○国立公文書館 平成21年度春の特別展『旗本御家人-江戸を彩った異才たち-』(2009年4月4日~4月23日)
この季節、私には、お気に入りの都心お花見+博物館・美術館コースがいくつかあって、ひとつは千鳥ヶ淵→山種美術館、もうひとつは皇居お堀端→国立公文書館・春の特別展である。今年のテーマは「旗本御家人」。将軍の直属の家臣で、御目見以上を旗本、御目見以下を御家人と呼ぶそうだ。その中には「旺盛な知識欲と精力的な活動」「学問・芸術の世界で輝いた異才たちの姿」もあるけれど、泰平の世、いまどきの公務員を思わせて苦笑を誘われる、小役人の生態も見られる。
美術史ファンにおすすめは、弘化2年(1845)に再建された江戸城本丸御殿襖絵の下絵。京都を描いた名所絵と、中国の故事を描いた「帝鑑の間」の資料が出ていた。あれっ確か「松の廊下」の下絵は、東京国立博物館が持っていたはずなのに。どうして所蔵が分かれているんだろう…。本丸御殿の「起絵図」(紙製の立体模型)も面白かった。『崎陽諸図』は長崎の諸施設の図面集。「立山御役所」の図が開いていたが、「唐人屋敷」や「和蘭陀屋敷(出島)」が見たかった。
大野広城の『泰平年表』は、天文8年以来の各種事件・奇聞を載せた年代記だという。先だって、氏家幹人氏の『殿様と鼠小僧』で読んだ「石塔磨き」(墓石磨き)のことが載っていて興味深かった。大好きな奇談集『耳嚢』が展示されていたのも嬉しかった。写本だったけど、著者・根岸鎮衛自筆ではないよね? このほか、旗本御家人の有名どころとしては、長谷川平蔵、遠山景元(金四郎)、大久保彦左衛門、大田南畝などが登場する。
いま私は、展示図録(無料)を見ながら書いているのだが、会場の最後にあった幕末の幕臣の似せ絵集(全身像)が分からない。あれは参考展示だったのかしら。大きな紙を折りたたんであった。巧い絵だったなー。
幕臣の住まいを記した『諸向地面取調書』で、さりげなく「御書物奉行」「御書物同心」の箇所を展示しているのは、公文書館職員から「先輩たち」への敬慕の念だろうか。別の資料で、「公人朝夕人(くにんちょうじゃくにん)=将軍に尿筒を差し出す役」はいつから始まったか、という問い合わせを受け、塙保己一の和学講談所が、起源沿革を調べて回答しているのも、近代図書館のレファレンスサービスみたいだ、と感心してしまった。
展示資料とは別に、旗本御家人の変なエピソードを文献から選んで紹介したパネルも面白かった。なかなか家に帰らない、迷惑な上司の話とか、何も尾できない小心者の小役人とか。おすすめ本として挙げられていたのが、私も好きな野口武彦さんの『幕末の毒舌家』(中央公論新社、2005)。おお、これは読んでいないぞ。さっそく読んでみよう。
この季節、私には、お気に入りの都心お花見+博物館・美術館コースがいくつかあって、ひとつは千鳥ヶ淵→山種美術館、もうひとつは皇居お堀端→国立公文書館・春の特別展である。今年のテーマは「旗本御家人」。将軍の直属の家臣で、御目見以上を旗本、御目見以下を御家人と呼ぶそうだ。その中には「旺盛な知識欲と精力的な活動」「学問・芸術の世界で輝いた異才たちの姿」もあるけれど、泰平の世、いまどきの公務員を思わせて苦笑を誘われる、小役人の生態も見られる。
美術史ファンにおすすめは、弘化2年(1845)に再建された江戸城本丸御殿襖絵の下絵。京都を描いた名所絵と、中国の故事を描いた「帝鑑の間」の資料が出ていた。あれっ確か「松の廊下」の下絵は、東京国立博物館が持っていたはずなのに。どうして所蔵が分かれているんだろう…。本丸御殿の「起絵図」(紙製の立体模型)も面白かった。『崎陽諸図』は長崎の諸施設の図面集。「立山御役所」の図が開いていたが、「唐人屋敷」や「和蘭陀屋敷(出島)」が見たかった。
大野広城の『泰平年表』は、天文8年以来の各種事件・奇聞を載せた年代記だという。先だって、氏家幹人氏の『殿様と鼠小僧』で読んだ「石塔磨き」(墓石磨き)のことが載っていて興味深かった。大好きな奇談集『耳嚢』が展示されていたのも嬉しかった。写本だったけど、著者・根岸鎮衛自筆ではないよね? このほか、旗本御家人の有名どころとしては、長谷川平蔵、遠山景元(金四郎)、大久保彦左衛門、大田南畝などが登場する。
いま私は、展示図録(無料)を見ながら書いているのだが、会場の最後にあった幕末の幕臣の似せ絵集(全身像)が分からない。あれは参考展示だったのかしら。大きな紙を折りたたんであった。巧い絵だったなー。
幕臣の住まいを記した『諸向地面取調書』で、さりげなく「御書物奉行」「御書物同心」の箇所を展示しているのは、公文書館職員から「先輩たち」への敬慕の念だろうか。別の資料で、「公人朝夕人(くにんちょうじゃくにん)=将軍に尿筒を差し出す役」はいつから始まったか、という問い合わせを受け、塙保己一の和学講談所が、起源沿革を調べて回答しているのも、近代図書館のレファレンスサービスみたいだ、と感心してしまった。
展示資料とは別に、旗本御家人の変なエピソードを文献から選んで紹介したパネルも面白かった。なかなか家に帰らない、迷惑な上司の話とか、何も尾できない小心者の小役人とか。おすすめ本として挙げられていたのが、私も好きな野口武彦さんの『幕末の毒舌家』(中央公論新社、2005)。おお、これは読んでいないぞ。さっそく読んでみよう。