レビウー
狩人の悪夢  作:有栖川有栖

がっつりミステリを堪能することができた
有栖川先生の物語は、自分にとってすごい相性がよいのか、
おおよそ犯人をいい頃合いに当てられるのが楽しくて、今回もやはりなと、にやにやしつつ、
その推理の組み立てを気持ちよく堪能できたのでありました

犯人が予定外のことで、辻褄をあわせにいった事件
そういう物語だったわけだけども、
その辻褄をあわせるための四苦八苦が、
推理を難しくさせるという内容が面白くて、
実際、読み手として、アリスたちと一緒にあれやこれや考えつつ、
でてくるものを整理して推理を楽しめるのがよかった

舞台設計が、いわゆる密室物というか、
ある集落内に限定されてしまうという
クラシックというか、実に推理小説という感じなんだが、
これが結構自然にというか、
まぁアクシデントの発生によりそうなってしまうというのが面白かった
犯人ぽい人たちが、結構入れ替わり立ち代わりやってきて、
どれもこれも、怪しさ極まりないのもまたよくて、
そういう可能性を、丁寧につぶしていくような聞き込みがまた面白い

軽妙なやり取りもあるけど、
火村の鋭い視点とアリスの茶化しているような真面目に助手をしているような
不思議なとりあわせがクセになるやりとりで、大変よかった

登場人物に作家や編集者が結構出てくるので、
実際のさんも大変なんだろうなと、メタ的な楽しみ方もできるわけだけど
さして描写されないながら、レストランの食事がすごい美味しそうに見えたり
オカルトめいた話がさらりとさしこまれたりと、
飽きのない展開が、速過ぎず、遅すぎず、
ほどほどに進捗していくというのが読みやすくてすごくよかった

聞き込みで裏とりをしつつ、可能性をつぶしていったり、
誰かの矛盾をあぶりだしたりというのが、かなり優しく展開されるので
本当に、読んでいて心地がよかったのであった