CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】シャーロック・ホームズの凱旋

2024-04-15 21:08:55 | 読書感想文とか読み物レビウー
シャーロック・ホームズの凱旋  作:森見登美彦

ヴィクトリア朝京都なる、わけのわからん世界観で、
シャーロック・ホームズがスランプに陥ってさぁ大変と
そういうお話でありまして、読み終わってみれば、
ずいぶんメタネタというか、入れ子とも違うが、虚構と現実と、嘘と妄想がごたまぜになった
無茶苦茶なお話でありましたが、なんか、うまいこと着地したように思えて
これはこれと、すっかり読んだのでありました
正直なところ、シャーロック・ホームズの原典を全然知らないから、
この話の要点がまったくわからなかった気がするんだけども、
壮大な二次創作というには、いささか尖りすぎているようでもあり、
また、世の中にある、シャーロック・ホームズ論争のあれこれをふんだんに盛り込んでいて
こういうオチもあるか、どうだ、と問うているというか
まぁ、これはこういうものですと、これまた、メタ的に押し切ってきたようでもあって
物語の中で、原点ときちんと分離して、京都の影か、原点の影か、
あるいは、現実だと思っている方が影なのか、わからないままながら、
不穏な京都で、いかにもあやしげにありえそうなお話になっておりました

京都の地名と、実際に京都の街並みを舞台にしているけども、
完璧にシャーロックホームズであって、別に日本人が出てきたりするはずもなく、
登場人物は原典通りのようだし、なんというか、のっけから振り切ってきたなと思わせて、
あるいは、そういうことでもあるのだけども、
その実というあたりから、様々な、シャーロック・ホームズという作品にまつわるあれこれに
着眼点が移っていくようでもありました

オマージュといえばいいか、やっぱり、二次創作と言い切ってしまった方がいいかと
考えてしまうくらい、ちゃんと原典を予習していないと、
あれこれの辻褄というか、小ネタみたいなものがわからないので
ちょっと残念というか、乗り切れなかったのでありますが
推理探偵ものと見せかけて、SFであるというのは
ある意味サギじゃないかとも思ったりしたけど、まぁ、でも、
森見先生の京都だしなぁ、そういうことだよなぁで片付けてしまいそうでもあって
このあたりが、得というか、ずるいというかと
読みながら感じたのである

冒険譚がというよりは、シャーロック・ホームズという世界観を楽しむ
いや、世界観というよりは、そのコンテンツを楽しむひとつの方法として
お出しされた何かといった感じながら、
ひょっとすると、これは狸たちの茶番劇ではあるまいかとも思うような
言動と行動を見つつの読書となったのでありました