エストニア出身の新人監督イルマル・ラーグの長編映画初監督作品で、同監
督の実母の話をベースにして描いた作品だそうです。
しかも85歳になったフランスの大女優ジャンヌ・モローが主演とあれば、映画
館に自然と足が向く私でした。
故郷エストニアの田舎町で、長い介護生活をしていて母を看取ったアンヌ(ライ
ネ・マギ)でした。そんな彼女のもとに、パリで暮らすエストニア出身の老婦人
の世話をしないかという仕事が舞い込みます。
アンヌにとっては憬れのパリでしたが、彼女を待ち受けていたのは、高級アパ
ルトマンでひとり寂しく暮らす気難しい老女フリーダ(ジャンヌ・モロー)でした。
そもそも家政婦など求めていないフリーダはアンナを冷たく追い返そうとします
が、アンヌは辛抱強くフリーダに仕えようとします。
朝食はクロワッサンだと叱られ、スーパーで買ってきたクロワッサンを出すと、
そんなプラスチックみたいなものは食べられないと放り出す始末。
それ以外でもフリーダの気難しさは続きます・・・。
まず85歳と言う年齢を自分なりにちゃんと把握し、それでも女であることを忘
れないという彼女の演技を、ひとしきり感激しながら見ました。この映画は一
にも二にもそんなジャンヌ・モローの映画ですが、家政婦役のライネ・マギも
素晴らしい演技を見せてくれるので充分に楽しめました。
新人監督のイルマル・ラーグも二人の芝居とか、二人を取り囲む人物や展開
を無難にこなしていると思います。
居間に若き日のジャンヌ・モローの写真が飾ってあるなんて洒落ていますが、
ラストをもっと丁寧に描いていれば傑作になった筈で、それが少しばかり残念
です。とにかく楽しい気分が味わえますので、皆さん是非ご覧ください。
↑ 若いころのジャンヌ・モロー