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僕の見た地震 その4

昔、僕にいろいろな事を教えてくれた人がいた。
間違った事をすると車の中で3時間説教された。
僕はどこに自分がいるのか分からないので車から降りるわけにもいかないで、
延々と説教された。

しかし、その人は延々と筋の通った事を話すので反論出来なかった。
どうにもならないと僕は奥の手で
「だってしょうがないでしょう」
と感情の話に持って行こうとする。
するとさらにその人は理詰めでしっかり話す。
そして話の最後に
「何か違うと思うなら言ってみろ」
と言う。僕は言い返せない。
いろいろなことを教わった。

「ありがとう」と「すいませんでした」
をしっかり言えとしつこく教わった。
僕がごまかそうとすると猛然と怒った。
そして3時間の説教になる。

それでも僕も慣れてきて、同じ話が出てきたあたりで
「どうもすいませんでした」
とあやまって終わりにしてもらっていた。

でもタイミングを誤るると
「まだ反省してないだろう」
と更に説教が1時間続いてしまう。

結局僕が帰れるのは終電ギリギリ、
車を吹っ飛ばして駅に飛び込んでいた。


その人がよく話した事で
僕が一番よく覚えている事がある。

「人はいざという時に本性が出る」
「いくら普段いい事言っていてもいざという時にどうするかだ」

これを僕は今、鮮明に思い出した。
僕は今回の地震の報道をテレビで見た。
現実離れしていると感じる程の惨状だ。

それなのにトイレに流す水が少なくなってきたので水をもらう為に
並んだ30分間を怒って市役所に電話してしまった。
担当者が現在自衛隊と給水車提供で話し合っていると言うと。
僕は早くしろと怒鳴ってしまった。

生死の境をさまよっている人がいるはずなのに、

僕は恥ずかしい。


あの人とはトラブルがあってもう会わなくなった。
エリック・クラプトンの凄いファンの人で、
周りからも一目置かれていた。

その人にクラプトンの「スローハンド」のジャケットは
スプリングスティーンの「ボーン・トゥー・ラン」のジャケットに似ていますね。
スローハンドは何年の作品なんですか?
と聞いたら本気で怒り出してしまった。
あの時は車から放り出された記憶がある。


僕は今こうなるとわかっていても、どうにも出来ずに別れさせてもらった。
こんな事言えないけれど
あの頃教えて頂いた事が今の僕の骨格になっている。

大変な時こそ本当の自分が出る
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