CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

本気のしるし

2004-12-17 20:48:36 | 星里もちる
というわけで、星里もちるシリーズも
すっかり最近の話題になってきたわけですが
スペリオールで、全く新しいジャンルというか
違うもちるを魅せた「本気のしるし」

これが、今までと全く違う路線と歌われておりましたが
そんなもん、ファンからすれば
もちる先生がシリアス書いたら、いつだってこのノリだったじゃん
とかいうわけで、いわゆるギャグを抜いた
息詰まるもちる劇場であります

いつもぐーたらというか、もう一つ覚悟のたりない男が主人公で
色々な事件を通して、面白可笑しく、少しずつ成長
あるいは、まぁ、そういうこともあるよねって
なし崩しで事件が解決して、後から反省をしたりという
そういう具合なんだが

今回は、全く違う
起きてしまった悪い事態は、悪化の一途を辿り
ぐーたらしていては、いや、不誠実では
どんどんと悪いところの深みに落ちていくという
真面目に生きることの難しさと
そうでない時にどうなるかといった

裏もちる劇場なわけであります

余談だけども、ここで主人公が雷蔵だったらとか
目も当てられない想像をしてしまいますが
まぁ、それはいいや
肝となる「浮世」さんという女性が出てくるんだが
この女性が、男好きのする女という危なっかしい設定
実はもちる漫画には意外と
こういう女に手を出す、ゲスなキャラが多く出ているが
もうそういう輩があっちこっちといっぱいでてきて

覚悟の足らない人間が、不必要に悪行を重ね
みんなが、まさかそんなことになるなんてと口を揃え
違う、そうしたかったんじゃない、ちょっと困らせたかっただけだよ
的な、自分だけは都合よくという人間の偽善というか
己を偽る姿を克明に描いております
黒いと言えば、ぬるい気がする、いやでも
描いていることは思っている以上に黒い

もちる先生ならではの切り口だったと
すげい思うんですが
単行本の帯では「星里もちるの悪意」とか
ちょっとそれ失礼じゃないか?と
思わないでもないふれこみでありましたが
その名に恥じない、名作となりました

本当のぐうたらという意味で
辻さんは、ぐうたらなのかもですが
今までのもちる漫画で、最も真面目な人だったと思います
それにつけても
相方となった浮世さんは、ぐうたらとかじゃなく
覚悟の足らない人だったのだ
そういう塩梅で

側にいると落ち着く気がする
どこまでも男を、相手をダメにする女

オムライスの葉子からイメージされたように感じますが
それよりも前「結婚しようよ」の祥子に通ずる
恐ろしい女像があったように思います
この女性像は、代々語り継がれ
当然のように、次作「ルナハイツ」でも発揮されるわけですが
それはまた別の機会に

星里もちる作:本気のしるし
まったり読むにはよい漫画であります