昨日に続いて福岡県出身である「生きてるものはいないのか」の石井岳龍監督
が、改名前の石井聰亙として活躍していた頃から企画を温めていたオリジナル
作品です。
選ばれた女性の体に植物の芽が出て花が咲き、その花が持つ特殊の成分が新
薬開発のために、高値で取り引きされる「シャニダールの花」の成長をケアする
特殊施設が物語の舞台です。
シャニダール研究所に勤める植物学者の大瀧(綾野剛)とセラピストの響子(黒木
華)は、シャニダールの花の成長に誘われるかのように、次第にひかれあって行
きます。
しかし、花を採取する際に提供者の女性が死亡する事件が連続して発生。大瀧
は研究所に不信感を抱きはじめ・・・。
もともとこの作品は、イラクで発掘されたシャニダール遺跡から、古代ネアンデル
タール人の遺体と共に、花の化石が見つかった・・・とのことで、監督は”神秘的
でロマンチックだな”と思い、7年間暖めていた企画だそうで自ら脚本も書いてい
ます。
主演は目下売出中の綾野剛と、共演は「東京オアシス」「舟を編む」などの黒木
華ですが、こんな役をよく真面目くさってやったものだと思います。
映画ですから架空の世界は当然で、作り話にケチを付ける気は本来ないのです
が、この物語が現代の社会の中で、もっともらしく語られて行くことに物凄い違和
感を覚えます。
脚本は纏まっていないし、演出もさすがと思う場面は見つかりません。従って監
督の一人よがりも甚だしいと言うことになりますし、久しぶりに感想を書きたくない
と思った作品との出会いでした。