CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

花の誇り

2008-12-23 22:42:55 | ドラマ映画テレビ感想
ちょっと前にNHKでやっておりました
スペシャルドラマ「花の誇り」視聴いたしましたので、
思わずレビウでありますところ

NHKの藤沢ものにはずれなしとか、
誰かが言ったとか言わないとか
聞いたことがあるのですが、わたくし
藤沢周平の作品をほとんど読んだことないので
どうなのか判然としないところ
しかし、このドラマは面白かったと思うのであります

二人の女を描いた話であります
よくよくできていて、一方の主人公の女からの視点で
あれこれと描くのだが、わざとというのか
その視点からはさも当然と呼べるか、
それくらいの、自分だけの正しさが振舞われる
そして、物語はその視点に「若干」偏りながら進むので
もう一人の女が、悪い女に見えてくる

この機微が大したものでありまして
なんというんだろうか、今の世相なんて
えらそうなことは言えませんが、誰しも思う
自己正義とそれに対する不安と矛盾みたいのが
つとつと描かれておりました

台詞にしたり、言葉にすると立派な
空々しいそれこれ
たとえば、旦那を出世させたいと願うそれ、
その想いは、旦那のためか、家のためか、
「家のためとなるのが、旦那にも、自分にもよい」
そういう言い訳のような、本音と戸惑いを振りかざしながら
主人公は藩政のそれこれに顔を出すように
夫の尻をたたくわけであります

反面、もう一人の女は
旦那を出世させるため、少しでもお偉方のところへ
足しげく通うというか、色目を使って
別に悪いことは何もしていないんだが
何かしら役に立とうとする、これもまた立派だと
遠くに立つと思えるのだが、この物語では
あまりにも悪い、しかも、この女とは
浅からず因縁がある

この因縁についても、家と家族とを
織り交ぜて、みごとな悩みとなっておりまして
もう小説読んでみたいと思うような内容
ともあれ、時代劇っぽいのでありました

最終的には、ネタバレですが
憎いとも思えたもう一人の女は、主人公の女に憧れを抱いていた
などという、なんだこの、唐突な百合展開
ばかな、時代劇で、百合で、小太刀二刀だと、けしからんっ
なぜこの小説を俺は読んでいないんだ

私の個人的ツボすべてを備えてくれた
すばらしい展開でありました、秀逸だと感じたのは
この百合カミングアウト時の一方の女でありまして
まだ、告白する前にこぜりあいをするわけだ、
そこで、主人公が感情を吐露する
このあたり、ものすごく女臭い(偏見)
そこで、反撃の台詞が、しかい意外なことで、

「…」

なんと、「言わない」
これに驚いたのでありました
ちょっと前後の台詞忘れてしまったのが痛々しいのですが、
「あなたをずっと見ていたのに」というか、
「あなたのことが好きだから、こうしていたの」というか
そういうニュアンスの台詞が出るんだろうなーとか
見ていて思ったんだが、ただ、女の顔のアップのみで終わる
なんという秀逸な表現
声が聞こえたように思えた

と、一人で完全にやられておったわけですが
そのあと、しかと、殺陣もあって
小憎いことに、女で小太刀という劣勢を挽回するため
決闘の場所は「竹林」なんということか
この設定からして、たまらんじゃないか
大太刀は突きでしか使えないため、苦戦をする敵
それでも、所詮は女
片腕を斬られ万事休す
必死に片手で刃を受ける、そこで

すわ、

後ろ手で隠していたもう一本の小太刀を抜き
それを懐に差し入れる

すばらしい
ちょっと、殺陣がへっぽこだったのは仕方ないんだが
そんなものは気合と、想像力(妄想)で補完すれば造作もない
最高に堪能したのでありました

最後もまた秀逸で
世相風刺(正しいものが報われない的な)をしたうえで
見事な大団円、ご都合な感じなんだが
これこそが、時代劇だよなと手放しで喜んだのでありました
どっかで再放送してくれないか、そう思う
見事な作品だったと思います