CLASS3103 三十三組

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【読書】Au オードリー・タン 天才IT相7つの顔

2022-06-18 21:10:15 | 読書感想文とか読み物レビウー
Au オードリー・タン 天才IT相7つの顔  著:アイリス チュウ

オードリー・タンについて、その半生と内面について尋ねた本だった
非常に興味深いし、大変面白かった

苦難といって差し支えない、様々な困難に遭いながらも、
乗り越えて今に至る、そして、その過程で培ったもの、
また天性に持ちえたものが融合して、この人という存在があって、
哲学があるんだなと、とてもわかりやすく読めて大変よかった
もっと深く難しいことがあるんだろうけど、
凡人に理解できる形に落とし込むには、こういう、そうなんだろうで
満足するしかないと思ったりするのである

天才であるということは、なんせ災難なんだなと
この人の人生のあれこれを読むにつけ思わされたんだが、
そんな状態で攻撃的になるでなし、分かり合うという道をどうにか探りつづけてきたというのは、
もう天性の資質としか言いようがないんじゃないかと思うところ、
この人の半生を知ってしまった以上、
つまらないことで言い争いしている暇があったら、それを解決する努力をすべきだなと
肝に銘じたくなるような、とてつもない寛容さがあったと思う

それでいて、ハッカーとして目覚めていくところ、
その根幹に存在する、すべてが透明であり、共有されるべきであるという信念が実に素晴らしく、
この本の巻末にあった、台湾のコロナ戦線の話が、
正直オードリー・タンと、それほど関係がある話でもない、
むしろほぼ関係ない話だったんだけども、
為された事実は、彼女が目指した世界のありかたそのものだというのが
象徴的というか、いい話だなと感激したのである
ちなみに、巻末の話では、台湾でマスクを作るという話になったとき、
台湾全土のマスク製造に携わるありとあらゆる人たちが団結して、
組織の垣根を越えて一致団結して取り組んだ奇跡だったという話なんだが、
こういうことを可能とするのが、インターネットであり、また、
オードリーが作ろうとするアプリであったり、解決策であるんだというのが
もう、そういうアプリという形として落とし込まれたことは
些末なものでしかなく、そこに至る、そこで成そうとする、
その崇高な信念というのが、彼女の一番すごいところだと
もう感動してしまう内容であったと思うのだった

トランスジェンダーであるということが、結構困難を深めた要因のようにも思われるが、
これって、天才だから、ジェンダーがどうしたというレベルではなく、
人類の大半と意思疎通をはかることが極めて難しいから、
性という枠組みとかではない部分で困難を得た結果としてのトランスジェンダーなんじゃないかとも
思ったりしてしまうんだけど、それはまったく違う話で混同したら怒られてしまうのかもしれない

ともあれ、ユーモアにあふれて、尊大にならない
実に気の利いたコメントを山ほど産出しているだけでもすごいと
感激してしまうばかりなんだが、
インタビュー書下ろしの記事部分も、あえて外しているとわかる範囲で
面白く、そして、莫迦にしているのではないという匙加減の妙が見事で
天才の遊びを見せてもらった、そんな気分になったのでありました

有名なスタートレックの話はでてこなかったけども、
SFがかなり好きなのは間違いないようで、また、
その世界は割と実現というか、実際に見えているかのように生きているというのが
天才のすごいところなんだなと、しみじみ思わされたのでありました
ただ、すごい人だ


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