映画が中心のブログです!

中島けんです。新しい映画や舞台の感想を中心に、大映の思い出、海外旅行・地元の話題などを写真付きで書かせていただきます。

大映宣伝部・番外編 / 古い写真の思い出 ( 35 )

2013年08月26日 | 日記



     
     

     今までこのブログでは色々なスタイルの九州キャンペーンをご紹介しました
     が、その中でも一番大掛りなキャンペーンは昭和44年(1969)の「人斬り」で
     した。

     この映画はフジテレビと勝プロが共同で製作し、大映が配給する形を取りま
     したが、動乱の幕末時代の京都を舞台に、その名を轟かせた土佐の剣士・
     岡田以蔵の半生を描いた作品で、勝新太郎が岡田以蔵に扮するほか、武市
     瑞山に仲代達矢、坂本龍馬は石原裕次郎、それに以蔵と対局した人斬り新
     兵衛にこと薩摩藩士・田中新兵衛には三島由紀夫が演じています。
     その他のキャストは倍賞美津子・新條多久美・中谷昇・田中邦衛・萩本欽一・
     坂上二郎・辰巳柳太郎と多士済々だし、脚本・橋本忍、監督・五社英雄、撮
     影・森田富士郎と豪華そのものでした。

     この作品こそ絶対に九州のマスコミを集めて記者会見をしょうと決めた私は、
     フジテレビ、大映本社宣伝部と根気良く交渉して実現、他支社を押しのけて
     九州にやってきた顔ぶれは、五社監督・法亢製作者・勝新太郎・仲代達矢・
     倍賞美津子・新條多久美に加えて、なんと三島由紀夫先生までもが来てくだ
     さることになりました。

     当時も楯の会などで話題の渦中にあった三島先生ですが、その時も九州大
     学教授で左翼的な発言で著名な井上正治氏と中央のマスコミで国家論を論
     争中で、早速地元の西日本新聞をはじめ数社から三島・井上会談の実現に
     ついて交渉があり、三島先生にもご相談したのですが「今回は映画の宣伝役
     に徹したいのでそれ以外はお断りして欲しい・・・」とのことで地元マスコミにも
     納得して貰った経緯もありました。

     記者会見で勝ちゃんのおしゃべりも面白かったけど、三島先生の話も含蓄が
     あって興味深々でした。
     私は色んな方から頼まれて、三島先生には30枚の色紙を書いていただきま
     したが、「剣」の一字とお名前を書いていただいた色紙は皆さんに差し上げ、
     私の手元に一枚も残っていないのが残念でたまりません。
     先生は映画の中でも切腹して果てるという鮮烈な死の場面を残されています
     が、この翌年にご自身が壮絶な死を遂げられることとなり、ただ豪華なキャン
     ペーンだったという思い出以上に、それこそ強烈な印象を残したキャンペーン
     ではありました。

  

     

コメント (8)
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