この映画の原作は、直木賞候補にもなった萩原浩の同名小説です。原作者
は「人間関係が希薄になってしまった日本人に、家族の絆の大切さを伝え
たかった」と述べている作品です。
東京ですれ違いながら暮らしていた一家が、田舎の家で座敷わらしと出会い、
そのことによって、家族のそれぞれが自分を見つめ直し、ひいては家族の絆
を再生していく姿を描いたホームドラマです。
家でも会社でも居場所がない晃一(水谷豊)を中心に、夫の能天気さに少し不
満の妻・史子(安田成美)、友人関係に悩む中3の梓美(橋本愛)、好奇心一杯
の智也(濱田龍臣)、認知症の兆候がある晃一の母・澄子(草笛光子)は、それ
ぞれが悩みと不満を抱えている5人家族です。
その家族が晃一の転勤で岩手県の築100年以上の古民家に引越しすることに
なります。
慣れない土地に不便な家で、最初は不満だらけだへったバラバラ家族が、囲
炉裏を囲む昔ながらの生活を営むうちに、田舎暮らしにも慣れてきますが、ある
日、智也は着物姿の子どもに出会い、史子は物が消えるなど不可思議な現象
に遭遇・・・。監督は「相棒シリーズ」の和泉聖治です。
私の周辺で見た人の中に、お粗末な作り方でストーリーもご都合主義という人
が結構いるのですが、私は家族の再生物語として微笑ましいし、突拍子も無い
お風呂の映画よりこちらの方がずっと面白いと思っています。
「相棒」の時と違って監督も主演の水谷も、更に共演者のいずれも特に上手い
と思う前に、ぎこちない演技と演出を見い出します。でもそれが反って自然に普
通に見えてくるから不思議な現象ではあります。それもが座敷わらしの成せる
技かも知れませんね・・・。
(4/28 キャナルシティ 初日 9:30の回 12人)