CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】沈黙の町で

2019-07-22 21:37:30 | 読書感想文とか読み物レビウー
沈黙の町で  作:奥田 英朗

少年事件を扱った小説でありました
なんとなく、暗い重たい話だろうなーと思い
ずっと敬遠していたのに、とうとう読んでしまった
案の定、重くのしかかるような暗い気持ちになってしまった
何をしてしまったんだ

と、後悔かといえば、面白く読めたのでそういうばかりでもないと
そんな感想を抱いている次第でありました
学校で、少年が一人木から落ちて死んでいるところが発見される
この事案が、様々な生徒、保護者、警察、検察それぞれの視点から
取調べと究明についての物語となっていくと
なかなか読み応えが太い小説でありました
どのタームで、どの考え方も、理解や想像がたやすくて
なるほどなぁと思いつつ、どうにもならん事象が
やきもきするというか、うんざりするような感じで
実際に事件が身近に起きたら
こういうことになってしまうんだろうかと、
被害者、加害者、傍観者、
様々な立場で、暗澹たる気持ちになるということが理解できたように
思うのでありました

結局、誰が悪いとか、そういうことではない、
シンプルなお話なのではあるけども、
人間誰かを悪者にしないと気がすまないものだというのが、
読んでいて、読み手ですらそう感じてしまう、
こいつが悪かったんじゃないの?こいつが黒幕じゃないの?と
野次馬と同じような思考を留めながら読んでしまったのでありました
これが、実際の事件だったりしたら、
まさに、小説に出てきたような悲惨な状況が顕現して、
保護者や生徒たち、先生や警察なんかと
同じように、うんざりしてしまうだろうなと
ひしひし感じるばかり

決して落しどころなんて見当たらない内容ながら、
だんだんと、どの立場の誰にも悪いところが見つかってきて
結局、その総合したものが、この事件を暗くしている原因なんだなと
思い知らされて物語が終わるのでありました
別に、事案における事実、少年が死んだというところに
さほどの原因はなく、それを得たいがために、
右往左往する周りに、この事案が起こした暗さの原因があるといったらいいか、
ともかく、理屈と情動が制御できない状況に身をおく辛さというのが
まぁ、なんとも堪える読書でありました

少年らしい安っぽいヒロイズムであったり、
危険に傾きがちな集団心理であったり、
親の暴走だとか、親戚という立場によっての打算や計算なんかが
露骨に出てくるのが嫌で、小説でよかったと思いつつも
こういうことが、自殺や、いじめが出た学校なんかでは
もっと悲惨に行われているんだろうなと思うと
なんとも、辛いというか、
世の中やなことが多いなと、そういう事件に触れた少年たちは思うだろうか
罪とかの意識というのが、何に根ざすものか
嫌だからやらないというのもひとつなのか
わからんが、ともかく、よくわかるけど、こうなりたくないと
そういう姿が描かれ続けた一冊であったと思うのであります