JF4CADの運用日誌2.5

アマチュア無線局JF4CADの活動内容紹介ブログです。

「下流老人」にならないための老後資金の作り方④

2015-08-14 | シャック便り
ここまで確定拠出年金に触れてきましたが、この制度を活用するにはリスクとリターンについて理解する必要があります。

しかしながら大半の方がリスクを取ることを徹底的に嫌ってリターンが取れないか、リスクを取り過ぎたギャンブルみたいな資産運用をしているのが実態です。リスクとリターンについて少し触れてみたいと思います。


[リスクとリターンはこう考えよう]
旅先でお昼を食べるために食堂に入りました(三陸とか北海道の食堂をイメージしてみてください)。皆さんはどれを食べますか?

(1)ウニが山盛りのウニ丼
(2)ウニだけでなくカニやエビ、マグロなど何種類かの食材が盛られた海鮮丼
(3)とんかつ定食

(1)のウニ丼が美味しいか不味いかは「ウニが美味しいか不味いか」のほぼ一点で決まると思います。つまりウニに左右されますよね。ところがウニは産地やシーズンによって味の変動が大きく、当たり外れが大きいとも言われています。

一方(2)の海鮮丼は「ウニが今ひとつでもカニやマグロが美味しければそれなり美味しい」ということになります。ウニが持つ美味しい・不味いの大きな変動は他の食材と組み合わせることで振れ幅を抑えられ可能性があるのです。なので(1)より(2)の方が不味い料理を食べること(=失敗)を避けることのできる可能性が高いことになります。

それでは(3)。テレビの人気番組「路線バス乗り継ぎの旅」で太川さんやマドンナが地方の名物に舌鼓を打っていても蛭子さんだけは一人とんかつ定食を食べているシーンがよく出てきます。蛭子さんがとんかつ定食を選ぶのは本人曰く「外れがないから」だそうです。確かに失敗は少なくなりますが味は想像が付きますよね。魚がメインの食堂でとんかつ定食を頼んでも冷凍のとんかつを揚げてくれるだけです。


この「美味いか不味いか」はお金を払った(投資した)結果であり、我々はお金に見合ったおいしさ、あわよくば値段以上のおいしさを求めます。これが「リターン」です。一方で不味い料理はパスしたい。味の当たり外れの振れ幅が「リスク」と考えて頂くと分かりやすいと思います。

つまり、
ウニ丼    リターンが大きいがリスクも高い
とんかつ定食 リスクが低いがリターンも低い
海鮮丼    ウニ丼よりリスクが低くリターンはとんかつ定食以上に見込める

ということです。


[投資におけるリスクの現実]
確定拠出年金の投資内容をまとめた資料を目にすることがあります。全体の8割前後の方が先ほどの例えで言う「とんかつ定食」を選んでおり、1割前後が「ウニ丼」を選んでいます。つまり「リスクを取らなさすぎ」か「リスクを過剰に取り過ぎ」になっていて「リスクとリターンのバランスが取れた海鮮丼」を選ぶ人は少ないようです。


[リスクの取り方は同じではない]
リスクの取り方は各個人の年齢や収入、投資経験や投資目的などによって異なります。

先ほどの食堂のケースで言うならば一人旅で食べ物にそうこだわらないのなら(1)~(3)のどれでもいいのかも知れません。ところが彼女と一緒に旅行、ということであれば(3)のとんかつ定食はあり得ないですよね?リスクの少ない(2)の海鮮丼を取る方が多いのではないかと思います。

投資でも同じで、例えば個人の趣味で株式投資をするのなら自己責任の範囲内で大きなリスクを取って頂いても構わないわけですが、老後の資金作りで確定拠出年金をやるのなら全く違ってきます。長期運用で現実に見込むことのできる年平均2.0~3.0%の収益率をいかに低リスクで目指してゆくか、になります。この2.0~3.0%というのは30年国債といった超長期国債の利回りに若干上乗せした値であり、確定拠出年金の運用成績の目標としてごく標準的な数字です。

ちなみに蛭子さんは食べる上ではリスクを取らない人ですが、大の競艇ファンとしても知られています。ギャンブルではリスクを取っているんですね。


[投資先を分散することでリスクは減る]
リスクを減らすためにはとんかつ定食のように最初からリスクが低い物を選ぶ方法もあるもののこれではリターンも低く抑えられます。一方でいろいろな食材が盛られた海鮮丼のように投資先を分散してリスクを低くしつつリターンを確保する方法もあります。

主な投資先は国内債券・国内株式・外国債券・外国株式の4種類で、現在はこれにREIT(不動産投信)など様々な商品が加わっています。日経平均が下がっても債券の価格が上がればある程度カバーしてくれ、トータルでの振れ幅が小さくなるという次第です。ウニが今ひとつでもカニがおいしければまぁ満足の海鮮丼と似ていませんか?

分散させる方法としては大衆食堂で焼き魚とおひたし・・・と選ぶような感覚で自分で商品を選んで分散投資する方法と、海鮮丼や幕の内定食のようにあらかじめ国内債券以下4種類の投資先に分散投資しているバランス型の投資信託に投資する方法とがあります。バランス型は国内債券中心でリスクの低いタイプや株式中心でリスクを上げたタイプなど何種類かありますので、個人が取ることのできるリスクに合わせて投資できます。

後者の方がお任せで楽ですから時間が割けない方などにはお勧めかも知れません。


[あとはオタオタせず長期で構える]
投資を始めると日々の価格変動が気になる方がいます。確定拠出年金のような長期の投資でしたら日々の変動にオタオタする必要はありません。年2回(例えばお盆と正月)とか決めて内容をチェックし修正すべき点があれば修正すればいいです。

「秒速でウン億円稼ぐ男」が失敗して破産した一方、世界の著名投資家の多くが「buy and hold(買って長期で保有する)」という作戦で成功していることを考えても長期で構える方が上手く行くのかも知れませんね。
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