かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

ロッキード

2021年02月11日 | Books

今日は、ゴルフ。
好天に恵まれ、スコアもまずまず。



本署は、文藝春秋で宣伝を見て、本屋で、その厚さにちょっと驚いたが、即ゲット。
面白かった。

著者は、真山さんで、私よりちょっと若いが、ほぼ同世代。
ハゲタカで有名。
著者のロッキード事件に対するイメージは、私とあまり変わらないし、同じ時代の空気を吸っている。

そんな昔の話とは思っていなかったが、もう50年近くたつ。
田中角栄が亡くなった時には、シカゴにいたが、一つの時代が終わったと感じたことを思い出した。
それすら、もう30年近く前になる。

本書は、ロッキード事件をINGで知らない人は、たぶんよくわからないだろう。
一国の宰相が逮捕、起訴された割には、あまりにもお粗末な逮捕・裁判。
ただ当時の空気を知る者にとっては、このまま不起訴にはできない空気が充満していたように思う。
それこそ、文藝春秋の立花さんの追求で、金の亡者というイメージが定着しつつあったところに勃発した事件だった。
ここで、無罪放免になったら、日本は、法治国家ではないぐらいの空気だった。
本書と読むと、逆に、法治国家で、よくこのような裁判が成立したなという印象を持つ。
物的証拠は、ほとんどなく、証拠とし使えるか?の海外での異例の調書、ころころ変わるかつ本当かどうかもわからない証言のみで組み立てた。

その追求は、どうも的はずれというか、とりあえず、糸がかろうじてつながっているところにすがって、捜査したという感じで、その他のほとんどは、闇に葬られた。
肝心のお金のやりとりさえ、矛盾だらけ。
このような性格のお金は、そのやりとりが一番のポイントになるはずなのに。
金の流れを示すチャートが出てきたが、表に出せないお金だったらそんなもの残すか?

本書では、その問題の中心は、捜査段階で、早々に追求が諦められた防衛部門が中心だったはずで、民間に絞られた時点で、?、かつ操作ターゲットも、ずれていたのではないかと妄想する。
当事者がほとんど亡くなっている中、これ以上の追求は、難しいのだが、当時の空気を知っているものとしては、興味深い話ばかり。

松本清張の小説はよく読むが、戦前、戦中を引きずった話が多い。
ロッキード事件は、時期的には、そのちょっと後になるが、やはり戦後処理から、アメリカが駐留を続ける中、防衛政策についても、アメリカによる制約を逃れられない中での話ではないかとにおわせる。
一方、エネルギー施策で、田中角栄がはめられた説には与していない。
中国との国交回復についても、理由にはならないのではないかと、考えている。

ロッキードは、世界中にお金をばらまいているが、他国では、日本ほど深刻な状況には至らなかった。
ビジネスで、エントリーフィーが払われることは、当時まだ普通だったし、私腹を肥やさない限り、あまり大事にはならなかった。
やはり、日本とアメリカの特殊な関係が影響していると考えるのが自然かもしれない。
対潜哨戒機P3Cの売り込みのためとされるが、タイミング的に合わず、予算節減をしたい日本としては、やっとアメリカが売ってくれるというぐらいの気持ちだったはず。
防衛関係でアメリカとやり取りがあったのは、FXプロジェクトで、むしろ佐藤・中曽根時代の方ではなかったのか。

若狭氏は、たまたま友人の結婚式の来賓でいらっしゃっていたので、見たことがある。
もうロッキードも一段落した時期だったが、物静かなでもきりっとした紳士だったイメージだった。
本書では、まともな、リーダーシップのある人として描かれる。
当時の報道では、極悪人だった。

田中角栄の生い立ち、児玉誉士夫の生い立ちもすごい。
田中角栄は、成り上がりかと思っていたら、その法律への精通度は、群を抜いていたという。
だからこそ、逮捕されることなど、夢にも思わなかったし、そのようなリスクをとることもしなかったはずという。
児玉誉士夫などは、もっと破天荒。
こんな人生あるのか。
それこそ、戦争を引きずった人物だった。

この手の本は、その時の空気を肌で感じていた人でないと、よくわからないかもしれない。
若い読者の感想を聞きたいものだ。
昔の話と、切り捨てられるか。
たぶん、歴史は、今にも続いていると感じるのではないか。

コメント
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