ユダヤ人の少女アンネが、アムステルダムの隠れ家からナチスによって連
れ出され、強制収容所に送られてからの過酷な運命を描いた作品です。
「アンネの日記」には書かれなかった知られざる日々が、アンネの親友だっ
たハネリ・ホスラーのインタービューをまとめた「もうひとつのアンネの日記」
(アリソン・レスリー・ゴールド著)を原作に、一家の中でただ一人生き残った
父親オットーによる回想形式で綴られています。
見る前はアンネの日記ベースに、キワ物映画と思っていたのですが、中々
どうして真面目な作品でした。
監督はユダヤの魂を描くことに燃えるアルベルト・ネグリン。特にいいのは
アンネ役のロザベル・ラウレンティ・セラーズが、みずみずしい好演と、音楽
を「ニュー・シネマ」や「海の上のピアニスト」のエンニオ・モリコーネが担当
していることもあって感動的な作品になっています。
アンネ・フランクが15歳という短い生涯を閉じた場所は、ドイツのベルゲン・
ベルゼン収容所でしたが、彼女が亡くなったのは3月頃にチフスでの病死と
いわれています。(飢餓やチフスの蔓延により、この収容所では解放直前の
三か月間で3万5000人が死亡)
この収容所は直後の4月15日に進攻して来たイギリス軍によって解放され
ており、本当にすれ違いの感じで悲しいことになりました。
あれから既に67年が経過しています。
数々の戦争悪については、いつまでも忘れてはならない出来事として語り
継がねばならないのですが、この映画はその役割を充分に果たしていると
思います。
(5/21 キャナルシティ 3日目 10:00の回 4人)