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文集「礎」に投稿しました

僕が通っている病院の作業療法科が発行している文集「礎」が出来上がりました。
僕はこの礎に投稿するのをライフワークにしたいと思っています。
今回は発行するかが直前まで決まらないで、僕はやっと発行されると決まったという連絡を受けて1週間で原稿を完成させました。以前作った原稿に少し書き加えたのですが。
でも僕は今回で礎の発行が最後になるかもしれないと思い、今までのまとめの気持ちを込めて文章を加えました。
かなり僕の気持ちを込めた文章が書けたと思います。
でも結局「礎」は今後も発行を続ける。今回は病棟でインフルエンザなどが起きてプログラムをやれていなかったからだと伝えられて僕は安心しました。
少し長いですが、よろしかったら僕の入魂の作品を読んでみてください。


「脳天気予報士当事者研究を発表する」
                       ウエザーマン H.O.
僕は「べてるの家」で始まった「当事者研究」を学んでいます。研究を始めて3年目になりました。そして今回僕は自分の研究を発表することが出来ました。


当事者研究全国交流集会東京大会 
他人事(ひとごと)メソッドの研究 2014.11.15.

みなさん。こんにちは。
今日は僕の好きなブルース・スプリングスティーンのライブを目指します。よろしくお願いします。

僕は目標があるといくらでも頑張れる。その一方で目標が無くなると不安定になります。
そんな僕ですが、僕は他人事メソッドというものを考え出しました。
自分が困った時に自分で自分にナレーション、解説を入れる。自分がスポーツ中継されている選手になり自分の行動を客観視する。自分の困難な状況を離れた所でながめてみようとする試みです。
僕は僕の好きなブルース・スプリングスティーンのコンサートを観る為にアメリカ、コネチカットへ行きました。その時のことです。

僕は成田から14時間ぐらいかけてニューヨークへ、そしてニューヨークで列車に乗り換えてコネチカット州へ行ったのですが、僕は飛行機の機内で眠れず、ニューヨークの乗り換え駅では列車は30分遅れの表示。イスもなくて皆立って運行表示板をながめていました。僕は疲れてフラフラで本当につらかったです。この時に他人事メソッドが生まれました。

「O君立っているのがつらそうです。O君今にも泣きそうな顔をしています。上手くここを乗り切れますでしょうか。心配ですねえ~」
「そこの階段を1階昇ればニューヨークの街なのですが」
「もうO君家に帰りたそうです」
「いや、家には帰れません。ここはアメリカです」
「とにかくホテルにたどり着くしかないです」
「何とかなるでしょう」「そうですかあー」

こうやって他人事メソッドを使ってみました。そうすると、ふぅ~と僕の気持ちが楽になりました。
何とか僕はホテルに無事に着いて、今度はコンサート会場でなるべくステージ近くでコンサートを観たいので早い者順で並ぼうと思いました。でもどこに並べばいいのか分かりませんでした。

「さあ困った。O君どこに並ぶのか分かりません」
「O君また他の係員に聞いています」
「あーやっぱり話が通じません」「いくら一生懸命話してもO君の英語が通じないようです。さあ困った」

「おーO君メモを取り出して英文を書き始めました。文章を書いて読んでもらう作戦に出たようです」

「あっ上手くいったようです。係員さんがうなずいて読んでくれています」
「よかったですねえ~」「よく頑張りました」

そうして係員に並ぶ場所を教えてもらえました。そして一番前に並べました。ライブをステージ真ん中の一番前で観れるのかと思いドキドキしました。

でも結局早い者順でなくて抽選でしたが。
それでも僕はくじ運が良くて、はじでしたがステージ前2列目で観れました。僕の生涯最高のライブでした。

これは僕がコンサートで撮った写真です。一度だけブルース・スプリングスティーンが僕の近くに来てくれて顔に汗が光っているのを見れてうれしかったです。


僕は日本に帰ってきて平凡な暮らしをしていました。会いたい人に会えなくてさみしい気持ちを持って早朝の通勤。広いまっすぐな道を自転車をこいでいました。
ひとり道路を静かに自転車が流れていく映像
「おっO君、空を見た」
「そうです空を見るのです。それがO君の原点なのです」
「おー自転車が速くなりました」

そこにBGMブルース・スプリングスティーンの曲「The Price You Pay」が流れる


こんな風にして僕は他人事メソッドを使っています。この他人事メソッドはシンプルだけどよく考え出した素晴らしい方法だと僕は思っているのですが、問題点があります。

それは僕が本当に困った時には、この他人事メソッドのことを忘れてしまい、困った時にあわてているだけで他人事メソッドは僕の頭の中から消えてしまっています。

そこで僕は毎日、日記をつけながら他人事メソッドの有効利用を試みています。
この他人事メソッドを使うことで自分の問題を離れた所でながめることが出来るようになりました。これからもっと積極的に他人事メソッドを使いこなしていきたいです。

でも本当のところは自分が困った時に「他人事メソッド」を使おうと思った時点で、もう困った事は僕の中で7割方解決しています。
客観的に自分の困難を見れているので、べてるで言う「見つめるから眺める」になっているのだと思います。だからわざわざ実況中継をしなくてもいいのですが。

「おっO君、最後に何か言いたいようです」

「僕はまだ当事者研究を始めたばかり。これからさらに当事者研究を進めていきたいです」
「今日はこんなに多くの人に僕の発表を聴いてもらえる機会を得られて幸せです」
「病気になってよかった!!!」    ありがとうございました。



発表は大成功でした。言いたいことを言えて、笑うところで笑ってもらい、最後言おうか迷っていた言葉も言えるだろうと判断して思い切って言ってみました。客席から「そうだ!」と言ってもらえました。
べてるの家の向谷地生良先生からもコメントを頂きました。今までのいろいろな人たちが研究してきた土壌の上に僕の自分にナレーションを入れるという考えは出来ている。そして、その僕の研究の上にまた研究されていく。研究は循環している。と言ってもらいました。
僕が2,3年学んできた当事者研究の成果を認めてもらえたと感じて最高にうれしかったです。

昨年僕は突然、一人暮らしをするお金が足りなくなり仕事を増やしました。その為デイケアにも行かれなくなってしまいました。そしてなかなか僕が求め続けている僕の居場所を作れません。でも、僕にはブルース・スプリングスティーンと当事者研究があれば大丈夫だ。僕は気象予報士なのだから大丈夫だ。僕は6割理論を持っている。僕は礎に自分の成長を書いてきた。僕のやりたいこと、どうしてもやらなければいけないことをやってきた。僕は進み続けるのだ。
Keep Going!
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