CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】名人を獲る 評伝米長邦雄

2021-07-24 21:08:25 | 読書感想文とか読み物レビウー
名人を獲る 評伝米長邦雄  著:田丸昇

米長永世棋聖について、その生涯を紹介した本でした
弟弟子にあたる田丸先生の著書で、有名なエピソードから、
ご家族のことなども含めて、米長先生のあれこれを集めたもので
楽しく読んだのでありました

評伝として、その道程をまとめたものだけに
読んでいて、米長という棋士のすごさがよくわかるといえばいいのか、
面白いエピソードも交えつつ、将棋指しとしてのすごさと
会長職においての様々な活躍というのが
大変面白いというか、勉強になる内容でありました
以前に、内藤先生の本も読んだけども、この時代の棋士たちは
案外テレビタレントと近しいというか、
いわゆる有名人枠といってもいい扱いだったんだなと
改めて思い知るところ
あっちこっちで、コラムを書いたりテレビに出たりと
活躍していたというのが、正直なところ、私のようなにわかには信じがたいというか
そういう時代があったんだなと思ったりするところもあり
大変面白いのでありました

まぁ、その頃に培った人脈もあわせて、将棋連盟の黒字化を目指したという
ある種経営者としてのすごさというのが、非常に読みどころがあってよかった
田丸先生が米長先生寄りのため、少しやわらかく書かれているのかもと
思ったりもしてしまうんだが、かなりの辣腕というか、
剛腕をふるったんじゃないかと、その当時の軋轢や、様々な障害というのは
想像することしかできないが、それを上回る恐ろしさがあったんじゃなかろうかと思うのである

そんな無理筋を通すような、名人戦が揺れ動いた話だとか、
政治に出るか、出ないかなんて話にまでなっていたとか
このあたりは、評価が分かれること間違いないなというところもいっぱいあって
もうちょっと、そっちに寄った内容をドキュメント的に読んでみたいと
米長先生の後半生、棋士としてではない姿というものに
興味を惹かれる内容でもありました

とはいえ、やっぱり将棋指しなので、将棋の話が一番面白く
遅くして名人を取った話は、あちこちで見聞きしていたものの
中原先生との死闘だとか、新しい世代との交流だとか
さまざまなものが面白い、今とは異なる何かではないかと
思わされる内容でありましたとさ

なんだかんだ、やっぱりこの人という、
魅力というのか、カリスマ的なものがあったんだろうと
想像するだけで楽しいのでありました
泥沼流はいいなぁ、学びたいところである