CLASS3103 三十三組

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【読書】伝統野菜をつくった人々 「種子屋」の近代史

2016-01-27 20:37:28 | 読書感想文とか読み物レビウー
伝統野菜をつくった人々 「種子屋」の近代史  著:阿部希望

安心の農文協の本であります
ほぼ専門書だよななんて思ってたら、
内容はほぼ論文でありました
これはこれで楽しいのでありますが、
誰向けの本なんだろうかと、一抹の不安を覚えたのであります
まぁ、私が読んでるわけなんだけどもさ

そんなわけで、伝統野菜について、
これを固定種という観念でとらえて、
そこを支えてきた、地方農業のあり方、さらには、
あまり知られていない、種子生産について、
近代の歩みを相当に調査して書いた本でありました
非常に面白かったのであります

まず優れているというか、思わずひざを打ったのが、
固定種と、一般種をちゃんと区別していたことであります
まぁ、当たり前なんだけども、F1(一代交配種)の台頭に伴って、
F1憎しという気勢が上がるこの頃、
一般種と固定種を神聖視する勢力が、これをごっちゃにして、
固定種に多様性だとかなんだとか言ったりするわけで
どうなんだと思わなくもないところが
大変綺麗に整理されていて、しかも、近代以降にF1隆盛となった
そのきっかけというか、礎となったのが、
原種でもある、固定種たちであるというのも
なかなか興味深い考察でありまして
なるほどなぁ、凄いなぁなんて感動したのでありました

論文調ということもあって、相当量のボリュームというか、
裏づけの数字だとか、その読み方が出てくるのですが
正直、ここはちょっと読み飛ばしてしまって
たぶん、説明しているとおりなんだろうなんて
テケトーな読み方をしてしまいましたが
裏づけからの推察、さらに裏づけという
丁寧な仕事が見て取れて、読む論文というジャンルがあれば
これだろうと思ったりなんだったりなのでありました

また、農業経済についての言及も興味深いところで、
正直、こっちのほうが面白いと思ってしまったのですけども
種子生産、問屋、卸売、置き種子という、
独特の商習慣がどう生まれ、発展してきたかというのが
大変興味深くて、なんというかな
日本の商業だな、これは尊いというか、何か憧憬を覚えると
じっと読み入ってしまったのであります
種子生産における、信用というあり方が
これまた、両替商のそれを思わせるようでもあって
実に面白かったのであります

日本のそればかりでありましたので、
海外の場合はどうだったのか
気にならなくもないのですけども
まずはこの日本の近代を見ることができる一冊として
秀逸だったと、久しぶりに喜んだのでありました
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