goo blog サービス終了のお知らせ 

見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

若冲の動植綵絵・第1期/三の丸尚蔵館

2006-03-27 22:35:10 | 行ったもの(美術館・見仏)
○三の丸尚蔵館 第40回展『花鳥-愛でる心、彩る技<若冲を中心に>』

http://www.kunaicho.go.jp/11/d11-05-06.html

 さあ、若冲の『動植綵絵』全幅公開が始まった! いや、展示品は、それだけではないのだが、やはり会場に入ると『動植綵絵』の前に駆け寄ってしまった。第1期は、『芍薬群蝶図』『老松白鶏図』『南天雄鶏図』『雪中錦鶏図』『牡丹小禽図』『芦雁図』の6点である。

 『南天雄鶏図』と『牡丹小禽図』は、たぶん10年くらい前、やはり三の丸尚蔵館で行われた全幅公開で見た記憶がある。日曜の朝、突然、大学の先輩から電話がかかってきて、誘われて出かけた。それが『動植綵絵』原本の初見だった。

 若冲といえば、やっぱりニワトリ。この『動植綵絵』シリーズにも、ニワトリが頻出する。鮮やかな色彩、尾羽をひるがえしてポーズを決めたところは、衣装をつけた京劇俳優のようだ。しかし、大きな画面を隅から隅まで、よーく見てみると、思わぬところに小さな生命が描き込まれていて、嬉しくなる。たとえば、『南天雄鶏図』の黒いオンドリの頭上では、オレンジ色の小鳥が、南天の実を咥えている。このあとに公開予定の『紫陽花双鶏図』や『芙蓉双鶏図』でも、ぜひ小鳥の存在を見逃さないでほしい。初見の際は、「ほらほら、こんなところにもいるよ、かわいい~!」と大はしゃぎしたことを思い出すが、花びらの陰に隠れてしまいそうな可憐な小鳥と、威風辺りを払うような巨大なニワトリは、二つながら若冲の自画像なのではないかと思われる。

 本展で興味深いのは、平成11年度から16年度にかけての解体修理の結果、裏彩色という技法の使用が明らかになったことだ。この技法は、裏の絵具が絹の織目をとって表面に発色し、微妙な効果をもたらすとともに、表面と裏面の絵具が結合することで、接着強度が増し、絵具が剥落しにくくなるのだと言う。

 会場には『動植綵絵』30幅を一覧できるパネルも用意されている。なるほど、勢揃いすると、こういう風景になるのか、というのが分かって興味深い。また、この作品は、本来、相国寺に残る『釈迦三尊像』と一体のもので、釈迦三尊を荘厳するために描かれたものだという。そうか、これは「曼荼羅」なんだな、と思うと、『牡丹小禽図』をはじめ、中心/周縁の区別を消し去るほどの、爆発的な生命感が漲っている理由が分かるように思った。

 ところで、若冲で検索していたら、環境省のページがヒットしてしまった。『牡丹小禽図』と『池辺群虫図』のふろしきがあるのだという。欲しい!!「貸し出し規程」はあるようだが、商品化されていないのかしら?

■小池環境大臣デザイン「もったいないふろしき」(ページの下の方に注目)
http://www.env.go.jp/recycle/info/furoshiki/index.html
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする