「井戸」って知ってますか

私は長年高校で「日本史」を主たる担当教科にしている。最近、とくに思うのは今の子どもたちが祖父母の時代(もっと前かな)の暮らし方をほとんど全くといっていいほど知らないということだ。

日常の衣食住のあれこれ、例えば「水」はどのように生活の中で利用できたか、等。私が子どもの頃、水は井戸から汲んできた。釣瓶を井戸に垂らして水をここに入れて綱を引っ張りあげたものだ。主としてこのような仕事は女性がやったのではないか。

冬など大変だった。井戸水の表面が凍っていてこの氷をたたき割ってくみ上げる。風呂を満たすなどもあるから、毎日風呂に入るとかシャワーなどあり得ない。夏は川か水田の水で体を拭いた。

このような、例えば水一つとっても数万年間は同じように処理してきたはずだ。今のように蛇口をひねればいくらでもきれいな水が出てくるなどの生活になったのはたかだか70年前後前からの変化だったと思う。

「井戸」などを知っている子どもはほとんどいない。こんな小さいことも含めて先人の苦労、そして技術と歴史の発展や、そしてものの大切さ、など教えていかなければならないと思ったりするのだが。

「朝顔に 釣瓶とられてもらい水」という俳句があった。つるべでなくつるべえではという人がいたらお笑いだが…
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