博多座五月公演は、博多座で2002年に行なわれた公演から十年ぶりのミュ
ージカル「ラ・マンチャの男」でした。
既に今回の公演は終わっていますが、遅ればせながら感想をアップさせてい
ただきます。
「ラ・マンチャの男」はセルバンテスの小説「ドン・キホーテ」を基にしたミュージ
カルで、1965年にリチャード・カイリー主演で初演され、名作ミュージカルとして
現在も世界中で公演が続いています。
日本では1969年から松本幸四郎の主演で公演が始まり既に43年が経ち、記
念すべき1200回目の舞台が近づいています。
歌舞伎俳優でありながらミュージカルの主役も務める彼ですが、弟さんの吉右
衛門が功績で先に人間国宝となり、幸四郎が一歩遅れをとった感じはするもの
の、識者は彼の演劇全般への功績を大きく認めるものです。
ミュージカルの脚本が、原作者のセルバンデスが小説「ドン・キホーテ」を着想
したのは、セビリアで牢に入っていたという事実を基にしています。
セルバンデスと一緒に入っていた囚人たちの現実、彼らが演じる劇中劇におけ
る田舎の郷士アロンソ・キハーナの現実、そしてキハーナの妄想としてのドン・
キホーテという多重構成物語のミュージカルです。
ミュージカル・ナンバーの「ラ・マンチャの男~われこそはドン・キホーテ」「ドルシ
ネア」「見果てぬ夢」は、何度聞いても素敵な曲だし、生の演奏で歌う幸四郎の
歌声はいささかも声量・テクニックともに衰えていません。
もちろんお芝居もますます円熟していて、友人の言葉を借りれば"幸四郎に神
が降りて来ている・・・"で、とても古希を迎える人とは思えない迫力です。
親子共演になった松たか子も大熱演でした。出演者のセリフから時折博多弁が
飛び出すのもご愛嬌で、最後まで観客を魅了した好舞台でした。
~おまけ~
下の写真は去年末のスペイン旅行で立ち回ったドン・キホーテの関連地にて
撮ったものです。