諜報部員の経歴を持つ作家ジョン・ル・カレが、実際の事件を元に書いた
人気スパイ小説「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」を、「ぼくのエリ
200歳の少女」で注目されたトーマス・アルフレッドソン監督が映画化したも
のです。
東西冷戦時代のお話で、英国諜報部通称「サーカス」のスパイだったジョー
ジ・スマイリー(ゲイリー・オールドマン)は、ブタベスト作戦の失敗で辞任した
リーダーのコントロール(ジョン・ハート)と共に「サーカス」を去ります。
しかしそのコントロールが謎の死を遂げ、「サーカス」の内部に潜む二重スパ
イをあぶり出すため引退生活から呼び戻されて探索することになりますが、
たどり着いた裏切者の正体とは・・・。
スパイものというと派手なアクションを期待しますが、この作品はそれが
一切なく、徹底的に静かで冷静な情報戦で終始します。
俳優陣はアカデミー賞主演男優賞にノミネートされたゲイリー・オールド
マンや、「英国王のスピーチ」でオスカー受賞のコリン・ファース、「インセ
ブション」のトム・ハーディなど実力派が渋い渋い演技を競うのは見もの
です。
演技陣が渋いならトーマス・アルフレッドソン監督の演出も手堅くて渋く、
総じて渋いコーヒーの旨さみたいなものはあるのですが、物語・人物関係・
展開が難解で、私は頭の中で必死で整理をしながら見ていたのですが、
途中でその努力を放棄しました。
原作を読み、資料をひもどいてもう一回見直そうと思ったからです。
そんなお客が多いのでしょう、リピーター客割引があるそうですが、少し
くらい難解でも、1回見たらなんとか判るくらいに作るのが、製作者の親
切と思うのですよ。これが一寸不満。
(5/20 TOHOシネマズ 初日 9:45の回 42人)