
↑ 中洲大橋から見た大映九州支社(垂れ幕がかかったビル)


↑ 上左が池広支社長と永田秀雅氏 ↑ 支社宣伝課の光景

↑ 支社の慰安旅行写真で前列中心に池広支社長、後列左から4人目が私
今回は少しいつもの話とは違って地味ですが、大映九州支社のことを書かせて
いただきますので、しばらくお付合いください。
一番上の写真は当時の大映九州支社で、現在の大洋映画劇場の建物と裏側
が繋がっている那珂川に面したビルの3・4・5階にありました。
写真では、丁度正面壁面に宣伝の垂れ幕を掲げていて見えませんが、「映画は
大映」「大映九州支社」のネオン看板が付いています。
当時、同じビルの1・2階が創業して間もなかったロイヤル本店で、マリリン・モン
ローが福岡に来た時にすごく気に入って毎日通ったのが、このロイヤルの2階レ
ストランなのです。
大映九州支社は3階が営業課と宣伝課、4階が総務経理課と支社長室、5階に
は会議室・試写室・宣伝課宣材室がありまして、当時の九州支社は総勢が60
人を越す大所帯だったし、宣伝課だけでも9人でした。
九州支社の売上は全国売上の12%が割当てで、宣伝費も本社-関西に次ぐ
12%を持っていて、序列的にも本社→関西→九州→名古屋→北海道という順
序で、全国会議でもこの順で着席するといった按配でした。
私は宣伝係長で着任したのですが、前任の船橋係長が本社洋画部の宣伝課長
で転出した後任でした。
当時の宣伝課長は伊藤課長で、ユニークな宣伝センスの持主だったのですが対
外折衝が嫌いで、あの男を呼んでくれと要望されて私の着任が決まったようです。
そして当時の支社長が撮影所から来ていた池広利夫支社長で、池広一夫監督
のお父さんです。その次の支社長はこれまた製作畑の浅野支社長で、数年後に
は京都撮影所の総務部長に転出されました。
その次がもと本社宣伝部長だった野田支社長で、宣伝会議などよく会っていた先
輩だったこともあり、とても可愛がっていただきました。
更に数年を経て支社次長兼宣伝課長として帰ってきたのが、最初に私と入れ替
わった船橋次長で、また暫らくして船橋氏が本社宣伝部長に転任した時に、私が
宣伝課長を拝命したという経緯なのです。
次回こそ撮影所の宣伝課長を熱望していた私に、もう少しでチャンス到来だったの
ですが、倒産の憂き目にあい、九州支社最後の宣伝課長となってしまいました。
九州でも邦画・洋画の激しい宣伝合戦が行なわれ、それぞれ知恵・技術を出し合
いましたが、どこの会社も他の会社を誹謗する行為は一切無かったし、邦画五社
宣伝部会として毎月の部会と、年に一度の懇親会(最後の写真)を開くなどして和
気藹々でした。
合同のボーリング・チームを作って試合に出たことなど、いい思い出として残って
います。

↑ 左から東宝、東映、大映(私)の各宣伝課長とユニバーサル支社長

↑ 邦画五社宣伝部会懇親会。最後列右から私、二番目が日活・植松課長(後年日活本社宣伝
部長で去年日活の生き字引としてテレビに出演)、三番目が東映・杉野課長、中段右端が
松竹・松原係長。最前列中央の白シャツが東宝・渡辺課長。
「尻啖え孫市」は原作が司馬遼太郎、脚本・菊島隆三だし、俳優は中村錦之助を
筆頭に本郷功次郎・栗原小巻・志村喬と勝ちゃんも信長役で出ていて我々も気合が
入っていた作品でした。
河畔の屋台は、この中洲大橋付近には出ておらず、もう少し上流の春吉橋付近に
出ていて賑やかです。
写真では、みなさん仲良く楽しそうですが
雷蔵関連本のなかで、宣伝のスタッフの苦労話が
よく出てきますよ。
俳優さんや、映画製作スタッフさんから・・・嫌な顔されたり
いろいろ言われたり・・・と。。。
宣伝あっての、、と思うのですが。。。。
当時はいろいろとあったのでしょうか。。。。。
先日、CSのあるトーク番組をぼーっとみていたら
ゲストの小林薫さんが、好きな作品に
溝口監督の「赤線地帯」をあげながら、
好きな俳優さんも数名あげていました。
(三井弘次、信欣三、田中春男、藤原釜足、伊藤雄之助)
私は、最後のおふたりしか分からなかった(笑)
そういえば、溝口監督のおはなしは
雷蔵関連本にちょこちょこ出ていて。。。
監督だけのおはなしの詰まった本でもあったら~と
思うくらい、ちょっと知りたい監督です。
いつも有難うございます。
各社とも映画宣伝マンは仲がいいけど、宣伝合戦は他社に負けじと
熱戦が繰り広げられます。
大映内でも同様で、他の支社に負けられないと必死でした。
特にスタッフ・キャストがどう思おうと、マスコミへの窓口は宣伝部
しか無いのですから責任重大です。
当時はプロダクション所属の俳優はおらず、そのあたりまで
宣伝部が手伝っていたものです。色々言ってもやり甲斐のある仕事でした。
私は日本映画の監督で一番尊敬している監督は溝口健二です。
その撮影現場を見てますとシビれますよ。
溝口作品は「赤線物語」もいいですが、私は「山椒大夫」が好きです。
このブログにお立寄りくださり、まことに有難うございます。
仲良くしていた俳優や、宣伝部の先輩は、ほとんどが鬼籍で寂しい限りです。
どうかこれからも宜しくお付き合いください。