CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

ニッポンの算数

2009-11-26 22:57:43 | 読書感想文とか読み物レビウー
ニッポンの算数 著:入子祐三、柳瀬修、津村靖

本というか、ドリルという表現が正しいものであります
「尋常小学校の黒表紙算術書」
というものを現代語訳というか、現代によみがえらせたものであります
ようは、古い小学校の教科書であります
なかなか面白い試みで、当時の教科書がどういう意図で作られ
それを活用する教師はどうであったかと
まぁ、教育のエキスパートと思われる作者の人が
研究してみようと、そういう意図から作られた本でありますところ
ただ、内容は旧仮名遣いが飛び交う、算数ドリルでありまして
これが非常に楽しい、なによりも、当時の
小学校ってすげぇなと感心しきりな内容でありました

まず、当時の情勢としまして
多くの日本人が小学校、いわゆる
尋常小学校を卒業したら、みんな働きはじめている
そういうバックボーンがありました
必然、この教科書で教えることは
卒業して、すぐに働けるようになるための教科書であります
正直、今ある、どれこれよりも、よほどせいておるし、
深いし、なんというか、直結している
生活に根付いているように見えるのであります

具体的には、和差積商の四則演算と、分数小数
そして、比例という考え方から、利子利息の計算がはいる
つまるところ、経営の基礎になるんだろうかな
そういう算術を教えてもらえるのであります
当時の子供は、すぐに、留守番ができるくらいの数字扱いが
できておったというわけであります
(実際、できていたかはおいておきましょう)

そういった案配で、なかなか楽しいものでありまして
今、自分でも理解できているか怪しいことを
小学生にして学べるような練習問題は面白くて
最近はやりの、大人向けのドリルみたいなのに似て
それよりも、もっと複雑というか、ある意味ぞんざい、
なんというか、問題側に譲歩が見られない感じがすばらしい
練習問題が、きれいに割り切れるなんてほとんどねぇんだもの

というわけで、なかなか、基本の数学ってのは面白いなと
感心して、ずっと、もちもちと暗算で解いて楽しんでいたのでありました
かなり時間かけて読んだというか解いたのですが
こういう本もたまにはいいなと、やっぱり
最近のおっさんと同じく、算数ドリルにはまってしまう
そういう具合でありました

旧仮名遣いとか、割、分、厘、毛とか
なかなか最近きかない単位とかを見かけると
ちょっとうれしくなったりして、
さりげなく、壱やら拾やらが出てきて、算術ではなく
商用ではこの字を使うのだと、国語まがいのことまで教えてくれて
いい教科書だと感心したのでありました