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「ノルウェイの森」

 村上春樹「ノルウェイの森」を読んだ。

 この大ベストセラー小説について全く何も知らなかった私は、「これだけ売れた小説なんだから、誰もが涙する崇高な純愛小説なんだろうな」と勝手に思っていたが、読んでみたら、村上春樹の小説の主人公がよく口にする「やれやれ」というため息じみた言葉が一番の感想であった。
 20歳前後の男の恋愛事情を描いた官能小説、とまとめたらハルキストからは指弾されるかもしれないが、私にはそうとしか思えなかった。性行為と死と音楽と酒、そんなものを哲学的言辞にまぶして小説を書いたとすればこの「ノルウェイの森」のようなものになるのかな、という気もするが、じゃあ、お前書いてみろよ、と言われたら私にはそんな才はないから、やはり村上春樹はすごいなと認めないわけにはいかない。しかし、どうしてこれがベストセラー小説になったのかは、よく分からなかった。村上春樹の小説から超現実的な描写を消したら、残るものはこれか?と些か浅薄な印象がずっと拭えなくて、「やれやれ」というため息と共に読み終わったというのが正直なところだった。登場人物の懊悩は常に死と繋がっているものの、イマイチ心に響かないのはなぜ?という疑問は今でも残っているから、もう一度読み直してみるべきかもしれないが、そんな気が起こるほど私には魅了的な小説ではなかった、残念ながら。

 村上春樹の主だった長編小説で、残すは「ダンス、ダンス、ダンス」のみ。これを読んだら村上春樹からはしばらく離れようと思っているが、果たしてどんな小説なんだろう、もう一踏ん張りしてみよう。
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