かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

雨夜譚

2021年02月03日 | Books
立春だが、当然ながら、まだ寒い。



渋沢栄一の大河ドラマスタートに備え、関連本を読みまくっているが、本書は、その内の1冊。
通称"ウヤタン"、別の名を"うやものがたり"。本書は、"あまよがたり"と読ませている。

元は、渋沢栄一の明治維新政府退官までの経歴の談話をまとめたものだったようだが、その後還暦を機に後の話も加えられ、昭和になってから、1冊の本になったという。
なので、事業の役職から離れたところまでの話ではあるが、渋沢栄一の生涯の一番面白いところが、しかも本人の言葉で残されている。

現在の岩波文庫版は、1984年が第一刷で、現在第15刷。大ロングセラーだ。

昔風の言葉使いで読みづらいところもあるが、内容が、波乱万丈で、さっと読める。
事業家になってからの話は、淡々と実績を業界毎に語る形になっており、やや雰囲気が変わるが、これも、今の日本の産業界につながるところで、興味深い。

読んで思ったのは、今この世にある渋沢栄一にかかる書は、ほとんどが、本書を底本にして、そこから、各筆者の脚色を加えていることだ。
退官前のストーリーで、本書に書かれていないことが書かれている本は見たことは少ない。
従い、今回の大河ドラマも本書がベースになる部分が大半になることが予想される。
ただし、大河ドラマの場合、フィクションなので、架空の人物や、架空の挿話が入り、そこは、ちょっと異なることになると思うが。

本書の元になっているのが、昭和になって編纂された渋沢栄一伝記資料で、これは、50巻以上もある。
現在の渋沢研究の貴重な資料集になっており、その他、各社、各団体に残された資料も集めれば、情報は、まだまだ出てくるだろう。
ただ、この本、資料集ということで、読みにくいこと、この上ない。
なので、このように、整理したいただかないと、なかなか内容を把握できない。

改めて思うのは、ゼロかスタートした明治維新。渋沢達の努力により、近代国家として生まれ変われることができたが、その道のりは、険しく、時には大きな間違いを犯したこともあった。
しかし、ここまで来れたのは、それでもあきらめずに、前進し続けたということ。
ただ、富国強兵に偏り過ぎたのは、歴史が示すところで、渋沢の論語の精神がもう少し生かされていれば、歴史も変わったのかもしれない。

新型コロナの渦中にある現在、彼らの生きざまを振り返ることは、決して無駄ではないと思う。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする