CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】姜維伝

2018-03-21 19:57:28 | 読書感想文とか読み物レビウー
姜維伝  作:小前 亮

久しぶりに三国志ものの小説を読みました
といっても、孔明が死ぬあたりから始まるという
蜀漢が滅びる様を描いた作品であります
当然のようにというのもなんだが、主役は姜維で、
彼がどうして北伐に拘泥し、どう生きていたかを描いていました

あまり語られない三国志も終盤の物語なので、
知らないことも多々あって、非常に面白く読めたのであります
出てくる武将も主だったところが、
鐘会、トウガイ、といったところで、
蜀を滅ぼす彼らとの戦について、非常に面白い内容だったと思えたのでありました
蜀が滅ぶのでもあるが、同時に魏も滅んでいく様が、
司馬一族によって進行していく姿それも
非常に面白くて、物語は確かに一人の主人公を追っているのだけど、
三国志という大きな流れが、
どこか他人事みたいにして歴史となっていく、作られていくような
不思議な読み応えで楽しい、目の前の戦いという話でありながら、
その都度、あるいは、数年と経ていくに従い、
政変や、派閥争いによって勢力が変化していく
そんなことが書かれていて、面白いのでありました

結局、統一の総仕上げとして、優秀な軍人は、
戦に駆り出されて、そこで殺される、あるいは
死ななくてはならないようになると
わざと反乱を起こさせられたりといったことが、
顔の見えない魏中央から起こされていたりするのが
リアルというか、蜀の立場からすると
一生懸命やっているが、どこか局地戦めいてしまう、
天下の趨勢と遠い場所の出来事だと思わされるみたいで
哀しいような気分になるのでありました

夏侯覇の亡命と、その最期についてだとか、
なかなかドラマチックで面白い展開もあって、
内容としては非常にまっすぐで、
変に凝ったものがないのもステキでありまして、
さくさくっと読めて、それでいて三国志の最後を理解できたような
満足度の高い読書となったのであります

実際、この本のように、数えるほどしか戦もなかったんだろうなと
北伐と北伐の間に、何十年と境があったりすることに
考えさせられるところがありました
志というものに縛られたようでもあるが、
そういうのが、生きるということだとしがみつくような様も
なんとも、物語として面白いと
そんな風に思うようになってきている年齢であります


最新の画像もっと見る

コメントを投稿