ハリウッドを代表するスターから、モナコ公国の公妃となったグレース・ケリー
が、彼女の人知れぬ苦労と孤独、そしてモナコ公国存亡の危機に、彼女が下
した決断を描いた物語ということで期待して見ました。
「裏窓」「ダイヤルMを廻せ!」などのアルフレッド・ヒッチコック作品でも知られ、
1954年の「喝采」ではアカデミー主演女優賞を受賞したグレース・ケリー(ニコー
ル・キッドマン)は、人気絶頂だった56年にモナコ大公レーニエ3世(ティム・ロス)
と結婚して女優業を退き、世界を驚かせます。
それから6年、孤軍奮闘する彼女が腹を割って話せるのはタッカー神父(フラン
ク・ランジェラ)だけという状況で、ヒッチコックの新作映画の誘いに心動かされ、
女優復帰も考えていたのです。
そんな時、フランスのシャルル・ド・ゴール大統領が過酷な課税をモナコに強要、
夫レーニエ3世が窮地に立たされます。この危機を救うためド・ゴールを含む各
国指導者を招いたパーティという舞台を作って、彼女は一世一代の大芝居に出
ます・・・。
監督は「エディット・ピアフ 愛の讃歌」のオリビエ・ダアンで、カルティエやディオ
ールが衣装を提供、エルメス、シャネル、ランバンなども協力して話題になって
いました。
さて中身ですが、ヒッチコックとのくだりは中々面白いです。しかしグレース・ケ
リー役のニコール・キッドマンも美しくお芝居も達者なのですが、あの気品と独
特な美しさを持ったグレース・ケリーにはなり切れなかったことがまず第一の目
論見違いです。
次にモナコ大公レーニエ3世との結婚後の生活描写が薄く、逆に政治の駆け引
きが前面に出過ぎしまい期待を裏切っていること、レーニエ3世役者もミスキャス
トです。
もう少し視点を変えて描いていれば、面白い作品になっただろうとの想いが強く
残ります。