嫌いなら呼ぶなよ 作:綿矢りさ
久しぶりにこの作者の本を読むなと思いつつ
相変わらず飛ばしてんなという感想で、楽しく読ませてもらったのでありました
女性特有の感覚と、言ってしまうと昨今は問題になりそうだけども、
自分では思いもつかないけども、文章にされると、こういうのを見たことがあると
強く思わされる描写が好きだなと思うのでありました
押し付けず、説明しすぎず、わざとらしくもないのに、時代というか空気というか、
そういう女性が居るという感覚を味わえる、そんな気になる文章であります
4編の短編が収録されているのだけども、どれに出てくる人物も、
なんとなし「いそう」という雰囲気が凄いけども、結構えげつないというか、
いかにも小説のキャラクタという感じながら、ライトすぎず、リアルすぎず、コミカルすぎずという
瀬戸際で組み立てられているようで楽しい
どれもこれも、だいぶ自分勝手だよなと思って笑いながら読んでしまうんだが
多分、これは位相をずらしたとき、自分もそうであるという話だよなと
大枠では誰にでも当てはまりそうな、空転する自意識というか、
避けることのできない自分を特別視してしまう何かが細かに描かれていて
やってることは、完全におかしいのだけども、描写される一人称の中で
完璧に辻褄があっていて、疑問の余地もないというのが、
こういう人の、そして、誰にでもあることだよなと
つくづく思い知る内容でよかった
執着と愛情の分別とか、自己顕示欲とか、自分ではそうじゃないと思ってすらいる姿が
実に生々しいと思う内容で、どれをとっても、軽いのに深くえぐってて面白い
しかし、やはり女性の描き方がやっぱり秀逸だと思うのだけども、
一遍、表題作は主役というか、主になるろくでもない人間が男性なんだが、
この軽薄な感じと、巧みな自己弁論が見所と思わされるが、
この編もやっぱり、そのある種被害者側である女性二人の描写が秀逸で、
まぁ、どれもこれも人間味という可愛らしい言葉で形容したくない名状し難い化け物なんだが、
実によくできているというか、すばらしい出来栄えで
正直タイトルにやられたと、ある種の叙述トリックめいたものを味わったのであった
こういうの大好きだわ、直球でくだらないけど、完璧な比喩、いや比喩ではない
なんというかしらんが、凄い文章の力だと喝采を浴びせたい感じでありました
最終の書下ろしについては、もはや疲れていたんじゃないかと
若干心配になるような、これまた見事な出来栄えで
こういうしょーもないメールのやりとりで、大げんかになる話
商業上とてもたくさんあるよなと思うのだが、
その一人をあえて、自分にしているのか、名義だけ貸してるのかしらんが
ともかく、誰一人正義がないという話が面白いのでありました
実にすばらしい、ロックだわ、全部を敵に回そうという気概すら感じる
そんなわけで、なんかわからんが
凄く楽しく読めたので、よい小説だったと思うのであった
芥川賞とる女性作家の外連味というのは、大変よいものだと
改めて思い知るのであった
久しぶりにこの作者の本を読むなと思いつつ
相変わらず飛ばしてんなという感想で、楽しく読ませてもらったのでありました
女性特有の感覚と、言ってしまうと昨今は問題になりそうだけども、
自分では思いもつかないけども、文章にされると、こういうのを見たことがあると
強く思わされる描写が好きだなと思うのでありました
押し付けず、説明しすぎず、わざとらしくもないのに、時代というか空気というか、
そういう女性が居るという感覚を味わえる、そんな気になる文章であります
4編の短編が収録されているのだけども、どれに出てくる人物も、
なんとなし「いそう」という雰囲気が凄いけども、結構えげつないというか、
いかにも小説のキャラクタという感じながら、ライトすぎず、リアルすぎず、コミカルすぎずという
瀬戸際で組み立てられているようで楽しい
どれもこれも、だいぶ自分勝手だよなと思って笑いながら読んでしまうんだが
多分、これは位相をずらしたとき、自分もそうであるという話だよなと
大枠では誰にでも当てはまりそうな、空転する自意識というか、
避けることのできない自分を特別視してしまう何かが細かに描かれていて
やってることは、完全におかしいのだけども、描写される一人称の中で
完璧に辻褄があっていて、疑問の余地もないというのが、
こういう人の、そして、誰にでもあることだよなと
つくづく思い知る内容でよかった
執着と愛情の分別とか、自己顕示欲とか、自分ではそうじゃないと思ってすらいる姿が
実に生々しいと思う内容で、どれをとっても、軽いのに深くえぐってて面白い
しかし、やはり女性の描き方がやっぱり秀逸だと思うのだけども、
一遍、表題作は主役というか、主になるろくでもない人間が男性なんだが、
この軽薄な感じと、巧みな自己弁論が見所と思わされるが、
この編もやっぱり、そのある種被害者側である女性二人の描写が秀逸で、
まぁ、どれもこれも人間味という可愛らしい言葉で形容したくない名状し難い化け物なんだが、
実によくできているというか、すばらしい出来栄えで
正直タイトルにやられたと、ある種の叙述トリックめいたものを味わったのであった
こういうの大好きだわ、直球でくだらないけど、完璧な比喩、いや比喩ではない
なんというかしらんが、凄い文章の力だと喝采を浴びせたい感じでありました
最終の書下ろしについては、もはや疲れていたんじゃないかと
若干心配になるような、これまた見事な出来栄えで
こういうしょーもないメールのやりとりで、大げんかになる話
商業上とてもたくさんあるよなと思うのだが、
その一人をあえて、自分にしているのか、名義だけ貸してるのかしらんが
ともかく、誰一人正義がないという話が面白いのでありました
実にすばらしい、ロックだわ、全部を敵に回そうという気概すら感じる
そんなわけで、なんかわからんが
凄く楽しく読めたので、よい小説だったと思うのであった
芥川賞とる女性作家の外連味というのは、大変よいものだと
改めて思い知るのであった