CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

傷痕 SHADOW MAN

2007-01-23 08:47:44 | 読書感想文とか読み物レビウー
傷痕
原題:SHADOW MAN by Cody McFadyen
訳者:長島水際

久しぶりに小説を読みましたのでレビウー
昨年夏くらいから読み続けております
クラウゼヴィッツの戦争論がようやく下巻までこぎつけたので
少し小休止として小説を
不思議なもので、小説ならまだ2日もあれば
レンガぐらい分厚かろうが読めてしまうので不思議
やはし、物語というのと参考書みたいなものでは
かなり違うのだわと思うのです

さておき、どうやら海外物らしく
私が今まで読んだ海外物はなんか偏っておるので
なんともいえないのですが、読んでいて
なんぼか読んだハーレクインものとよく似た話だわと
ちょっと、文体とか物語の進み方
なによりも主人公女性の描写がそうだと思ったのでありますが
これは訳者の問題なのかもであります
ともあれ、海外の本はみんなそうなのよ、日本人訳者の
テンプレートなのよとか誰かに言われてしまいそうながら
もくもく、なれてしまうと読みやすいのであります

さて内容は、猟奇殺人犯を追いかけるFBI捜査官のお話と
たぶんこういう題材は
アメリカにおける、火曜サスペンスのジャンルなのでありましょうか
京都連続殺人事件シリーズとかと同じ線ではなかろうかと
勝手に思って、へらへら読んだのでありますが
主人公は女性FBI捜査官のえらい人
なんかFBIの中には色々組織があるらしく
その中でもひときわエリート路線で、そこの室長みたいなのをしてる
でも若い女性なのでありました
しかし彼女は半年前に、猟奇殺人犯に寝込みを襲われて
旦那を惨殺され、娘も失ってしまい、己もレイプされた後に
体や顔にナイフで傷を刻まれてしまったのでありました

ま、この事件に関してはレイプ犯が
犯行にきわまってしまったために
彼女に死ぬ前に顔を触ってほしい、いや、触れメス豚っ
みたいなことを言って、その触ったときに
ガツンと逆転の行動に出たことで
彼女だけは助かったのであります
ちなみに犯人は射殺、したのは彼女

で、そんな重い傷を背負ってしまったため
気落ちというか気が狂って自殺しそうな日々を送る彼女
FBIの優秀なセラピストのもとで社会復帰をするため
あれこれとその事件の真相というか
顛末をよりリアルに思い出すところから始まるのであります
そして、復活が中途半端というか、その事実と向き合うさなかで
何度も自分を壊しそうになりながらもがんばって生きる
突然事件が起こる、FBIの彼女がつとめる部署は
ともかくイカレタ野郎どもをとっ捕まえる所らしく
イカレタ犯罪で溢れかえっております、そこから
一つ連絡がはいる

彼女のハイスクール時代(この表現がアメリカだと信じております)に
とてもよい友達だった女性が猟奇殺人にあってしまった
しかも、友人の死をFBI捜査官の主人公女性に宛てているのである

というところから、この猟奇殺人犯を追いかけるという展開
殺人犯は、レイプしながら殺したり、殺しながらレイプしたり
殺すときは綺麗に解体したり、臓物を取り出して整然と管理しつつ
本体はぼこぼこにぶん殴ったりと、まぁアメリカは怖いところだわ(偏見)と
そういう犯罪を行う男、こいつぁイカレテやがる
クレイジーだぜひゃっはー、みたいな

しかも犯人は自分を
ジャックザリッパー「切り裂きジャック」の末裔だと
信じてやまないらしいのでありました

切り裂きジャックは別名シャドウマンとも呼ばれているらしく
そこからこの小説の原題があるんだそうだが
それはそれとして、そのジャックJrと名乗る犯人が
売春婦を狙って猟奇殺人を繰り返す
そして、自分を追いかけさせるためにFBIのエリートチームの
彼女やその仲間たちに次々と嫌がらせというか
大切な人を殺そうとしたり、脅したりして怒らせるのであります

君たちがベストの状態で私を追うことを強く望む

だとかなんとか言って、FBIをきりきり舞いさせるジャック
すごいよジャック、でもレイプと殺人はダメだよジャック
読み手というか、私はそう思ったのでありますが
本当、大変無残な事件が繰り返されて
なんか気がめいってしまったのでありますが
この売春婦というのが、現代のインターネットを通じてあれこれ
商売をする売春婦であったりするのだが
まぁ、それはそれ、海外のエロサイトって
そういう風に運営されていたんだと目から鱗でありましたが

ともあれ、そのジャックの殺人を追いかけて
やがて追い詰めてクライマックス

というお話でありました(長い)
感想に入る前にあらすじでお腹一杯になったのですが
実際はシリアス展開で、ギャグなんざ微塵もなくて
読み始めたら意外とというか、ずずいっと
先を読まないと、早く捕まえろうすのろとか
罵ってしまうようなお話でありましたが、面白かった
そして私、今まで色々と推理物を読んできましたが
初めて自分で犯人を当てたのであります
うれしい、とてもうれしい、ステキすぎる

これは簡単だったというのもあるんでしょうが
自分が当てられたというのは、内容に納得できた証拠だと
妙な感心をしてしまったのでありました
ステキ、整合性がとれてるのよきっと
と、思ったりなんだったりしつつ、凄惨な殺人についてと
落ち込んだ人間がどう立ち向かうか
友情と愛情についてとか、やっぱりアメリカよねと
そういう勝手な想像を大変満足する小説でありました

今朝、出社する中で、電車移動中同じ本を読んでいる女性を見つけて
思わず犯人を教えそうになってしまいましたが(最低だわ)
ぐっと我慢して、みんなも比較的読んだらよいだろうと
えらそうなことを思ったのでしたとさ
たぶん本当のミステリー好きにはまったく
鼻持ちなら無いんだろうと思うのだが、わかりません
とりあえずまぁ、なんだ、こういうジャンル初めて読んだ私には
大変読みやすく、初心者向きでステキでありましたとさ

ただ、本屋さん絶賛とか煽り文句がついておりましたが
そこまでじゃねぇだろうと思うのも事実であります
注意しましょう