ハリウッドの家族ドラマは結構面白い作品が多いし、この「ファミリー・ツ
リー」は本年度のアカデミー脚色賞を受賞しているほか、作品賞・主演男
優賞・監督賞・編集賞にノミネートされました。
更にゴールデングローブ賞では作品賞・主演男優賞を受賞していて、楽し
みに待っていた作品です。
カウイ・ハート・ヘミングスの原作から「サイドウェイ」のアレクサンダー・ペ
インが製作・脚色・監督したもので、ハワイで暮らすある家族に起こった
出来事を描いた内容です。
ハワイに生まれ育った弁護士のマット(ジョージ・クルーニー)は、妻と二人
の娘に囲まれて暮らしていたある日、妻がボートの事故にあいこん睡状態
に陥ります。
更に追い打ちをかけるように妻の不倫が発覚、彼女は離婚まで考えていた
事を知ります。
知人や長女もそのことを知っていたことに愕然としますが、加えて先祖代々
より受け継いだ広大な土地の処分問題という大きな悩みを抱え込んでいた
のでした。
ハワイでの人生のルーツと、家族の絆とに向かい合うことになったマットが
考えて行動した末に導き出した答えとは・・・。
ペイン監督の仕事は持ち前の軽妙な語り口でほぼ満足だし、ハワイの雄
大な自然も素晴らしいし、ジョージ・クルーニーが適役でいい味を出してい
るのに加えて長女役ほか脇役もいいですし、家族の再生描写も納得です。
ですが最初から辛口で申し訳ないのですが少しだけ不満は、最初の方で
主人公が家族や仕事や境遇をクルーニーのナレーションで延々とやるの
はいただけません。
最小限度は許せますが長過ぎます。映画は出来るだけくどくどしたセリフ
やナレーションではなく、映像で観客に知らしめるべきだと思います。
二人の娘に対する父親としての言動とか、浮気相手の男に会う場面も面
白いが、相手の奥さんが訪ねてきて昏睡中の妻を許すと言う場面は、て
っきり謝罪にきたと思ったら逆の立場とか、これをキッカケに色々なことを
考えさせられるのがこの映画の特色と思います。
苦言は呈しましたが私としては好きな作品でお薦めしたいです。
(5/18 TOHOシネマズ天神 初日 13:00の回 33人)
